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俺達YOEEEEEE?けど異世界満喫したいよね?  作者: くまの香


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47話 年末年始

 ----(大島視点)----


 ギルドから、休暇を延長するとの連絡が来たので驚いた。休暇打ち切りとかはありそうだったが、何故に延長。

 と思ったが、世間は年末に近づいていたのだ。それでそのまま続けて年末年始も休暇を貰える事になった。


 橘さんから年末年始は町内会のイベントがあるから参加してくれと言われた。



「年末のイベント? 何をするんですか?」


「クリスマス、大掃除、年越し蕎麦、初詣、餅つきか」


「餅つきって、餅があるんですか?」


「それなぁ。餅つきと言うか、餅を振る舞うだけになる。餅はギルドからの配布だ。どっかのタウンのスーパーから貰ってくるって聞いたぞ」


「へぇ」


「まぁ、大島君と清見は普段から忙しく働いているから、ほどほどの参加で大丈夫だ。うちの町内会として顔だけ出してくれればいいから」



 イベントはデスエ民を招くという意味もあるが、子供のためもあるのだろう。こっちの世界はテレビもネットもゲームも遊園地もない。子供が楽しめる施設は唯一、最近出来たふれあいカフェだ。

 と、あそこも大人の方が楽しんでいそうだ。


 せめて月1〜2で何か出来ればと大人達は考えているようだ。



「クリスマスの準備は着々と進んでいるみたいだよ」


「そうか。何かプレゼントを用意した方がいいよな? 子供が喜びそうな物……。清みんはもう準備しているのか?」


「うん、まぁ……。ありがちだけど、これ……」



 そう言って清みんが押入れから出してきたのは小さな木札の入った籠だった。


『うりゆ君とお散歩券』


 ああ、なるほど。子供が親に送る昭和の定番の『お手伝い券』や『肩たたき券』のようなものか。

 よく見ると名前の違う券が数枚ずつ。



「こっちは、郁未君、それはマナちゃん。あとは包むんだけど、綺麗な包み紙が無くてさぁ。今どこのうちもプレゼント作成で使うからギルドでも紙が売りきれみたい。どうしよう」



 俺は学生時代を思い出した。彼女から貰ったプレゼント、俺が贈った物……、どんなだったか。紙に包まれているのもあったが、口を縛った袋に入っていたり、紙の手提げに入ってたりもあったな。

 紙って何気に必需品だったんだ。



「紙じゃなくてもいいんじゃないか? 余り布とかはないのか?」


「布! ある!」



 清みんとこの仏間の押入れに山ほどありそうだよな。昔の婆さんの着物、上等な生地があるじゃないか。帯や紐も使えそうだ。



「布で包むだけじゃなくて、巾着にして中に入れて渡したらいいんじゃないか?」


「おお!なるほど! ……巾着、作れるかな……。ママさんに作り方聞いてくる!」



 清みんが走って去っていった。しまった、俺の分も頼めばよかった。

 いや、その前にプレゼントの中身をどうするか……。俺は清みんのようにテイムしている魔物は持ってないからな。


 箱防御使用券…………。ダメだ。子供達を連れて防御が必要な危険な場所へは行けない。

 俺は慌てて地下の自宅へと戻った。


 自宅内を探したが、狭いそこには子供に贈れそうな物が見当たらなかった。

 俺って使えない人間だな。


 散らかした荷物の中で膝を抱えて座っていたら、前の道を忙しそうに通り過ぎた桜井さん(光太郎ママ)が気がつき戻って話しかけてきた。

 俺は藁にもすがる気持ちで打ち明けた。



「あー、それ、わかるわぁ。私も個人の持ち物は少ないし、現金も無いしおもちゃ屋さんもないから困ってるとこ」


「機体での再生物で良いものは無いんですか?」


「機体はギルドに譲渡しちゃってるから勝手には使えないのよ」



 そうなのか。元は桜井さんのスキルの空間なのに。



「ギルドに相談して何かわけてもらえないんですか?」


「うん、それねぇ。今はふれあいカフェになっちゃってるし。あそこで再生する食糧やお菓子はクリスマス用に蓄えてるみたいなの。だから困っちゃって。こっちこそ大島君に相談したいわぁ」


「俺に?」


「そう。外の森に美味しい果物とか木の実ってあるかしら」



 俺は頭上に稲妻が落ちた。

 ある。あった、と思う。


 そうだよ、このふた月、森の中を突っ切り迷宮の行き来をしていた。

 普段なら魔虫や魔獣ばかりを気にしていたが、今回は決まった方向へ走り抜けるだけだったので、いつもより『森』に目を向ける余裕があった。



「あったと、思います。食べられるか確認していませんが、季節的な物なのか、結構目についた気がします」


「なになに、何があったの?」


「…………柑橘系と、りんごっぽいものもあった気がする。それと柿を見たのは先月か」


「採りに行きたいわ! お願い、連れていってもらえないかしら。あ、でも他のママさん達もきっと行きたがるわぁ」



 それはそうだろう。もしも食べられる果実、地球に近い物があったら、俺たちだけでなく他の人達も当然欲しがるだろう。

 もしかするとギルドでは既に採取をしているかもしれない。



「ギルドに行ってみますか」



 たぶんだが、ギルドにこの件を持ち込む事で俺の休暇は終了するかもしれない。確実にするだろう。

 しかし、それで俺のプレゼントも何とか解決するなら良しとするか。




 クリスマスまでの5日間、俺は地上の森を走らされた。

 すまん、清みんも巻き込んでしまった。森での果実採取だが、清みん含むママさん達のスライムも総出で虫を追い払いつつ行われた。


 森は実に豊かに実りを見せていた。魔虫さえ居なければ、だ。

 魔虫は木に実った物には目もくれず、相変わらずの共喰い状態だ。隙を見せると人に襲いかかる。

 その魔虫を喰いに上から魔獣が降りてくる。



「こんなに美味しいのに何で食べないのかしらね。魔物には毒になる成分でも入っているのかしら」


「あらでも、うちのバスグリンちゃんは食べているわよ」


「ほんとね」



 杉山さんがりんごのような果実の切り身をスライムに与えていた。そう言えば清みんは何でもスライムに食わせていた気がする。



 空間スキルのバスを利用した果実採取ツアーが短期間であったが盛況だった。

 今回採取した物は個人的に利用するのも良し、ギルドで他の物との交換もありだった。おかげでギルドもクリスマスや年始用の果物が大量に入手出来たと喜んでいた。


 加瀬家の面々も大喜びだった。好き嫌いの多い清みんだが柑橘系は大好物だったようだ。



 そうして年が明けた。


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