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実行委員。

 どうやら学級委員長の坂崎さんは、今回の体育祭に欠かせない実行委員を二人、選出することになったらしい。


「ちょうど次の総合学習で話す事になってたんだけど、正直誰にしたらいいか決めかねてて……。」

 坂崎さんのその言葉に、栗山さんがとんでもない言葉を言い放つ。

「私、私が実行委員やるよ!で、樹山君も一緒にやるから!」


 ちょっと待て! 俺はそんな事一言も言った覚えはないし、実行委員をやる気も無いんだが……!?


「や・る・よ・ね、樹山君!?」

 何とも、有無を言わさない様な気楽で迫ってくる栗山さんは、ギッと鋭い眼光で俺を見つめてくる、と言うか睨んでくる。


「や、やります!」

 結局、栗山さんに押し切られる感じで、俺は立候補するハメになってしまったのだが、そんな事を澪が許しておくハズもなく……。

「ダメですよ、そんな強引な決め方は許されるはずがありません!」

早速澪が横から割り込んで入る形になり、その場では実行委員が決まらずに終わった。


ーーーーそしてすぐに始まる総合学習。


「今お話しした通りなのですが、誰かこの中で実行委員をやってくださる方はいらっしゃいませんか!?」

 坂崎さんのお願いも虚しく、クラスの大半の生徒は非協力的だった。

「別に体育祭なんて、そんなに力入れなくてもよくね?」


「誰かって言うんだったら、坂崎さんがそのまま実行委員になってくれてもいいんじゃない?」

 

「体育祭とか、マジでダリィわ。やってらんねえよ。」

 今までの坂崎さんのグループメッセージでの行動があったからか、思ったよりもクラスメイトの反発が凄かった。


「じゃあ俺がやります。」

 見るに見かねてつい俺が手を挙げる羽目になってしまった。

「じゃあ、私も!」

「では、私も!」

 俺の立候補の直後に手が挙げたのは、栗山さんと澪だった。


「やっぱり妹ちゃん、出てきたわね!でもこの実行委員は絶対に渡す気無いから!」


「誰であろうが兄さんの隣は私です。栗山さんは引っ込んでてください。」

 総合学習の場だというのに、あーだこーだとギャーギャー騒ぐ二人に、面倒くさがりの担任はとある人物を選定した。


「もういい、栗山も樹山も座れ。樹山兄は実行委員に決定だが、それともう一人の実行委員は、私が選定する。 中野、中野りこ。お前が実行委員をやれ。」

 先生の呼びかけにクラスメイトの女子、中野さんが席を立つ。


「体育祭の実行委員という大役、務まるかどうかわかりませんが、よろしくお願いいたします。」

 席を立ち挨拶する中野さんに、クラスメイト達はどよめき立つ。 それもそのはず、中野さんは普段から物静かな為か、クラスメイト達は会話はおろか、声すら聞いた事がないのだ。

 クラスメイト達は思っただろう。何で物静かで、決してみんなを引っ張っていくタイプではない中野さんを、体育祭の実行委員したのだろうか、と。

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