30話 スキルマックス
----(清見視点)----
「何で20日なの?」
「ああ、最初から10日間は貰えてるかなーって。だから合わせて20日。21日目には消える。ええと、例えば園長先生は保育園52だから最初の10日プラス5日で15日は大丈夫かも」
と、話してから慌てた。あくまで俺の勝手な推測を信じて皆のスキルが消えたらマズイ。
「あっ、あっ、あくまで、俺の勝手な推測ですから! 試したりしないでください! ギルドの指示に従ってくださいね」
「あら……でも、わかりやすいわね」
「うちのキッチンは78だから17日」
「私は機体49だから14日……2週間か。気をつけないと」
ちょっと、俺の勝手な考えだから、盲信するのやめて。
「飛行機が2週間かぁ。もうちょっと延ばしたいわよね。機体の経験値ってどうすればいいのかしら」
「あそこは有用な物が多いから経験値マックスにしたいわね。私も協力するわ」
「私もするする! 今ってあそこカフェになっているのよね? それにしても経験値の上がりが遅いわね」
「カフェになったのも割と最近だし、ほら、近くにふれあいカフェが出来たでしょ? あっちは賑わっているけど、機体はただ座ってお茶するくらいだから……」
ふれあいカフェ……ふれあい広場の横のちぃまものカフェの事か。あっちは人気が凄いらしいな。
「これは皆で力を合わせて機体100にしないと! あとまだ100でないのって……」
「うちのダイニングキッチンー! ギルドへ移行しちゃってから週一で顔を出すだけだからかな。まだ78なのよ」
「保育園は52ですが、今は地下に保育園が出来ちゃってますから地上のは保育園としての使用はないですね。物資再生をギルドが行うくらい」
「病院は稼働しているし、トイレやシャワーを日々使う人が多いからかなり早い段階で100になりました」
「キッチンと飛行機は、私たちで使用案を出してギルドへ申し入れましょうよ。経験値マックスを目指して!」
「保育園はどうする?」
「流石に毎日あの距離の螺旋階段を子供達を連れては……」
ふと思った。子供じゃないとダメなのか。『保育園』という名の建物だから乳幼児しかダメなのか?
「大人が使用しても経験値は貯まらないか、試してみてもいいかも」
ママさん達の会話には混ざっていなかったが、耳には入っていたのでつい独り言が口から出てしまった。
「そうよ! 大人の宿泊所にしてみて経験値の貯まり具合をみてみましょうよ」
「そうねぇ。ただ、元が保育園なので、部屋も子供仕様なのよ。大人だとそう何人もは泊まれないわね」
「それでも、やるだけやりましょうよ。地上勤務のギルド員に宿泊してもらうとか」
保育園……保育園ね。大人か子供かと言うよりも、『保育』が必要かどうかが要かもしれない。
つまりは保育するのであれば人でなくてもいいかもしれない。
「あの……保育園ですけど、大人が宿泊する検証よりも、魔獣の子供を保育するとかどうかな……」
「魔獣……?」
「ベビ魔獣の保育園! それ、いいわね、清見君!」
いや、そこまでは言ってないですが……。
「ほら、近くのふれあい広場やふれあいカフェがあるじゃない? 魔獣の。それの飼育って事ね」
「いえ、飼育ではないです。そこは保育で。それで保育園として成立すれば保育園の経験値も貯まっていかないかな」
「清見君、天才! 子供達を毎日螺旋階段で連れてきたり、地上で宿泊させるより、安全でいいわね。魔獣の子供の保育園!」
どうせ近場でギルド員が世話をしているのだ。場所を保育園にしてもらえばいいだけだ。
「ふれあい広場のギルド員にお願いして、小さめのを保育園で飼育……保育してもらえば。一応園長先生や保育士さんも最初は待機してもらって。それで経験値の入り具合を見てもらって」
園長先生のスライムもいるからそこまで危険ではないだろうし、やってみる価値はあると思う。
あ、もちろん、それもギルドへの報告案件だ。
見るとママさん達がギルドへ持ちかける案を取りまとめていた。
リコちゃんママのスキル消滅は寂しい事だったが、それが今は皆のやる気に結びついている。
そう言えば、気になる事がひとつある。
空間スキル持ちに可能だった謎のテイム。空間スキルが消えた今、どうなってしまうのか。
夜はスライムを地上に放している。主に食事のためだ。
リコちゃんママのスライムはバスグリンちゃんだったか、割と緑寄りのグレーのスライムだ。
呼んでもらうか。
そう、『テイム』はこれまた謎のひとつだ。ステータス画面にテイムスキルが無いにも関わらず、空間スキル持ちは何故か魔物をテイムする事が出来る。
まぁ、俺は『テイム』と言うより『友達』と思っている。
「あの……リコちゃんママ……、バスグリンちゃんは、今地上ですか?」
皆が、「えっ」とか「あっ」という顔になった。俺の言いたい事がわかったようだ。




