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俺達YOEEEEEE?けど異世界満喫したいよね?  作者: くまの香


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83話 迷宮の掃除屋

 ----(大島視点)----


 俺たちはとりあえず螺旋階段へと向かった。

 下、もしくは上から魔物が溢れて来ているとすれば螺旋階段を伝わってだろう。他に大穴でも開いていれば別だが、生きた迷宮は穴が開いても塞がるからな。魔物の移動は螺旋階段が必須だろう。




 螺旋階段に近づいていくと騒めきが聞こえてきた。どこかのチームが戦っているのか。

 通路の角を曲がるとそこで戦闘が繰り広げられていた。


 螺旋階段へと出る道の手前、T字路となったこちら側と向こう側で戦いが起こっている。螺旋階段からの魔物をどちらの道にも進めないように、このT字路で押さえ込んでいるようだ。


 こちら側で戦っていたひとりが俺たちに気がついたようだ。



「おう! 大島班の到着か、助かったぞ。出てくる魔物のキリが無いこと、階段の上から下から湧いてくるみたいだな」


「山下班ですよ」


「大島建設が来てくれたなら階段まで押せますね、班長!」


「亀浦さんって事はこっちはチー亀か」


「亀浦じゃねえっ! 金浦だっ! 向こうはチードラが抑えている。デスエの冒険者も向こう側だ」


「10階に溢れていたのをここまで押し返した。だが、階段からキリなく出てきやがる」


「11階9階でも溢れているんでしょうね」


「とりあえず螺旋階段まで押し戻せるか?」



 山下さんと話していたチー亀の班長である金浦さんが俺のほうを伺った。チー亀の他のメンバーも戦いながらこちらをチラチラ見ていた。



「大島いけるか?」


「はい。通路ギリギリまでボックスを展開して押してみます。山下さん達は俺より2mほど下がってボックスから出てもらっていいですか?」


「おう、わかった。山下出る」

「卯堂出まーす」

「小椋出る」

「片岡出る」

「加瀬清見、出ない」



 ボックス防御から出る時は名乗って欲しいと言っておいたので皆が名乗ってくれた。若干一名出たくない者もいた。清みん……。まぁいいか。くっついていてもらった方が安全だからな。


 名乗りを聞いた者から順に防御から弾き出す。



「チー亀、ひとりずつこっちに下がれ、名乗って大島防御に入れ」


「お、おう? 和泉から下がれ」


「はい! 和泉誠一! お邪魔しまーす」



 あー、苗字だけで良いんだが。と言うか目の前だと見て判断出来るから名乗りは不要だけどまあいいか。


 チーム亀さんの全員が丁寧に姓名を名乗りつつ防御内へと飛び込んできた。清みんは押されて出されないように俺にしっかりしがみついている。



「大島、螺旋階段へ向かう道を塞げるか? 大島が塞いでいる間にチードラ側の魔物をこちら側からも攻めて挟み込むぞ」



 ゴリゴリと魔物を押して左手側の道、螺旋階段へ向かう道へと曲がり、一旦そこで止まる。

 俺の後ろ、ボックスの外にいた山下さんたちが魔物の背後から斬りかかる。魔物を挟んで向こう側にはチームドラゴンとデスエの冒険者達。


 あっという間に、間に挟まれていた魔物達は倒されていった。

 元から浅い層(9〜11階)にいた魔物だ。地上に比べるとはるかに弱い。



「大島君、螺旋階段まで押せるか?」



 聞いてきたのはチームドラゴンのおそらく班長と思われる人だろう。



「あー、たぶん。大丈夫か、いや量が多いと押し返されるかもしれません」


「ボックスを押せるか?」


「ええ。通路型で薄く展開しますので俺の背後から押していただけると助かります。俺の力で押し倒せるのはせいぜい2〜3匹です」


「地上では森や魔獣を薙ぎ倒していたと聞いたが?」


「あれは何かに乗っているからです。勢いがあればいけますが自分の足だと限界があります」


「なるほど。よし、トータス、大島君の背後へ並べ!」


「それと、通路のデコボコした面から防御の隙間を抜ける小物が出ると思います」


「わかった。ドラゴン、壁面から塗り抜けて来た魔物を漏れなく倒すぞ」


「「「はいっ!」」」



 俺たちは螺旋階段方面へと魔物を押し返しながら一直線の通路をジリジリと進んだ。

 階段へ近づくほど魔物の数は増えて通路にギチギチになっていく、防御壁を押すのが苦しくなる。詰まりすぎているのだ。



「少し間引かないとこれ以上は進めそうにないな。右脇の隙間を広げよう」


「そうだな。あえて1箇所から魔物を吐き出させるか」


「しかし、結構な量が後ろへ噴き出ますよ?」


「あの……あの、あの!」


「どした? 清みん」


「ポヨン君達が出るって……。さっきからリュックの中でボヨンボヨンしてる。出して……いい?」



 そうだった。S級冒険者(?)のポヨン氏らが居たんだった。

 俺が首を縦に振ると清みんはリュックの蓋を開け始めた。



「ポヨン君達、トイレかな? それともお腹すいた? うわっ!」



 開けられたリュックからヒュンと音を立ててスライム達が飛び出す。もちろん俺はスライムが防御から出る事を頭の中で許可していた。スライム込みの清みんはずっと俺の防御内に居たからな。


 飛び出したポヨン氏らは、通路いっぱいの俺の防御ボックスの隙間に居た魔物を突き飛ばすように、そこから通路の向こう側へと飛び出して行った。



 「あ、あ、ポヨン君! 危ない方に行ったらダメだってば!」



 清みんがオロオロと止めていたが、ポヨン氏らは通路内を縦横無尽に弾き飛びながら魔物の体を突き破ったり、地面には酸か何かの液体を噴射して、小さい魔虫はあっという間に溶かされていった。


 俺の横で清みんがアワアワ言いながらワタワタと腕を動かしている。



「おい、もしかしてあの人……」

「そうだ、伝説のスライム賢者様!」

「スライムを操る踊りか」



 デスエの冒険者達の間で何か誤解が生まれた瞬間だった。スライム賢者? ナニソレ。そんな伝説が?…………清みん。


 通路にミチミチと詰まっていた魔物達が減っていく。動ける隙間ができた魔物達は逆に螺旋階段の方へと逃げ出し始めている。

 螺旋階段から来る魔物とぶつかり合っても、なおもポヨンさんらが怖いのか、団子になって螺旋階段へと転がっていく。


 俺たちも少しずつ階段へと通路をじわじわと進んで行った。

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