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俺達YOEEEEEE?けど異世界満喫したいよね?  作者: くまの香


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35話 着々とテイム

 ----(大島視点)----


 俺が所属しているのはギルドの迷宮探索課の『探索チームB』だ。その名のとおり迷宮を探索するチームのうちのひとつだ。


 班長の久瀬さんはスライム持ちだ。桂さんと七海倉さんは物理攻撃が強、大乃木さんは体力特化の隊員だ。

 そして俺が完全防御(箱型)で5人のチームである。


 普段は迷宮に潜っている事がほとんどなのだが、今回は特別任務という事でギルド本部へと呼び出された。


 話を聞くと、空間スキル持ちのテイムを進める計画があるので、その補助を俺らのチームで行うそうだ。

 俺らのチーム、と言うより、俺の完全防御で安全にテイムを行うためだろう。


 ふと見ると長谷川さんのチームも呼ばれていた。長谷川さんはミニバンを転がすママさんで地上メインのグループに居る。

 長谷川さんのミニバンのように、小回りの効きかつ窓付きの空間もテイムに向いているのだ。


 テイムは、魔獣に直に触れる事なく限りなく近づく必要があるからだ。


 他にもアニマル課やテイム課の人達も今回の作戦に参加しているようだ。

 テイム課はテイムに関する指導を行い、テイムまでの仕事だ。その後はアニマル課が引き受けている。


 アニマル課とは、テイムした魔物や小動物の保護や育成などを行う部署だ。ニッポン街の地上にあるふれあい広場やまものカフェの運営もアニマル課がおこなっている。




 今回の会議は、空間スキル持ちの人達のテイムを積極的に行なっていくので、その補佐をお願いしたいとの旨であった。



「と言ってもまずは空間スキル経験値を100まで上げる事が優先になります。その後にテイムを予定しています」


「それはつまり、ギルド員としての戦闘要員ではなく一般人で、という事でしょうか?」


「そうですね。これまでは気力スキルを取得したギルド員のテイムに力を注いできました。しかし今回、空間スキルの整理により、一般人にも魔獣のテイムを展開していく事にしました」


「スキルの整理により、とは」


「異世界四年になり国民の生活もだいぶ落ち着いてまいりました。気力スキルと異なり、空間スキルは本人が希望して入手したわけではありません。そこで今回、ほぼ未使用の空間について破棄希望の受け入れを決定いたしました」


「ふむ。現在はここに安全な空間というべき街がありますからな」


「ええ。ですので手放して問題はないでしょう。ただひとつ。空間スキルにはテイムが付いています。いえ、正式にステータスで認識できるスキルではないのですが、空間スキルとテイムスキルが表裏一体なのは確かです」


「ほぼ100%のテイム成功率ですか。羨ましい限りです」



 課のお偉いさんが集まると、分かりきった話でのマウント取りが面倒臭いな。

 早く本題に入って欲しい。ここに清みんがいたら穴に入って寝てしまうぞ?



「ギルド員でない一般人に戦闘を強制はできません」


「つまり、空間スキルを手放すと同時にテイムの消失を認めると」



 テイム課やアニマル課のように、日々、この世界の魔獣と関わっているギルド員からしたら、テイムスキルは垂涎ものだ。それをあえて破棄させるのを許す、か。なるほど嫌味のひとつも言いたくなるか。



「彼ら彼女らは災害に巻き込まれた一般人です。自ら選びそのスキルを入手したわけでも、誰かから奪ったわけでもない」


「そして今回、自ら棄てる事を選んだ、と」


「宝を手放すわけか」


「何を宝とするかは、人それぞれです」



 アニマル課もテイム課も渋い顔で黙った。だが、一般人にソレが『宝』かどうかなんてわかるわけがない。

 今はギルドが国民達を守っている。それは元自衛隊でもあるからだ。元警察だったり、元消防だったり、国民を守る立場の人達だったからだ。


 でも、いつまでだ?


 4年近く経った今でも地球から救助が来ると信じている人は多い。いつか誰かが助けてにきてくれる。それまでも誰かが助けてくれる。


 いつまで?


 もしかしたらあるのかもしれない。突然の救助。


 でも俺は、かなり前から、ほぼ当初からソレは諦めていた。だから自分の力で生きていく道を探す。

 ただの疲れたサラリーマンだったが、偶然にも手に入ったスキルを駆使して出来る事はしてきた。


 俺はいつも『もしも』のために用意をしておきたい派なんだ。

 今、ニッポン街のギルドは、いわゆる国営だ。国民のために動いている。

 だが、この世界のギルドは違う。デスエのギルドも。国営ではない。国民に無償の補助はしていない。ギルド同士の繋がりはあるようだが、そもそも『国』にあたるモノがあるのかも不明だ。


 そして、あちこちの地下都市にあるギルドは民営というのだろうか、どこ系列の運営かはわからないが、そこに必ず『儲け』はある。ニッポンのギルドのように無償ではないのだ。


 俺はニッポンギルドも、いつかは他と同じギルドになると思っている。俺らは自分の足で立たないと、いつかニッポンギルドが民営になった時、背負われていた背中から落とされるのだ。


 テイム課の課長が言った『宝を手放す』は、そのとおりだと思う。

 この世界、『スキル』は重要な宝だ。俺たちの地球には無かったが、そのあたりの話は日々勉強会やらなんやらでしているはずだ。


 地球になかったからよくわからない、今必要としない、ソレで捨てるのは本人の勝手ではある。後で悔やむのも勝手だ。

 悔やむかどうかは、今は不明だからな。



「個々でそのあたりも再度説明はしました。が、それでも不要としたかたは、諸々に署名を頂きスキル破棄に移行します。破棄のかたの話はこのへんで、前向きにスキルを使う方の話に進ませていただきます」



 話を聞いていくとアニマル課の課長の頬がパァッと明るくなった。



「機内でふれあいカフェですか!」


「はい。現在はふれあい広場と小型の魔獣カフェが病院横にありますが、それとは別に飛行機の機体の中に小型魔獣のふれあいカフェを造ります」


「それは、今ある魔獣カフェと違うのか?」


「現在ある『ちぃまものカフェ』は、配給券が必要な喫茶店で柵越しに魔獣を見ながらコーヒーを飲む場所ですね。機内カフェは、猫カフェのような感じで、機内でお茶を飲みながら放し飼いの小型の魔獣とふれあう事ができます」


「外の魔物カフェとの違いがわからんが……? 見るか触るかの違いか?」


「見るだけと触れるのでは大きく違いますよ。それと無料券を配布します。仏間で参拝した者に無料の飲み物券を配布して、参拝から機体への動線を作ります。それにより参拝客に機体を利用してもらい経験値を稼ぐ事に繋げます」



 なるほど。それはナイスだ。長い螺旋階段を登り参拝をした人の足休めにもなる。今までは個人的な配給券を利用しないとならなかったカフェが、参拝すると無料で貰えるのもいいな。



「それは素晴らしい。が、混雑しないかね」


「混雑を避けるために30分の入れ替え制にします。参拝者の人数の様子を見て短くも長くしてもいい。とにかく機体使用者を増やすのが目的です」



 なるほど。ただ、お茶をするようにだとそこまで興味をもたないかもしれないが、小さい魔獣に触れ合えてお茶も無料で飲める。しかも毎日参拝する事で顔見知り魔獣が出来るかもしれない。

 魔獣に対する忌避感や恐怖感も薄れるかもしれない。



「と言う事はテイム課で小型の魔獣をテイムすると言う事でしょうか」


「はい。小型の、出来れば幼獣が希望です。と言うのも、保育園の経験値を上げる事に繋げる計画もあります」


「保育園の? 現在はここ地下に保育園がありますね。それとは別に地上の保育園を使用するという事ですか?」



 話を聞くと、何と人ではなく魔獣用として保育園を利用するそうだ。

 確かに乳幼児を毎日螺旋階段を登り降りさせるのは大変だ。かと言って、確実に安全とは言い切れない地上で幼い子供達を生活させるのも出来ない。


 それが魔獣の子供なら。なるほど考えたな。



「その、魔獣の子供で保育園の経験値が貯まるものなのでしょうか?」


「実のところ、やってみないと分かりません。が、機体で幼獣のカフェを開くなら、その幼獣を保育園で飼育してみてもよいのではと言う意見がございました」


「なるほど。飼育場所を保育園に移せばいいのか」



 アニマル課の若い男性が呟いた。



「現在の地上にある施設で経験値が100未満のものの底上げをしていく予定です。そこでまず、保育園で幼獣の飼育、機体で幼獣のふれあいカフェ。そしてもうひとつ、ダイニングキッチンが現在経験値78だそうです。こちらはアニマル課の地上勤務の皆さんでキッチンを日々使用していただきたい。朝昼晩の1日3回。出来ればそれ以外でも。スキル所持者の高松さんも時間が取れる限り参加してくださるそうです」



 高松さん……。

 ああ、愛菜ちゃんママさんか。最近清みんちで過ごす時間が減っているからな、前に一度皆さんの名字を聞いたけど使う機会がほぼ無かったから、忘れかけた。


 今回は保育園、機体、キッチンの3人だけか? ソソっと肘から上を挙げてみたら直ぐに指された。



「大島君」


「はい。ええ、今回の経験値の底上げは、キッチン、機体、保育園の3名だけですか?」


「いや、他のバスや車などの経験値も100まで持っていく予定だ。だが、今回テイムと絡めて進めるのはまずこの3名の空間と言う事で、アニマル課、テイム課にこの会議に参加していただいた」


「では、他は第二弾で?」


「いや、あちらはあちらで関係部署が現在会議を進行中のはずだ。移動系の空間スキルは別の課が中心に進める」



 なるほど。あっちはあっちね。



「それは、ここニッポン街のみですか?」



 誰かが質問をした。


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