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俺達YOEEEEEE?けど異世界満喫したいよね?  作者: くまの香


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86話 一旦の終息

 ----(大島視点)----


 俺たちはニッポンへと引き上げた。ニッポンの地下、ギルドの本部は10階から12階へと移されていた。

 住民は最下層の15階に避難していた。


 『スタンピード』はあの2回以降、その後はまだ起こっていない。あれで収束したのだろうか?

 デスエも近隣の村や都市もかなり混乱に陥ったそうだ。それはそうだろう。何しろ誰にとっても初めての災害であっただろうからな。


 生きた迷宮に近かった都市は、迷宮から溢れた魔物による被害が出たそうだ。

 現在は、都市間や村への移動の通路間の魔物の討伐に力を入れ始めたそうだ。


 ニッポンまでの道も、俺たちが帰りがけに魔物を見つけては討伐していった。


 360度に空間が広がる地上は、魔物が一気に溢れ出した。勢いよく次々と出たのだろう。だが、この世界での生活圏は地下都市で、結ぶ通路もそれほど広くない。地下通路の狭い箇所で詰まれば進めなくなる。10階層で繋がった各街や村に酷い被害が出なかったのもそれがあるのだろうとギルドでは推測されているらしい。




 ニッポン街の地下12階に作られたギルド本部のホワイトボードには、今後についておおまかに書かれていた。

 俺と清みんはここ本部で一旦休憩するように言われた。


 迷宮にいる時はあんなに自宅の押入れに戻りたがっていた清みんだが、ニッポン街に戻れて安堵したのか橘さんらが避難している15階へ行きたがったりせずに、のんきにホワイトボードを眺めていた。


-----

・10階層の他都市への通路死守『魔物を入れるな!』

・地下1〜2層のテイム魔獣及び、地上の空間周りの定期的巡回警戒

・住民の15階移動を順次行う。僻地1、2からの避難民の住居設定

-----



「ふうん、一時的な避難じゃなくてこれからは15階が自宅になるのかな?」


「そうみたいだな。元々考えてはいたみたいだが、今回の事でフライングにはなったがこのタイミングで15階への引越しを進めると言ってたぞ」


「ん〜……そしたら、町内会も変わるのかな? 15階と10階って全く同じ地形じゃないでしょ? 日本の時みたいに更地に住宅を建てるわけじゃないから、15階の遺跡を利用した住宅でしょ?」


「そうだなぁ。きっと出来るだけ同じメンバーで固まるとは思うけどな。配置まで同じとはいかないだろうな」


「そっかぁ。まぁ、どこになるにしても押入れサイズの穴があるといいなぁ。…………無かったら大島建設にお願いしよう。……大島氏、忙しくなりそうだね」



 いや、そっち方面で俺を使うのは清みんくらいだぞ?

 

-----

・デスエ及び近郊の迷宮の各階層の魔物駆除

・地上部の整地及び危険物排除

・浦安及び光が丘問題の解決

-----



「なんかさぁ、サラッと書かれているけど、やる事は山ほどだね。大島氏、引っ張りだこになるね。……その前に俺の押入れ……お願いできるかな」


「あー。そうだなー。伸びきって戻れないくらい引っ張られそうだな。(清みんもだと思うぞ。言わないでおく、俺の優しさよ)押入れはいつでも作るぞ? なんなら今から15階行くか?」


「15階ってもう配置は決まっているの?」


「どうだろうな。今、ギルドの各課が総出で動いてるそうだから決まるのもすぐじゃないか? 住む配置が決まらないと住民も動けないだろう」


「ここで待機って言われてたけど、ちょっと15階に降りてこようかな。誰に断ればいいかな」


「今、皆出てるな。少し待てば誰かくるだろう」


「そっか、じゃあそれまでもう少し待つか」



 清みんがまたホワイトボードへ目を向けた。



「浦安、光が丘問題って何だろ? なんか揉めてたっけ?」


「あー。浦安は、多分大した問題じゃないと思う。あそこは確か踏破済み迷宮のそばに移動してたはずだ。今回も迷宮に降りて無事だったと聞いた」


「そうなんだ。良かったね」


「問題は光が丘だな。ちょっと前までは頑なに移動を拒んでいた」


「なんで?」


「あそこは、タウン内にスーパーもあったし住民があそこに居るのに不便はなかったんだ。それに、移動すると家族と会えないって噂も出回っていたな」


「あぁ……。そこから動かなければいつか元の場所に戻れるって噂もあったかも」


「まぁそれで、頑なにこっちへの移動を拒んでいたんだが、今回のスタンピードで死傷者も結構出たからな。あそこは住民の力が強くて派遣していたギルドは余所者扱いだったみたいだな」


「でも……それでギルドの人から死傷者出た、よね、今回」



 清みんが少し眉を寄せて下を向いた。



「好きにしたい人は好きにすればいいのに……何で助ける人が死なないといけないんだろ。結局、両方傷つくじゃん。助けた方も助けられた方も……」



 そうだな。ほうっておければ一番なんだが、そこでほうっておけないのが日本人なんだよな。

 亡くなったギルドの職員も家族がいたかもしれない。友人知人もいたはずだ。そして、亡くなった光が丘の住民も。親を亡くした子供も居たかもしれない。子供を亡くした親も。



「そうだな。仕方がないけど理不尽だな」


「それに、悲しいし。俺は絶対に気をつけて死なない。兄貴も裕理も死なせない。大島氏も死なないで!……あ、大島氏は完全防御だった。…………あの、大島氏って病死か老衰でしか死ねないって事?」


「…………たぶんそうだが、何か文句でも? 俺は100歳まで生きてポックリ逝くぞ!」


「老衰って……ポックリ、なのか? なんかジワジワっぽいけど……」


「よせ、やめろ、怖い事言うな」



 4年前にこっちの世界に転移して、日本での家族、友人、知人とは会えなくなってしまったけど、こっちでも家族のような友人知人はたくさん出来た。

 もしかしたら彼らもこちらの世界のどこかで生きているのかもしれない。けれど探しには行かない。今はここでの生活を大事にする。



「命だいじに、だよね」



 清みんがニッと笑う。弱そうで強い、本人はコミュ障と言うが周りによく人が集まる。魔物も集まる。面白い男と出会えたな。

 俺もニッと笑い返した。



「おう、命だいじに、だな」


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