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実行委員。その2


ーーーー放課後、会議室。



一口に実行委員と言っても、やる事は色々ある。

 まずは体育祭に使われる資材の確認。入場門などの設備の作成、設置。

 演目などが書かれたスケジュール用紙の作成等だ。学校により、実行委員の作業量は変わって来るが、教師と実行委員とで話し合い、どのような順番で演目を持ってくるかという会議も行われる事がある。


 今回なぜ大人しく物静かな中野りこさんが実行委員に選ばれたのか俺にはなんとなくわかっていた。

 結論から言ってしまうと彼女はとても責任感が強く真面目な人物だという事だ。だがそれが災いして、中学時代に煙たがられた事があり、高校に入ってからはその正義感と真面目さを押し殺して大人しく振舞っていたのだ。


ーーーーそう、中野りこさんも実は、俺と同じ中学時代の同級生だ。


 ただ今回は、体育祭の担当である担任があまり乗り気ではない為、坂崎さんに丸投げをして来たのだ。

 他のクラスからも体育祭の実行委員は2名づつ選出されているから、俺と中野さんだけが負担を強いられる事はないが、それでも教師とのすり合わせを行わなければならない為、今からもう溜め息しか出ない。


「普通こういうのは教師達が連携しながら演目を決めたりするんじゃないのか? 何で主導が実行委員なんだよ……。」

 

「嘆いてても仕方がないよ、樹山君。こうなっちゃった以上やるしかないし、『私たちだけでもある程度出来ましたよ』っていうところを見せなきゃ!」

 

「中野さんはやっぱり中学時代から全然変わってなくて安心したよ。」

 当初は実行委員なんて、全くやる気が無かった俺だが、中野さんの腹を括った様な姿勢を見ると、俺も何か出来る事はないかとついつい奮起してしまう。


「樹山君も同じ中学校だったもんね。私の性格の事は……よく知ってるよね。」


「まぁね。でも責任感が強くて真面目なのはいい事だよ。 中野さんの言う様にこの体育祭、俺達だけでも出来るところまで頑張ってやってみよう。」


「ただ、体育祭を担当する教師がやる気が無くて、他の実行委員達は納得して動いてくれるのかしら……。」

 よくよく考えてみれば中野さんの言うとおりだ。俺達は良くても、他のクラスの実行委員達が、黙ってそのまま受け入れてくれるとは到底思えない。


「…………そうだよな、普通に考えて他のクラスの実行委員達が、受け入れてくれるとは思えないからなぁ……。」

 俺と中野さんが会議室で話をしていたその時だった。


ーーーーガラッ!


 会議室のドアが勢いよく開き、他のクラスの生徒達数人が中に入ってくる。


「今の話、本当なのかよ。じゃあ俺達、自分たちの貴重な時間を割いて、何の為に実行委員になったってんだよ!?」

 中野さんの予想は的中した。他のクラスの実行委員等もここで俺達と会議を開く予定だった。  

 俺達は少しばかり早く会議室に入っていたのだが、そこで会議室の外から俺達の会話が聞こえてきてしまったというわけだ。


 どちらにせよ、話をしなければならない内容。 だけど、他クラスの実行委員達の言い分もごもっともだった。

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