87話 スタンピード後の大掃討①
----(清見視点)----
「命だいじに、だよね」
「おう、命だいじに、だな」
おかしい。おかしいよね? 命大事にを確認しあった俺たちが、今、命をかけて駆け回っているのは何でなの?
デスエ近所の迷宮の10階層の通路を掃除してからニッポン街へと戻ったあの日。
ニッポン街の10階層で暮らしていた住民達は15階へ避難して、ギルドの本部も12階へと移動していた。
その本部で待機を命じられて待っていた。
いや、俺はギルド員じゃないから待ってなくてもいいんだけど、いちいち呼び出されて15階、12階、10階を行ったり来たりが(疲れて)嫌だったので12階にいたのだ。
それでなんか話の流れで『命は大事にしたいねー』とか、そんなんになったんだ。
そこに、かなりやつれたギルドの面々、絹田さんとか見た事あるけど名前は覚えてない人とかがゾロゾロと戻ってきたので、つい励ました。
「命は大事にしてください」
と、ね。そしたらさ。
「ありがとう」
「すまない」
とか言われて、肩を叩かれたり背中を叩かれたり抱きつかれたり、なんで?なに?待って待って、どうして有り難がってるの?
何かがぶら下がったペンダントの鎖を俺の頭に被せるのは何でだ?
俺の首にぶら下がったペンダントの先の名刺サイズの鉄の札……、そこには削られた文字があった。
『ギルド防衛隊特別顧問』
えっ?はっ? 何だこれ、何だこれ。特別顧問?何する人?
「防衛隊だから、防衛する人だろ?」
大島氏? ボソリと言い捨てそっぽを向いた。
「防衛する人はわかるけど、顧問って何だよ。顧問って何か偉そうに座ってアドバイスとか……いや、アドバイスじゃないか。助言?とかする人? 防衛の助言……って、何で俺の首にそれがぶら下がってるんだよ!」
「まぁまぁ。清見君、世間が落ち着くまでだから頼むよ」
3佐……じゃなかった、絹田ギルド長が両手を合わせて拝んできた。
「でも俺、修繕の仕事も溜まっているから無理……」
「そっちはほら、地上が落ち着かないと地上の仏間に仕事で出られないでしょう。だからしばらくは、ねっ?」
「いえ、ねっ、じゃなくてぇ! 俺、助言とか無理だから!」
「いいのいいの。大島氏とコンビでその辺を回っていて。ねっ?」
いや、つい先日、スタンピード前もその辺回ってって言って大変な目にあったばっかだよ。まぁ確かにスタンピードはギルドのせいじゃないけど、ああ!マック、どうなったかな。
「あの、マクドマルドはどうなりましたか?」
「大丈夫です。とりあえずですが病院横に置いてあります。末吉君のステータスを石版で判定しましたが経験値は100でしたので、スキル消滅期間もマックスあります」
「すえよし……君?」
「清みん、マックのシフトマネジャーの彼だよ」
「ああ。そうなんだ」
「俺らが近所の迷宮を掃除に行っている間もちゃんとスキルを消さないように地上には出ているらしい」
「ただ、階段には辟易していましたね」
そうだよな。ずっと地上の荒地に居たからな。いきなりあの階段の登り降りはキツイだろうな。
「それでも弱音を吐かずに頑張っていますね。篭っていた4年でも出来る運動はしていたみたいですよ。子供達も元気だと病院で診察をされていました」
す、すごいな、シフマネ君。
「と言うわけで、清見君は大島氏と一緒に地上の掃除をお願いしたいのです」
絹田さーん、と言うわけってどう言うわけですかー!
俺は地上の大掃除に駆り出された。大島氏と一緒に。と言ってもふたりではなく大島氏が普段組んでいるチームと一緒だ。
おかしくない?おかしいよね?パート2。
顧問って書いてあるのに。顧問って立派な会議室でふんぞり返って座って、偉そうに話を聞いて『ふんふん』とか『ダメだ』とか言う人じゃないの? いや、知らないけど。
顧問って一緒に掃除をする人なんだ……。いや、おかしいよね?
「まぁまぁ、ここは異世界だからな。顧問も掃除をする事もあるんだよ」
「そうか」(そうなのかぁぁぁぁ?)
納得はしていないが諦めてそう返事をした。
ニッポンの地上部の掃除に繰り出したのは、大島氏が前に居たチームなんだって。
『探索チームB』
久瀬 班長 スライム、物理攻撃(中) 気力スキル(微)
桂 物理攻撃(強)
七海倉 物理攻撃(強)
大乃木 体力(中)、物理攻撃(弱)
なんか、出張だか出向だかで、実際は違うチームに組み込まれたけど、スタンピードで一時的に組み直したそうだ。
物理2、体力1、班長がスライム持ち、大島氏が完全防御と言うなかなかバランスの良いチームだ。
これがゲームや小説なら、遠距離攻撃職や魔法攻撃職、それと回復職も欲しいところだ。
が、現実では物理的な前衛チームという感じだろうか。
えっ?俺が回復職? 敗れた下着は直しますよー。千切れた肉は……怖くて治せません。
うちの仏間で出動になった。
地上の掃除部隊。




