75話 おかわり
----(大島視点)----
あと幾つか小さい森を越えればニッポンへ到着する。
安堵した矢先、後方の彼方に黒い壁を発見した。
「黒い津波! なんで後ろから」
「森に散ったやつらが出てきて集まったのか」
「あの量……どちらかと言うと新規の津波じゃないか?」
「スタンピードのおかわり、来たあああああ」
スタンピードの第二弾?
どうして一回きりだと思い込んだのか、そもそも魔物の氾濫、どこかの迷宮から魔物が溢れ出したという考えも地球のゲーム脳の考えだ
ゲームではスタンピードは一回かもしれないが、この世界の迷宮は魔物が出続けるのか?
だから、この世界の人類は地上に住めなくなったのかもしれない。
俺がクダクダと考えている間に、ギルド員達は素早く行動に移していた。
屋根の上の魔物を振り落としていないがマックがUターンをして戻ってきた。
「マック店舗と仏間をバスに密着させてください! グリ、マラ、ウリは建物の前面に出来るだけ張り付かせてっ! バス寄りで大島防御に入れろ!」
「マック駐車場も空間内のはずだ! 入れないグリはそこに付かせろっ!」
「大丈夫。バス防御に大島氏の完全防御に、仏間防御とマック防御が被ってるでしょ。ゾウが踏んでも壊れないよ。って、何でゾウかは知らないけど前に絹田さんが言ってた」
2度目のスタンピードの発見に皆がテンパっていたが、清みんは逆に通常運転だった。虫1匹で大騒ぎするくせに変なところが大物なんだよな。
おかげでこちらも緊張がほどけた。ギルドの皆も落ち着いてきた。
「それにしても。さっきあれだけ魔物を排出したのに、まだ出るんですね。どんだけ溜まっていたんだよ」
「別の迷宮で、スタンピードが起きたのかも」
清みんが恐ろしい事を呟いた。複数の迷宮でスタンピードが?
「別の迷宮?」
「スタンピードってさ、日本で言うところの台風みたいな感じで、シーズンになると次々に発生するとか」
スタンピードのシーズン!!! ちょっ!
「台風1号、台風2号みたいに、スタンピード3号とか4号とか」
「そりゃ大変だぞ? 台風と違いスタンピードがそんなに頻発したら人類は滅亡するじゃないか」
「だから、この世界は地上に人がいないんじゃないの?」
ああ、と、何となく納得した雰囲気が流れた。
この星の全てかは知らない、だが長い期間をかけて繰り返し起こるスタンピードが、地上の人間の生活を破壊していった。
人々は地下へと逃げて隠れて暮らし、それが今の地下都市にとなった。恐らくはそんなとこだろう。
「ニッポン……大丈夫かな」
そうだな。あちらでもまさか2度目のスタンピードが起こるとは思っていないだろう。
まずいな、油断していないといいけど。
「いや、地下だから大丈夫だろう?」
「うん、ニッポン街は踏破済み迷宮だからスタンピードは起きないけど……デスエの近くに迷宮、いくつかあったじゃん? 未踏破の」
ギルド員のひとりがムンクの叫びになった。
「まさか?」
「スタンピード起きてないといいけど」
「そこでスタンピードが起きたら地下づてに魔物の大群が押し寄せるぞ?」
ムンクが伝染してく。
「無線は?」
「ここからは遠すぎます!」
「急がないと……」
「いや、急ぐが待て。まずはあの波を耐える。あの波が超えたところで後ろを追うぞ!」
まずは、あの黒い津波第二波をやり過ごさねば。俺は防御の壁にまたスライムの絵を描いた。天井部分は猛り狂うスライムのように波波に……。
「大島氏ぃ、防御をさ、ペッタンコに出来ないかな?」
「ん? 出来るが、それだと潰れたスライムになるぞ?」
「スライムじゃなくてさ、地面に偽装して。空間建物の屋根ギリギリに平らで、土色。今回はあの黒い波やり過ごすだけだから威嚇しなくていいんだよ」
「なるほど」
「平たくするならだいぶ面積を増やせるんじゃないですか?」
「マック全体のカバーは難しいが、駐車場は完全にカバー出来る。シフトマネジャーさんも駐車場寄りの店内ならマックと俺のダブル防御の範囲内はず」
俺たちは準備万端でスタンピード第二波をやり過ごした。




