56話 待つ
----(清見視点)----
朝が来た。
テーブルに突っ伏して寝たせいか首が痛い。縮こまって寝るのは押入れで慣れているのだが、縦になって寝るのは疲れる。どんなに狭くても横になりたい。
窓から見えた駐車場には子供らが楽しそうにしている姿が見えた。うりゆ君達に群がって撫でたり触ったりしている。
焦ったが、良かった、大人しくしている。普段から子供を噛んじゃダメと言い聞かせているからな。あ、大人も噛んだらダメだ。
「おはようございます。寝られましたか?」
「……はよう、ざいます」
俺は寝れたが、大島氏はどうだろうか? 横を見ると大島氏も首をコキコキと鳴らしていた。
メニューがテーブルの上に置かれた。
やった! 今日はどれにしようかな。昨日はソーセージマフィンとハッシュポテトのセットだった。
今朝は軽くハムが挟まったやつにするか、それとも逆に卵とチーズの挟まったガッツリ系にするか、悩む。
見るとカウンター前に列が出来ている! スマホが使えない世界なので、席に座ったままモバイルオーダーが出来ない。
あ、俺、日本でも引きニートだったからそんな事したことなかったわ。
4泊5日のツアーの、今日は4日め。昨夜はマックに泊まった。それだけ聞くとなんかわからんがオシャレに聞こえる。
「今日からフンガー訓練だな」
大島氏が若干笑いを堪えた顔をしている。ギルドで流行っているのか?憤慨訓練。…………厳しそうな訓練だな。
「スキル表示の練習じゃなくて? 訓練?」
「ああ、ギルドではスキルを表示させるのをフンガーって言ってるからな」
そうなの? 憤慨ぁ。ふぅん。変わってるな。
朝メシを食べ終わった人が駐車場で、『フン!フン!』している。『ダァ!』とか『トォ!』もいる。
頑張っているな。早くスキル表示出来ればいいな。
踏破済み迷宮の石版があれば、あんなに力まなくてもフワッと出せるのにな。
てか、自分の時ってどうだったっけ? 気がついたら普通に見えてた気がする。
「出たっ!」
いち早くステータス表示に成功したのは、家族でマックに来ていた親子連れのママさんだった。子供ふたりを連れた人らしい。
「何か変な画面が見えるようになったんですけど……」
おお、ついに空間スキル持ちが!と思ったが、違かった。
「名前があって、その下にスキルって文字はあるけど、コロンの横は何も出てないです。ブランクなのかな?」
ああ、そうか。スキルが無い人もステータスは見れるんだよね。
でも、石版を使わずにスキル無しの人がステータス表示させるって、すごくない?
物凄く力んだんだね、顔が真っ赤だ。お疲れ様でした。
シフトマネジャーさんがマックに居る避難民名簿を作っていたので、そこに追加で記入をしてもらった。
ステータス表示が出来た人から休憩に入っている。
表示に成功した人が、まだ出来ていない人にコツを説明したりしている。
「足は肩幅くらいに開いて腰を落とすんだ」
「そう、それで、腕に力を入れて……」
「鼻から息を出す感じ」
「腹式呼吸よ!」
「逆に瞑想から入った方がやりやすかったぞ?」
マックの駐車場で謎の団体が怪しい踊りを繰り広げてる光景。大島氏や俺とポヨン君らは、周りを警戒する。
あまり騒ぐと魔物が寄ってくるので俺はビクビクしている。
「あの、あの! 2、3人ずつにしませんか! ほらっ!危なっ!」
駐車場の端からウツボみたいな魔物が上がりかけた所をぷるん君が捕食したところだった。
何となく駐車場は安全なイメージだった。いや、ウツボも入ろうとしていただけだったので、まだ入ってきてはいない。
マックの空間スキルの経験値ランクがいくつなのかで、安全な領域も変わってくる。
大島氏がシフマネさんに話して、一旦全員マックへ避難してもらった。終わった者も中で待機。5人ずつ外へ出て出来るだけマックの建物の近くで憤慨を行った。
親子のお母さんの中にはスキル保持者は居なかった。もちろん自己申告を信じた場合だ。
小学生以下の子供は除外している。過去に親からスキルを継承した幼児も居た。が、今マックに居る子は親も一緒だ。なので幼児がスキル保持の可能性は低い。
「あとは、俺たちですね」
後回しになったマックの店長及び店員やバイトが外に出て、ラジオ体操の様に並んで動いていた。
「イッチニ、サン、ハァッ! ニィニ、サンシっ!」
「あっ! 出ました! 俺、今度は本当に出ました! スキル空間マック」
叫んだのはシフマネの彼だった。
スキル名……空間マック、なんだ?
正式名称じゃないんだ? それって、もし関西の店舗だったら『空間マクド』だったのか。あ、どうでもいいけどね。




