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俺達YOEEEEEE?けど異世界満喫したいよね?  作者: くまの香


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18話 箱型②

 ----(大島視点)----


 狭い通路を抜けた先にネズミの魔獣が2体いた。



「菱形にします」



 ボックスを細い縦長から菱形に変形させた。その方が戦いやすいだろうと思った。



「アクティブにします」



 完全防御がパッシブのままだと、敵からの攻撃は受けないが、こちらからも攻撃が出来ない事が判明していたのだ。

 アクティブにすると、こちらから攻撃が可能だ。ただし、向こうからの攻撃時に防御を意識しないとならない。


 完全防御、ただ、守っているだけなら万全のスキルだ。しかし、そのスキルの中から攻撃を繰り出すには、防御の無い状態で攻撃をしつつ、すかさず防御を戻すというかなり細かい技が必要だったのだ。


 よくぞ、今まで、無意識にそれをやってのけていたと、自分を褒めてやりたい。まぁ攻撃よりも逃げ回る事が多かったのが幸いしたな。


 つまり、パッシブ防御はつけっぱなしでラクだが、アクティブ防御は瞬時に切替必須の神技だ。



「出来ればボックス外で戦ってもらって、危機になったら中へ戻ってもらえますか」



 右の七海倉さんと左の桂さんがそれぞれ大暴れなんだ。2人とも現在は物理攻撃が強ランクまでいっている。

 うちのチームの前衛ツートップってとこだ。班長の久瀬さんはスライム持ち、大乃木さんは体力スキルだ。


 その前衛のふたりが右と左で、現在アクティブの防御から出たり戻ったりでツノネズミと戦い中だ。

 俺は顔は前に向けたまま、視線は右へ左へと忙しく動かして、ふたりが俺のスペースに入った時には防御がかかるように頭で考える。



「すいません! せめてふたりが同じ方向で戦ってほしいです!!! いったんパッシブにします!」



 そう言ってパッシブをイメージした。桂さんらが俺の元に集まった。



「すまん、すまん」


「目が……目が、ロンパリに」



 俺は目頭を押さえつつ軽く揉んだ。後衛に必要なのは動体視力を鍛える事か……。

 その間もツノネズミは俺の防御壁に体当たりをする音が響いていた。目を開けて確認をすると、ツノネズミはかなり傷ついていた。



「大島、もうひと踏ん張りできるか?」


「はい。左側へ押していきます。右のをまずたおしてください」



 皆が頷くのを確認して洞窟の左側へとボックスで寄っていく。そちら側に居たツノネズミが壁に押し付けられた。



「桂さん、七海倉さん、おふたりを防御から出します」



 それに頷いたふたりは防御から弾き出され、その勢いで右側に居たツノネズミにトドメを刺して、今度は壁に押し付けられたネズミに向かった。

 少し隙間を作るとネズミは近くに居た桂さんへ向かう。その背後から七海倉さんが剣を振り下ろす。


 なかなかにしぶとい。俺のボックス内に居た大乃木さんが俺の肩を叩いた。見ると鈍器を手にしている。

 大乃木さんも防御から出した。その勢いで大乃木さんはネズミに鈍器を降り落とした。ネズミ沈黙。



「アクティブ防御のままの戦闘は難しいな」


「すみません。コントロールがかなりキツイです」



 この世界に来たばかりの頃、ドドクサ達を防御内に入れて、中から魔虫に石を投げつけていた戦いはたまにしていた。


 あれは倒すよりも一撃を入れるだけであったし、恐らく投げる瞬間だけ無意識に防御を外していたのだろう。知らなかったとは言え結構危険な事をしていたな。 



「大島のスキルは完全防御だからな。前衛で戦うためのものでは無いしな」


「危険な戦いの中、安全なスペースがあるというだけでもかなり違いますね」


「そうだな、それ特化で使い道を考えていこう。戦闘スキルではないからな」



 助かった。いや、無理。アクティブ防御で4人がそこらで好き勝手に動いているのに防御を展開するとか無理。



「出来れば、移動する安全地帯として扱っていただければ……」


「そうだな。アクティブ、パッシブのメリット・デメリットはわかった。オンオフはイメージでいけるのか? 声に出していなかったな」


「はい、脳内詠唱でオッケーです」


「大島君さぁ、完全防御箱型って、箱の変形は出来るの?」


「桂、さっきやってたじゃないか。大島君が細長の箱になって狭い所を通っただろ?」


「うん、だからさ、箱の形も自在に変えられる?」


「箱の形?」


「うん。ほら、箱って聞くと普通に立方体を想像するじゃんか?」


「立方体って何だっけ?」


「サイコロみたいな六つの正方形に囲まれた、立体」


「そもそも正方形じゃないじゃん。電話ボックスって、何だっけ、そう、直方体」



 桂と大乃木に勉強が好きで無いと普段から豪語する七海倉がチャチャを入れる。



「ええと、つまり他の形にも出来るか、ですか?」


「出来るのか?」



 班長にも聞かれた。

 いや、あまり気にした事がなかった。『箱型』の言葉から最初からずっと電話ボックスをイメージしていた。

 しかし最近は徐々にサイズを変えたり、上に伸びたり前後に伸びたりは出来た。



「箱型と聞いたが、そもそも『箱』とはなんだ?」


「何ですかね?」


「なんだろう?」


「大島、丸くなれ」



 え?

 それは……話の流れからだと、丸い防御になれって事ですよね?まさか、性格的に丸くなれって事ではないですよね?



「いや、丸はダメだろ? 丸くなったら箱型じゃなくて、そりゃ丸形になるだろが」


「だけど、丸い箱とか、ありません?」


「丸い箱? 聞いた事も見た事もねえぞ?」


「とりあえずやってみろ」



 久瀬班長に言われたので頑張ってみた。

 うーむ、うーむ、うーむ。


 俺の周りの薄ブルーの四角い部屋は丸くはならなかった。



「す、すみません。俺にはまだ丸形は無理みたいです。はぁはぁ」


「いや、いい。すまん。丸くなられても逆に中に居づらいな」





 とりあえず帰還をする事になった。もちろん帰りはパッシブで防御ボックスを展開したままだ。

ふう、ラクだ。皆も中で座り込んだまま移動が出来てラクのようだ。


 ふと、それを見ていて、昔の清みんの気持ちに、不意に思い至った。

 皆が乗った仏間をひとり引いて横を歩く悲しさ、あの時の清みんはこんな気持ちだったのか。


 そう思っていた時、右上の壁にムカデモドキが張り付いていた。俺らに気がついて防御の角に寄ってきた。


 くわっ!


 八つ当たりだとわかっているが、箱型防御の角が妙に尖ってムカデモドキを貫いた。

 防御内に居た皆が思わず立ち上がっていた。



「大島……、今の……」


「あ、すみません。なんかやったら角が立ちました」



 とう!とう!


 角に向けて腕を振り上げるたびに防御の角が鋭く尖り突き出す。

 あ、これいいな。これこそまさに防御内からの攻撃だな。


 班長の指示で角がどれくらい伸びるのか検証をした。結構な長さに伸ばせる事がわかった。

 しかもパッシブ状態にしてから経験値の貯まるスピードが上がった。そうか、前はアクティブだから経験値が貯まりづらかったのか。


 今日は色々と発覚する実りある一日だったな。

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