82話 討伐チーム
----(大島視点)----
デスエ近くの迷宮へは流石に走って行くのは無理だろうと思ったが、この一団を引いていたギルド員の山下さんの先導で向かったのは途中にある小さな村だった。
そこでダイソナーを2体借りて分乗した。
途中休憩なしで走らせて、デスエへ向かう道の途中、枝分かれの通路、そこを進むと件の迷宮がある。
デスエから近いこともあり普段からそこそこ賑わっていた迷宮だが、今日は迷宮の入口の外に冒険者が居ない。
デスエ側のギルド員がふたり、武装をして立っていた。
山下さんが彼らに話を聞いている。案の定こちらも氾濫は起こったようだ。
山下さんは神妙そうな顔で戻ってきた。
「普段はそれほど危険視されていなかった迷宮ですが、やはりそれなりの数が溢れてきているそうです」
「ここは地上まで開通している迷宮ですよね」
「ええ。ここ地下10階層から地上まで。地下2階層にボス部屋があります。以前にデスエの冒険者ギルドと合同でボス部屋を攻めた事があります」
「地下……ああ、10階層より下は?」
「ここは地下14階層まで確認はされていますが、地下ボスとコアの場所は確認されていません。デスエから近い事もあり普段は8〜12階がメインで使われていたそうです」
「今は? どこまで入っているのですか?」
「この階層で抑えているそうです。普段は魔物が湧かず安全なはずの10階層に結構な数の魔物が出ているそうです」
「魔物はどんな種が?」
「普段、浅い層には出ない種も混ざっていると言っていました」
「って事は、10階層付近で湧いたんじゃなくて、もっと深い階層で湧いてキツキツになってはみ出てきたのかな」
清みんの言葉で、通路にぎゅうぎゅうに湧いた魔物を想像したのだろう、山下さん達が嫌そうな顔になった。
「とりあえず、この階層に出てきたやつらを倒そう」
山下さん達が力強く頷き合う。
清みんは、本当は待っていたいと言いたいのだろうが、それを言ってはいけない事もわかっているようで、物凄い葛藤をしているのが顔に出ていた。眉毛が八の字になったり、一直線になったり、眉間に皺を寄せたり、ぎゅっと閉じた瞼を無理やり開いたり、涙も少し出ているぞ?大丈夫か?
「全員大島ボックスに! まずは様子を見ながら進む。邪魔な魔物は適宜倒してよし。大島、箱はパッシブで。魔物が出現したらアクティブ展開。出る者は大島に名乗れ」
「うっす!」
「はい!」
「大島氏ぃ、俺、ずっとインでお願いします」
「オケオケ。ポヨンさんらを出す時は言ってくれ」
大丈夫。清みんが打って出るとは思わないよ。逆にはみ出ないようにアクティブにしても、清みんは通れないようにしておくから。
俺を中心にひと塊になり10階層の通路を進んでいく。
「10階層にも溢れてると聞いたが、キレイなもんだな」
「今のところいませんね」
「冒険者が入っていると言っていたから、彼らが処理したのか?」
「冒険者はデスエ側の?」
「ああ。だが、ニッポンからも入っていると言ってた。防衛課から何チームかこっちに行ったと聞いたな」
「どこの班?」
「チー龍とチー亀だったかな。鳥とビアは自国の地上って聞いたぞ」
「小ぃ竜……小ぃ亀…………。小さい竜と亀。鳥とビア……焼き鳥屋さん……焼き鳥とビール?」
清みんの独り言に若干名が吹き出した。
「清見さん、それ、防衛課で言ったら体育館裏に呼び出されますよ」
「えっ? 体育館なんてあったっけ?」
「いや、言葉のあや、と言うか隠語? 吊し上げられるって意味っすよ」
「えっ、何で何で? だって今、ちぃ竜とか……」
「防衛課のチーム名の略語ですよ。チー龍はチームドラゴン。それでチーム龍からチー龍って呼ばれてます」
「ちぃ亀はチーム亀?…………なんか、ゴロがイマイチっぽい気が」
「チー亀はチームトータス。ビアはチームジラフ、鳥はチームフェニックス。龍、亀、麒麟、鳳凰です」
「四霊獣からチーム名を付けたそうです」
「ああ、なるほど。……ん? 何でジラフがビアなんだ?」
「チーキリンは語呂が良くないそうで」
「ああ。キリンってそっちか」




