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澪の心の内。その2

 私は今、とても困っています。それは、今……ストーカーとやらに遭っているからです!

 相手の方は知っている方で、同じクラスメイト。つまりは、兄さんとも同じクラスという事になります。


 その方とは数回話したのみで、正直よくその方を知らないのですが、相手は何故か教えてもいないのに、私の誕生日や趣味、身長や体重、スリーサイズまで知っているのです……。

 兄さんに助けを求めたいところなのですが、兄さんは只今中間テスト真っ只中で、つまりは私もその方もテスト期間中という事になるのですが……。

 頼むに頼めないタイミングなのです……。


 家の前までついてくる事もあり、恐怖で体の震えが止まらない日もありました。

 カーテンを開けて、窓からそっと外を覗くと、家の向かいの塀にずっと立っていて、夜までいる日もありました。


 警察に通報したいのですが、『自意識過剰』と思われるのが嫌で、又、兄さんに迷惑を掛けてしまうのでは、と思うと通報は出来ませんでした。


 そんなある日、『澪の様子がおかしい』と兄さんが私の心配をして、わざわざ部屋まで訪ねてきて下さいました。兄さんから私の部屋に来る事は滅多にありません。

 私はとても嬉しかったですが、それと同時に私の今の状況を伝えてもいいのか、とても悩みました。


「澪、ここ数日様子がおかしいけど、何かあったのか?」

 兄さんの言葉に私はついつい自分の状況話してしまいました。

 兄さんは迷わずに警察に連絡をし対処してくれました。ですが兄さんも関係者として、警察から色々と詳しい事を聞かれる羽目になりました。


ーーーー数日後。


 兄さんは中間テストで学年三位になってしまいました。私は兄さんに及ばず、学年では七位の結果に終わってしまいました。

 おそらく兄さんの学力であれば、学年一位を取る事は容易にできたはず……。 私が迷惑をかけてしまった……。私のせいで兄さんは一位を取る事が出来なかった。


「兄さん、ご迷惑をおかけして……本当に申し訳ございませんでした。」

 

「何が?俺は別に澪に迷惑をかけられた覚えなんて無いぞ? それよりもストーカーが捕まったみたいでよかったな!」

 兄さんはあんな事がありながらも、屈託のない笑顔で私に微笑みかけて、頭を撫でてくれました。


「ありがとうございます……! うわぁぁぁぁぁぁぁぁ…………!!」

 その時私は初めて腹の底から大声で泣いた。


 この先何があっても、私は絶対に兄さんを守ると心に決めた。

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