102話 番外編 『俺、犬だけど異世界転移した②』
異世界に転移した時点に遡ります。
-----(犬視点)-----
危ないっ!主!
俺は主の背中に飛びかかった。主に向かってきた黒い塊と主の背中の間へと、間一髪で入り込む。
その黒いものは俺の横っ腹にめり込んだ。
その時俺の目に映ったのは主が好きだった『ガチャ』と言ってたものだった。主が毎晩パソコンとやらにむかい「今日こそいいのを引くぞ」と言っていたアレに似ているものだった。
主はそれをやる時に俺の前脚を掴むと俺の脚の裏の肉球をパソコンとやらに押し付けるのだ。
「猫の手を借りるとレアが出るって言うからな」
主、主、俺は犬だぞ?
「クォン?」
一応抗議をしたが流された。
今、それと似たような物が目の前に浮かんでいる。とりあえず、主が喜ぶかもしれないからポスっと押しておくか。
『大魔法錬成』???意味がわからん。
主から「これもハズレかぁ」と言われるかもしれん。もう終わりか?一回だけか?主はいつももっとやっているぞ?
と、そんな場合ではない、主を助けなくては!そう思った時にはそこに主はいなかった。
見たことのない、嗅いだことのない場所。
どこだ?寝ている間に車で連れてこられたのか?それでも主の匂いが全くしないのはおかしい。
どこだ?ここはどこだ?主はどこだ?戻らねば、主のもとに戻らねば。きっと心配している。
主は俺が大好きだから俺を置いていったりしない。たまに『捨てられる』という話を近所の犬たちから聞いたりもしたが、主は絶対にそんな事はしない。
俺が大好きだから。俺も主が大好きだから。
「きゅいぃーん、わぉおおおん!」
思いっきり叫ぶが、主の気配は無いままだ。とにかく『人』の匂いのする方へ行ってみるか。
なんだなんだなんだっ!
この辺は会ったことない獣が多いな。そしてどいつもこいつも好戦的だ。見た途端に飛びかかってきやがる。
しかし、俺は負けないぜ。主を見つけるまでは何としても生き残る。
…………あれ?
今、俺の口から、火が出なかったか?気のせいか?気のせいだよな?
完




