29話 スキル消滅の検証②
----(清見視点)----
21日目。深夜23:50、風呂ママさんのステータスに表示された空間スキルが点滅していた。
この世界へ転移してステータスでスキルを確認してから、点滅したのは初めてだ。
と言うか、他人のスキルなので見えない。
ママさん達が風呂ママさんの居住スペースに集まった。
「点滅って……」
「うん、あのね。文字がピコピコ」
「今、23時56分。風呂ママさん、ステータスから目を離さないで。恐らく、24時ジャストに何か起こる」
「何かって何? 清見君……」
「わかりません。多分、スキル消滅……」
「だわよね、きっと」
「消滅10分前に点滅してたんだ……」
そもそも気がつかないうちスキルが消滅するんだから、点滅を目撃した者がいるわけがない。それ以前に空間スキルの所持者が少ないからな。
風呂ママさんを中心にまわりを皆で囲い座った。
「あと30秒で0時です。カウントダウンしますね」
ギルド員が時計を見ながらカウントダウンを読み上げていく。
「12……11……10……9……8……7……」
誰かが唾を飲み込んだ音がした。いや、自分かもしれない。
「4……3……2……1……ゼ」
「消えたわ」
ギルド員のゼロに被せるように風呂ママさんが静かに発した。
スキルが消えた。
わかっていたひと言だったが、なんとなく寂しさを覚えた。カウントダウン後は歓声ではなく静寂が広がった。
「それにしても、21日って随分半端ね」
「そうね。21に何か意味があるのかしら……」
「サンシチ21……3週間か。3週間、それも半端ね」
「この世界では普通なのかな」
いや、1週間が7日なのは地球基準だ。それにそもそも『空間スキル』はこの世界では見た事がないと言ってた。
あの転移の際に付与された『空間』スキル……、もしかするともっと単純かもしれない。
21日目で消滅。
裏を返すと20日間はスキルは消滅しない、存在している。
スキル消滅まで、少なくとも1週間は保つから『週一詣で』が推奨されていた。
もしも初回、この世界に来た状態でのスキル保持時間が『10日』だと仮定してみる。
そして経験値が10を超えるごとに、保持時間が24時間(1日)延長されるとしたら。
経験値が100で10日の延長。つまり、最初の10日プラス10日で20日間になる。
空間スキルの経験値が100まで貯まるとマックス20日間は空間から離れてもスキルは消滅しない。
だが、21日目はダメだ。経験値は100以上にはならない。恐らく保持時間もそこが天井なのだろう。
もちろん細かいルールはあるのかもしれない。例えば距離により保持時間が延びるとか?
だが俺は、面倒だからいいのだ。
俺の仏間は現在経験値が100だ。だからもしも万が一仏間から離れるとしても20日間ならオッケーさ、と覚えておこう。
難しい事はギルドが考えるさ。
「ちょっと、清見君! 何ひとりですっきりした顔をしてるのよ!私達にも教えてよ!」
「えっ、なになに? 清見君、何かわかったの?」
風呂マ……もう風呂はないか、ええと、リコちゃんママを囲んでいた皆にいつの間にか俺が囲まれていた。
「いや、その、俺、細かい事は苦手なんで、経験値10で1日延びるって思う事にしようって、勝手に考えてました。俺は仏間100なので20日……」




