107話 番外編 『SR』
清見の空間スキルを裕理に譲渡前の話です
----------------------------
----(清見視点)----
以前は年一回、定期的に触れていた石版でのステータス診断も、今は不定期で適宜確認でよくなった。自分で見られる人が増えたからだ。
俺らは久しぶり踏破済み迷宮のボス部屋奥にある石版にやってきた。単に暇だったからだ。
石版は一度触れるとあとはそこまで力まなくてもステータスを表示出来るようになるので、訪れる者は減る。今日も俺らくらいしか居ないだろうと思っていた。
が、石版の間には思ったより人が居た。どうやらデスエの冒険者が定期的に触れに来ているらしい。
「大変です! シショー!」
デスエ人の周りをウロチョロしていたドドとクサが飛んで戻ってきた。
「スキルって使わないと消えるらしっす」
日本人、大仰天。
「な、何だって!」
空間スキルが消える事は周知の事実だ。空間から離れるとか一定期間行かないとか、あと最近は子供が7歳になると消えるも増えた。
だが、他のスキルの消滅は聞いた事がなかった。
「あ、いや、すぐに消えるわけではないみたいです。ええと貯めた経験値が減っていって、ゼロになると消える?」
「えっ、何それ、スキル石を使ったやつも?」
「はい。だからデスエの人は自分が使うスキルの石を選んでスキルを入手するらしいっす」
むむ、俺ら日本人は『(石が)あるなら何でも取っとけ』的な精神だよな?
いや、俺は面倒だから取ってないけどな。
スキルが使わないと消える。これ、ギルド知っているのか?
横に居た大島氏をうかがいみる。大島氏もびっくり仰天な表情だった。うん、知らなかったか。
「ええと、だから、迷宮の新しい階層に潜る前には自分のスキルを確認しているそうです。あると思ってたスキルが消えていたら命にかかわりますからね」
「わざわざ石版まで来るのか? フンガは?」
「デスエ人はフンガが苦手みたいですよ」
「そうそう。以前に説明した時、フンガの勢いで鼻水吹き出してさ、それ見てこっちも吹き出したよ」
俺らは石版前に並んでいるデスエ人の後ろに並んだ。
順番が来て石版に触れる。うん、いつも見ているステータスと何ら変わりはないな。消えてもいない、増えてもいない。
空間(仏間100)
回復(極)
気力(強8.88885)
おお、気力がいつに間にか育っている。
「8で揃えたい……けど、あと0.00003ってどうすれば……」
「ほうっておけば上がるんじゃないですか?」
「清みんは普通に生きるだけで気力を使い続けていそうだからな」
「8揃えにしてもそれを写真に撮れるわけじゃないんだから」
確かに、そうだけどー。
この石版、画像を印刷してくれる機能……なんてないか。
「おっ、俺の箱が極みになったぞ。スキル完全防御(箱型極)」
大島氏、結局、箱は箱なんだ。
「けど、完全防御ってスーパーレアっすよね。経験値が小数点以下7桁ってさ」
「他にいないのか? SRスキル持ち」
「うーん、聞いた事ないっすないっすね。ギルドでもSRは大島氏だけじゃないっすか?」
「あ」
「なんだ? 清みん、何か知っているのか」
「いや、その、し、知らない」
「知っているんだな。吐け。サクサク吐け」
「あー、えとえと、大島氏以外のスーパーレアスキル持ちの、噂……」
「いるのかっ!」
「居るんっすか?」
「あー、えと、サエさん、じゃなかった、ええと、コロ、さん?」
「殺さん? 殺さずのスキル……か? 殺伐としているようなしてないような?」
「あー、マック2号店でバイトしている山野さん……と、同居?している……その、」
「わかった。訊ねてみる」
マック2号店でバイトをしている青年山野氏の、飼い犬であるサモエド犬のコロ、コロさんはスキル持ち犬であった。
その名も『大魔法錬成』。コロさんはマック2号店の守り神となっていた。
頑張れ、大島氏。
完
---------------------
長らくご愛読いただきありがとうございました。




