案外、そういうものである
千年前に造られたこの機械は凄まじい。
何せ、現代においても未だその全容が解明出来ない構造なのだ。
――無論、今では部分的にこの機械を越える発明は数多くなされている。
しかしながら、それらはあくまで『部分的』だ。
つまり、この原点にして頂点は未だに越えられていない。
「一体、どうなっているんだ……?」
科学者たちは頭を悩ましている。
「分からん……そもそも何故、これが成立しているのかも不明だ」
「現代の技術や知識でさえ解明出来ないなんてな……」
果てなき目標が現実に存在する。
それは幸運であり――同時にこれ以上ないほどの屈辱だ。
「開発者は悪魔の頭脳を持っているだとか聞いたことがあるぞ」
「いや、悪魔そのものだったとさえ言われているらしい」
くだらない冗談だ。
しかし。
「案外、ありえるかもな」
***
千年前。
開発者がぽつりと言葉を漏らした。
「これ、何で成立しているんだろ? まぁ、いいか。動けば……」