57話 スキル所持
----(清見視点)----
憤慨訓練の結果、スキル保持者が判明した。マックのシフトマネジャーの彼だった。
スキル保持者が判明した事に沸いた。
店内へ戻り今後について話そうとなったが、ステータス表示がまだ出来ていない他のバイトが難色を示した。
「俺にスキルが無いのはわかりましたが、ステータスが出るまでやりたいっす」
「俺も。無くてもステータス画面出したいかなって」
そうだよな。勇者の剣を抜いた者が現れた途端に、まだ剣に触れてもいない者を置き去りにするのはよくない。
最近のラノベでもよくある、テンプレにもなってたじゃないか。異世界から勇者を召喚して湧き上がる王家のもの達、しかし、本当の主人公は勇者の後ろ、目立たない場所に居たのだ!
「清みん、それは小説だからな。今回はスキル空間(マック)を探していた、そしてそれは彼だった。モブに見える主人公とかは探していないからな」
「む、わかって、るけどぉ。でも、あと4人だし……」
「清みんさん! ありがとうございます! 俺らのために」
若干嘘泣きめいたバイトが3人、俺に抱きついた。店長は離れて呆れた目で見ていた。
大島氏は軽くため息を吐いた。
「そうだな。残り4人。このまま続けてお願いします。お待ちします」
というわけで残りの4人、店長とバイト3名が憤慨憤慨と踊り出す。店長は年齢のせいか、少し恥じらいが見える。
「あっつ、出た」
「出た出た出た」
少し遅れてもう1人も。
「マジ出た」
ステータスは全員出るからな。スキルがなくてもステータスは出る。今、店内に居る殆どの人がスキル無しのステータス画面、表示だ。
「じゃあ店内に戻るぞ」
やれやれと言った感じの大島氏を無視して、バイトのひとりが駐車場の横へと走る。ふたりも慌てて追う様に走った。大島氏も追いかけた。俺もかなり遅れてマックのドアの無い壁へと向かう。
角を曲がると、配達車の中へ座るひとり、それと配達バイクに跨るふたり。
何だ? どうした? デリバリーの注文がきたのか? それともステータス画面が嬉しくてバイクで走り回りたくなったのか? どんだけステータスが見たかったんだよ。
しかも3人ともエンジンをふかしている。暴走族かよ。流石、マックでバイトしているだけある陽キャだ。
大島氏がポカンとしている。店内からは慌ててシフマネが飛んできた。
あ、エンジンふかすの禁止なのかな? 近隣住民の迷惑になるとか? まぁ、ここは荒地で近隣が居ないけど、あ!魔物が集まってしまうかもか!
「報告してくれ」
シフマネが言うと3人はエンジンを切って降りてきた。
「スキル:空間(デリバポッド)です」
「空間(デリバカーゴ)」
「同じく、空間デリバカーゴです!」
どう言う事だ…………?
マックの空間建物の他に、3人も空間スキル所持が居た?
「車って動かなかったよな……」
大島氏がポカンとしたままボソリと呟いた。うん、車はあの日、あの瞬間に動かなかくなったって言ってた。
空間スキルで自動車を持ってた人も、再生機能はあっても、車本体では動かなかったよな?
だから、ミニバンママさん、桜さん達に引かせていたはず。
「何で、エンジンがかかるんだ?」
「…………あ、電気だから? そう言えばマックって昨日の夜、店内の灯り点いてたよね?」
「どうなってるんだ……」
「んー。俺たちが考えてもわからないよ。それより、バイク動くの? エンジンがかかるだけ?」
駐車場の客の車は動かなかったって言ってたよね?
大島氏がシフマネさんに聞いていた。顧客の車は全て動かなかったそうだ。
停められた車が、ガソリンか電気かを確認してもらった。
「停まっているのは全てガソリン車でした。それと、思い出したんですが、あの初日、動いていた車もいました。出ていった車が数台ありました。動かなかった車の持ち主が店内に残ったんです」
この世界へ転移して4年も経つのにまだ新しい発見がある。いや、車が動くのに驚いてしまったけど、シフマネの他にスキル保持者が3人も居たのに仰天だよな。
あの配達バイク……、あれ、空間なのか? まぁかろうじて屋根もあるけどさ。
「ずるいな……乗って移動……。俺もエンジン欲しいぞ」
大島氏の独り言? 珍しい。




