60話 一路、ニッポンへ
----(清見視点)----
一路ニッポンへ向けてGO。
ちなみに今朝のモーニングセットも美味かったな。
なんて思いながら、うりゆ君達にお願いして仏間を走らせる。
長谷川さんのミニバンを先頭に、グリズリーが引くマック、その後ろをマラミュートが引く大型バス、そしてしんがりがうちの仏間だ。
時々休憩を挟みつつ荒地を走り続ける。
荒地でも砂漠のように地面が砂の場所は、先頭のマックによって砂煙が巻き上がる。周りが砂のもやで見えにくくなるが、マラミュートもうりゆ君達も気にせず走り続ける。
見えているのかな? 俺は目を凝らすが全く見えないぞ? 俺の前にはバスが走っているはず。
「少しスピードを落としてもらうか?」
大島氏にも見えないみたいだ。うん、普通に見えないよな?この砂煙。
「でも、どうやって伝えるの?」
大島氏は何かの機械を操作している。
「何、それ」
「無線機。ギルドが用意したって」
ああ、なるほど。救助隊が持ってきたのか。
何かガガガと煩い音しか聞こえないけど使えるのか? 大島氏が何か話してるっぽいから聞こえているのかな?
「清みん、ウリ達にスピード落とすよう伝えてくれ」
「わかったー。…………けど、どんくらい?」
長谷川さんのミニバンにはスピードメーターが付いている、その後ろを走るバスにもだ。でもうちの仏間にはそんなの付いてないぞ?
「い、今ってどんくらいのスピードで走ってるんだ? 時速80キロくらいか? う、うりゆ、君、時速…………60キロ?くらいに、落とせる?」
「清みん、清みん、前の車にぶつからないスピードって指示にして」
「え? あ、そお? わかった」
大島氏から言われた事をうりゆ君に伝えた。少しスピードが落ちたな、と思っていたら、スピードはどんどんと落ちていきとうとう止まってしまった。
なんだ?どうした?
「ガス欠?」
「元からガスで走っていないが……、どうした?」
「だよね? グリズリーがガス欠? 腹が減って動かないとか。グリズリーって燃費が悪いんだ?」
巻き起こっていた砂煙が徐々におさまっていく。仏間前にいたバスが見えてきた。
バスの向こうにマックも見える。
どうしたんだろう? 道に迷ったとか?
「津波?」
ガガガという雑音に話しかける大島氏の言葉が耳に入った。
津波? この辺に海ってあったっけ? てか、こっちにきて4年、海はまだ見た事はない。大きな水溜まりとか池や沼はあった。
ニッポンを出てマックを見つけるまでも海は見なかったんだけどなぁ。俺らが見なかっただけで実は海はあったのか?
大島氏が仏間から飛び出して行く。外は砂煙がおさまり遠方まで見渡せるようになっていた。
「あれ…………? 津波?」
何も無い荒地の地平線。どこまでも荒地……だった向こうのずっと向こう、何か津波っぽい盛り上がり。
あんな壁あった?
「荒地の……行き止まり、の、塀?」
「いや。そんな物は無かった。荒地がかなり遠方まで続いていた」
「だよね? それに、あの壁……なんか、近づいてきてない? まるで、映画で観た巨大な津波……」
マックやバスに居たギルド員達も降りてきていた。
「砂嵐か土煙……、ここから見える地平線から横一直線でこちらへと徐々に迫ってきています」
双眼鏡を覗いていたギルド員が大きな声で叫ぶ。
津波は津波でも水ではなくて土や砂の津波?何それ。
「どうしますか?」
「ここまで到着するのにまだ猶予はありますが……」
「全速力で走らせてもいずれ追い付かれる可能性は高いです」
「どこかで、やりすごすか」
どこかってどこ? この辺の荒地って何もなかったよね?




