88話 スタンピード後の大掃討②
----(清見視点)----
そして走り回っている。うちの仏間に皆さんを乗せて。
メンバーは、大島氏の他に久瀬さん、桂さん、七海倉さん、大乃木さんと言う人。
久瀬さんが班長でスライム持ちである。
仏間はうりゆ君達が引いている。もちろんポヨン君達も一緒だ。『命だいじに』だからな。
そのメンバーを乗せてニッポン街の迷宮(踏破済み)の地上部分を仏間で走り回る。
中心からぐるぐるぐると円を描きながら徐々に外側へと広がっていく。
元々ニッポンの地上部は森を整地して空間スキルの建物が集まっていた。その周り森も耕してあったのだ。
テイムした魔獣の小屋やカフェ、公園があった。
だが、先日のスタンピードで大量の魔物がニッポンの上を通り過ぎた。
上空を通り過ぎたわけではない。やつらは目の前にある物全てを薙ぎ倒しぶっ飛ばしながら通った。
その跡はまるでハリケーンが通り過ぎたがごとく残骸がそこら中に折り重なって散らばっている。
空間スキルの建物だけは無事であったが、それ以外は粉々に踏み潰された。森を壊して突撃してきた魔物達は、手土産のように木々の残骸を撒き散らしてもいったのだ。
「清見君、荒れ果てた地に聖なる静けさを、取り戻してください」
走らせながら仏間の開けた障子戸から進む方向をうりゆ君達に伝えていたら、背後に久瀬さんが立っていた。
聖なる静けさ、どんなだよ! ナニソレ、魔法の詠唱みたいのは。
だが。…………。
「混沌渦巻く暗黒の地よ、嘆くなかれ。戻れ、治まれ、我が元に。静寂よ訪れろ!」
頑張って言ってみた。…………ヤバイ。恥ずかしさMAX。
大島氏ぃ、そんな細めた目で見ないでぇ。
人って口に出してから後悔するよね。うん。何で俺、言っちゃったんだろ。
あ、ウリッシがこっちを振り返って『任せろ!』みたいな目で頷いた。(気がするだけかもしれない)
実際に整地しているのは大島建設だ。俺の仏間に乗り、仏間の背後にがっちり壁状の防御を作っている。
仏間が通った背後の地面が大島ブルトーザーで地面を均している感じだ。仏間で押し潰し、大島ブルで平にならす。
「流石、土建コンビだな」
畳の上に胡座をかいている大乃木さん達が仏間が通り過ぎた後方を見ていた。
「もう一周回ればかなり綺麗に平らになりますね」
「残骸に隠れていた魔虫駆除も一気にいけたな」
うわっ、嫌だな。虫を仏間で擦り潰したみたいで気持ち悪い。
「虫とはいえ仏間で殺生………」
「清みん、今更だよ。しょっちゅうぶっ飛ばして走ってたじゃないか」
そうだけど! 跳ね飛ばすのとすり潰すのは気持ち的に違うんだよ。
「清見君、大丈夫だ。実際に擦り潰しているのは大島君の防御だからな」
あ。大島氏が畳に突っ伏した。何とか立ちあがろうとしていたが『orz』の形で止まっていた。
大島氏、ドンマイ。
「ニッポンの地上部がある程度綺麗になったら、次は北西側を攻めるぞ」
「北西、光が丘方面ですね」
「ああ。あちらを移動させる計画がスタートした」
「頑なに嫌がっていたけど、流石にあのスタンピードでこっちに合流が決まったそうですね」
「あの、でも、光が丘の空間持ちって魔獣をテイムしていないんですよね? 建物、どうするんだろう」
「こっちの魔獣を使って少しずつ移動させる計画だ。そのためにも北西側もある程度整地してほしいそうだ」
おかしいな。絹田さんは『そこらへんちょこっと走り回ってくれ』みたいに言ってなかったか? やはり俺、騙されたのか。
今、地上はそこら中にスタンピードで残された魔物が散らばっている。それを掃除? 地上を掃除してって木々を片付けてって意味じゃなかったのか。
「班長、北西に残っている森も整地を?」
「いや、森はある程度は残してほしいと言われている。が、森の地面に近い範囲の敵は掃討する。木の上は残す。それと通り道も作る」
「光が丘の、あのタウンの集まりが入る範囲は森を整地、その周りは多少残すと」
注文多いな。難しい。けどま、大島建設だからいいか。俺は言われたとおりに仏間を走らせよう。
北西方面の残された森へ突入した。
細い木々は根こそぎ倒されて散らばっているが、太い幹の木は魔物も避けて通ったのか残されていた。だが、太い幹でも下の位置の枝は折れて無くなっている。
遠方から見たら巨大なエノキみたいな形の木の集合体だな。
木と木の間隔は結構あるので仏間でも余裕で通れる、が、直進は出来ない。
「クネクネ曲がっていいですか?」
「ああ。通れそうな広さに道を造っておいてくれ。森を迂回するより多少くねっても中を通った方が早いだろう」
ヒュゥゥ、ボトン
ヒョルルルゥゥゥゥ、ぼたぼた
一見魔物が居ないように見えるが、やはり上空のエノキの先っちょ、傘の部分に居た魔物だろうか、俺らが音を立てて森の中を進んでいると時折落ちてくる。
仏間の上に乗ってくるが無視をして走り続けた。
森が途切れた場所まで出た時には結構な数の魔物が仏間の屋根部分に重なり合うように乗っていた。
「無賃乗車めぇ」
「どこかで落としますか?」
「どうやって? かなり乗ってるけど止まって仏間から出たら一斉に襲ってくるよね」
「大島防御で出ますか?」
「うりゆ君達も重そう。停まります?」
大島氏の周りに久瀬さん達が集まった。大島防御出動かな?




