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何か忘れている?

「て、手伝うって、何をですか!?」

 まさか、といった顔で俺と坂崎さんを交互に見ると、大きく手を振ってくる。


「意味が分かりません、理解不能です!坂崎さんは学級委員長ですよ!? 彼女は彼女の責務を全うしようとしているに過ぎません。 兄さんが手伝いに行ったところで、彼女の業務を奪うだけです。」

 まぁ確かに澪の言う通り、学級委員長の責務を全うしようとしている坂崎さんを手伝ったところで、彼女の業務を奪うだけで、坂崎さんの為にはならないけど、他の生徒がやらなければならない事まで引き受けることは無い。


「坂崎さん、手伝うよ。何すればいい?」

「ちょっと聞いてましたか、兄さん!?」

 俺が坂崎さんを呼び止めると、すぐさま澪が駆け寄って制止してくる。


「聞いてたけど、他の生徒がやらなきゃいけない作業まで坂崎さんがやる必要は無いよ。」

「あ、ありがとうございます!湊君!」

 俺の言葉に安心したのか、坂崎さんは安堵したのか、明るい表情を見せてくる。


「坂崎さん、兄さんを名前で呼ぶのはやめて頂けますか!?」

「で、でも二人共『樹山』だから分けにくくて……だから、名前呼びの方がいいかなって……。それに、今更名前から苗字呼びにしても違和感があるし……。」

 坂崎さんの言う通りだな。二人共『樹山』で同じ名前だし、今更名前呼びから苗字呼びにしてもな……。


「ぐっ…………!で、ではどれですか!?さっさと終わらせて帰りますよ!」

 至極正論な意見に唇を噛み締めながら、澪は坂崎さんのやらなければならない作業は避け、クラスメイトが押し付けていった作業のみをこなしていった。


「凄い速さですね、澪さん!」

「私の事はどうでもいいですから、坂崎さんは自分の与えられた業務のみに集中して、作業を遂行して下さい。」

 坂崎さんの褒め言葉にも、澪は眉一つ動かすことなく、自分が引き受けた業務を淡々とこなしていく。


「昔から澪は基本的には真面目な生徒だ。俺が絡んでいないならな。」

 俺の言葉に坂崎さんは動かしていた手をピタリと止めてしまう。な、何かあったのだろうか。

「湊君、昔の出来事は澪さんとの出来事だけですか? 私の事は覚えていないのですか?」

 え、どういう事だ……?俺と坂崎さんが小さな頃に出会っているのか?


ーーーー全くもって覚えていないのだが……。これは覚えていないとヤバイやつじゃないか!?


「兄さん、小さな頃に坂崎さんと会った事があるのですか?」

 坂崎さんの衝撃発言に、澪も驚いた様な表情をこちらに向けてくる。


ーーーー俺は一体、何を忘れているんだ?

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