集結。
「確かに面白いですが、この今年限定のくじ引き種目は強制ですか、それとも自由制ですか?」
俺は今、職員会議室にいる。他の女子3人には別の仕事をやってもらい、教師達への説明は俺自身がする事になった。
「もちろん自由制です。今回の限定くじ引き種目に関しては、『親子がお互い揃っていないと参加できない』という様に設定付けています。 これを前もって掲示板に貼り付けておき、生徒達自ら親御さんに話す事によって、お互いの絆も深まっていくという訳です。 そして親子の内どちらかが、くじ引きボックスで引いた種目に参加し、『優勝もしくは準優勝をした場合景品をどれでも好きなものを持っていける』と言う権利を得る事が出来るわけです。」
「なるほど。では、親子間での絆は深くなり、ゲーム性もある楽しい体育祭が出来る、という訳ね。やりましょう!」
校長先生は机を両手でバァン!と叩くと、まるで教師達を鼓舞するかの如く、奮起する。
「そ、それに今回の件に関してなんですが、新聞部に以下の件を掲載する事にしました。」
おずおずと中野さんが差し出してきた紙。これには新聞に掲載する内容が、箇条書きで書かれている。
「もうご存知でしょうが、今回の件で他クラスの実行委員がボイコットをしました。 今現在、協力者は二名。新聞部の弘中千秋さんと、妹の樹山澪。 正直、この二人と自分と中野さんを合わせても、到底体育祭には準備が間に合いません。」
「それは何かね、私達に非があると、そういう事かね!?」
やはりか。堅物なベテラン教師ほど面倒くさい事は無いな……と俺がガクリと肩を落として落胆していた、その時だった。
「そうです!先生達のせいでこうなっているんですよ!? 自覚は無いんですか!? どういう状況に陥っているのか、分からないんですか!? 別に私達は無理に体育祭をやる気はありません! 先生方がそうお考えでしたら、もう好きにしたらいいじゃないですか!!」
それまで黙って聞いていた中野さんが、烈火の如く怒り狂い、箇条書きで書かれた提案書を、ビリビリに破り捨ててしまった。
「行きましょう、樹山君!」
中野さんは俺の手を強引に引き、職員会議室を後にする。
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「ご、ごめんなさい……。せっかく樹山君が提案してくれた企画書をビリビリに破いてしまって……。」
「ぷっ、あっはっははははははは! 中野さんって、本気で怒る事あるんだね、びっくりしちゃったよ! でも、スッキリしたよ。ありがとう!」
頭を必死で下げてくる中野さんの変わりっぷりに、ついつい俺は吹き出してしまった。
「だって、必死で考えてくれてる樹山君にあんな態度って無いよ……。」
中野さんの方は俺とは違い、今にも本気で泣き出しそうな、そんな顔をしていた。
ーーーーーー俺達が渡り廊下を歩いていた、まさにその時だった。
「おい、樹山。仕方ねぇから来てやったぞ。」
俺達の目の前に立っていたのは、他クラスの実行委員達だった。




