やるしかない。
「澪!? ど、どうしてここに!?」
「勿論、兄さんの力になる為です!話の内容は大体分かってますから、協力させて下さい!」
俺の驚きに対し、澪は胸を張り両手を腰に当て、自信たっぷりにそう言ってくる。
「まぁ、澪が協力してくれるって言うなら、お願いするか。」
俺は頭をポリポリと掻き、俺と中野さんと澪とで作戦を練ることにした。
まずここで重要になってくるのが、保護者と教師との間での信頼感の失墜、そして他のクラスの実行委員達が集まらない。といったところだろう。
「他のクラスの実行委員達の事はともかく、保護者達の反感を買ってしまうのは、相当なダメージですね……。」
やはり澪も、俺や中野さんと同じく、保護者の反感を買うのが一番ダメージがでかいと考えているようだ。
「今回の教師の間での会議がどうなるか分かりませんが、どう転んだところで、一度保護者から反感を買ってしまうと、取り返しのつかない事になってしまいます。」
「これは早々に手を打つべきだな……。」
しかしどうする……。 他のクラスの実行委員達が自宅に帰ったら、まずこの出来事を親に話す事は間違いないだろう。
ーーーーいや、待てよ……。
俺は今回の体育祭の事で渡された、簡単な企画書の様な物があったのだが、それを担任の先生から受け取っていた事に気が付いた。
しかし重要なのはそこではない。今回の体育祭での準備を行うメンバーの事だ。
「澪、確かお前……弘中さんと仲が良かったよな?」
「弘中さん……弘中千秋さんですか?」
「そうだ。確かその子、新聞部だったよな?ちょっと頼みたいことがあるんだ。」
弘中千秋さんは隣のクラスの生徒なのだが、中学時代からの同級生でもあり、珍しくも澪と仲が良い。
新聞部と言う部に所属しており、学校の行事や出来事、はたまたゴシップ記事までを新聞に載せる事を得意としている。
「彼女の力を借りる。どうせこのまま手をこまねいていても、保護者達の耳に入る事になる。あくまで俺達は、自分達の体育祭の為に動く。教師達の為じゃない。それを弘中さんに知ってもらう。」
俺達はあくまで生徒だ。自分達の体育祭を成功させる為に動くのみだ。
「わかりました。とにかく兄さんの言う通りに致します。」
そう言うと澪は、すたすたと会議室を出て行く。
「樹山君、何とかなりそうなの?」
恐る恐るといった感じで話しかけてくる中野さん。
「まだ分からないけど、やってみるしかないかな……。」




