表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺達YOEEEEEE?けど異世界満喫したいよね?  作者: くまの香


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

19/107

19話 町内会のイベント①

 ----(清見視点)----


 ドドクサが集めた情報により、ギルドはデスエとの積極的な交流を展開する方針にしたようだ。


 それは、国や仕事上の交流だけでなく、どちらかと言うと一般市民の交流を推進する方向だ。

 と言うのも、この世界の言語は謎の翻訳機能が自動的に働いて、耳に入ると同時に脳に伝わる時にはほぼ瞬時に理解できる言語になっている。


 例えばデスエ人が『ほにゃあら、ほにょほにょ』と言った時、こちらはそれが『今日は、いい天気ですね』と理解する。耳に入った時にはホニャだった部分が脳ではしっかり日本語になる。

 けれどそれは、こっちが知っている言葉でないと変換に失敗するのだ。


 最初の頃は、英語が苦手(日本語以外が苦手)な自分の能力が低いせいで翻訳が失敗しているのだと思っていた。

 けれど周りに聞いてみると案外他の人も完全翻訳ではなく、モヤが張る単語もあるようで、ニュアンスで理解していたそうだ。


 デスエ語についてはギルド(国)がどうにかするのだと思っていた。ギルドが運営している学校でデスエ語のクラスがあるのかなとか、今更学校には行かない年齢の大人は、英会話スクールみたいな『デスエ会話スクール』とかをそのうち開催するのかもしれない、と思ってた。


 どっちにしろ押入れ界隈の住人である自分に海外(異世界)留学は関係ないなと他人事だった。



 それが、このたび正式に『一般国民によるデスエ民との交流』なるものが発表されたのだ。


 なんで?どうして急に?と思った。



「ギルドや仕事関係だけの外交だと使われる言葉も限られている。それで、もっと普段の会話からデスエ語を脳内に染み渡らせる作戦に出るらしいぞ」



 ギルド職員の兄貴から得た情報だが、ナニソレ。デスエ語を脳内に染み渡らせるって洗脳? 俺ら洗脳されるの?

 俺が嫌な顔をした事に兄貴が気がついて慌てて言い方を変えてきた。



「あ、ほら、英語習得でもさ、日本の英会話スクールで日本人にまみれて習うより現地で英語まみれになった方が習得が速いって言うだろ?」



 いや、知らん。海外留学とかした事ないし。



「まず耳で慣れろってのがギルドの考えみたいだぞ?」


「耳で……慣れるもんなのか?」



 自動翻訳とはいえ、モザイクのかかった単語は繰り返し聞いてもモザイクはかかったままじゃないのか? 耳がデスエ語を雑音と判断したら、雑音はいつまで経っても雑音だと思うんだが。

 それともあれか?目を凝らすとモザイクの先にある物が見えてくるように…………。


 自宅の壁越しに隣のママさんがヒョイと顔を出した。



「つまり、あれでしょう? 子供が言葉を習得するのと一緒。勉強として教え込むのじゃなくて、普段から繰り返し使う事でいつの間にか理解してるってやつ」



 確かに……言われてみるとそうなんだが、子供ってどうやって言葉を理解していくんだ?

 俺もやったはずなのだが、たかだか30年前の事が思い出せない。



「うちの裕理はさ、きぃたんは覚えるの早かったんだよ。でもパパとかとーさんは言ってもらえなくてさぁ。悲しかったなぁ」



 そうだったな。



「まぁ、元妻と色々あって実家で預かってもらう事も多かったからなぁ。お袋達が死んでからは清見が面倒見てくれてただろ? 裕理からしたら俺はたまに来る見知らぬ人間だったのかもな」


「うーん。幼児がどこまで理解しているのかわからないけど、橘さんは、加瀬さんだったり橘さんだったり兄貴って呼ばれたりがほとんどじゃない? それに比べて清見君は、名前で呼ばれる事がほとんどだから、裕理君からしたらキヨミって人で、叔父とか父親の弟とかは理解してなくても覚えやすかったでしょうねぇ」


「そうだな。今はもう父さんと呼んでくれるが、それも父親が何とまでは理解していないだろうな」


「そこまでの理解は必要ないのよ。今は親のいない子も多いしお父さんお母さん呼びは逆に不要じゃないかしら」


「そうだな。そのうち俺も裕理に橘さんと呼ばれるかもな」


「いいじゃない。ほら、アメリカとかそうじゃない? 家族間でも名前呼び。デスエはどうなのかしら」


「そうそう、話が逸れたけど、そういったデスエの普段から使われる言語から攻めていく方向に舵を切り替えるそうだ。ギルドではなくて一般人のデスエ民との交流を推奨する、それをする事で、翻訳の幅が広がるのを期待しているそうだ」



 なるほど。わかったようなわからんような。ただ。デスエ人と多く交流しないと言葉の習得が難しいなら、俺にはハードルが高すぎる。押入れ好きのデスエ人が居ればいいが。居たとしても押入れ好きなら無口な気もする。



「ここニッポン街にもデスエの人達をどんどん入れていくそうだ」


「へぇ…………そうなんだ」



 俺は興味がなくなったので、話題から外れようと思った。他のママさんも井戸端に参加し始めて、加瀬家の人口密度が高くなったのだ。

 俺は押入れ(壁の穴)に篭ろうとしたが、兄貴に肩を掴まれた。



「待て待て、清見。花笠会議を開くからもう少しここに居てくれ。郁未君ママさん、すみません、花笠町会の他のママさんも呼びに言ってもらっていいですか?」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ