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日常。

 あれから数日が経った。だがあの日以降、坂崎さんが登校する事は無かった。

「兄さん、あれから坂崎さんは登校してきませんね……。やはり、私達のメッセージが駄目だったのでしょうか。」

 いつもは塩対応の澪も、今日はすっかり気落ちしてしまっていた。


 入学してから早一ヶ月。坂崎さんが投稿しなくなってからは数日間が経過しているが、クラスメートたちは何事もなかったかのように日常を過ごしている。


「樹山さん、樹山澪さん!」

 クラスメイトの男子、『山田君』が澪に声を掛けてくる。

「はい、何でしょうか。」


「樹山さんの事が好きです! 僕と付き合ってください、お願いします!」

「お断りします。同じクラスメイトとはいえ、よく知りもしない貴方とどうして付き合わなければならないのでしょうか。」

「そ、それはこれからお互い知っていけば……。」


「あなたは入学してから今までの間に、一度でも私に話しかけたことはありますか。無いでしょう?」

 澪に激しく打ちのめされて、山田君は自分の席へと帰っていく。しかし休み時間になる度に、次から次へと澪に告白してくる男達がやって来る。

 そんな光景に澪自身もウンザリしている様だった。

 しかし不思議なのは、クラスメイトの皆ががいる前でよく告白できるなという事だ。 人によっては他クラスからもわざわざやって来る為、『誰なのかか分からない』という人もよく来る。

 皆が玉砕していく中で、自分がもし告白をOKされたら、一気に注目を集められるからというところだろうか。


ーーーー残念ながら澪の性格を知り尽くしている俺にとっては、むしろ逆効果な気がする。


 ロクに地盤すら固めていないのに、告白をしてOKされるはずがない。

「おい澪。次は確か移動のはずだ。急ぐぞ。」

 俺たちは坂崎さんの事を気にかけながらも自分達の学校生活を送っていく事で精一杯だった。



ーーーー下校時。


「樹山澪さん!以前からあなたのことが好きでした付き合ってください!」

 帰り支度をしていたクラスメイト達の前に、急に現れた他クラスの男子生徒は、澪を見つけるとズンズンと歩み寄って行き、澪の前に来るなり告白をしてくる。


「あなた誰?悪いけど、私の記憶の中にはあなたに関する情報は何一つ無いわ。」

 相変わらずの塩対応っぷりだった。澪は男子生徒を容赦なくフると、くるりと踵を返し、俺に声をかけてくる。


「兄さん、坂崎さんの家に行きませんか?」

 

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