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本音。

 俺は家に帰り、勉強を済ませた後に梓の作った晩御飯を食べ、お風呂に入ると早速自室に戻り、澪と考えた作戦を決行させる。

 しかし、作戦と言っても凄まじく簡単な事で、ただ単にグループメッセージで自分の正体を明かす。という至ってシンプルなものだ。


「よし、早速やるか。」

 俺はLIMEアプリを起動させると、グループメッセージを開いた。そこでは既に何件かのやり取りがなされていた。

『ミィ様の元気が無かった』事や『ミィ様からの帰りの挨拶が微妙によそよそしい』等だ。

 このやり取りからすると、やはり『ミィ様』なる者が栗山さんが言う様に、俺であるのは間違いなさそうだ。


 俺は作戦通りにグループメッセージに一通のメッセージを出す。

『樹山湊です。普段は今表示されている【ラッシュ】というハンドルネームでLIMEやってます。今までのメッセージを見させて頂きましたが、この様なグループメッセージは即刻止めるべきだと思います。』


 暫くの沈黙の後、俺の真偽を問うメッセージが連発したが、俺は無視しメッセージを打った。


『俺を好いてくれるのは嬉しいけど、これ以上こういう事を続けるのは止めてください。』

 確かにこの存在を知らなければ、全く問題は無かっただろう。だけど、勝手に俺を祀り上げ、坂崎さんの独裁状態になってしまっている事。

 そして坂崎さんの独裁状態に、他の誰もが文面上でも分かるくらいに疲弊し切っている事。


ーーーー俺にはそれがどうしても許せなかった。


 その後、それまで独裁状態を保っていた坂崎さんからメッセージが届くことは一切なかった。

 それどころか彼女のハンドルネームがグループメッセージのメンバーから消えていた。


『兄さん、入ってもいいですか?』

『お兄ちゃん、入ってもいいですか?』

 俺の部屋のドアの向こう側から、妹達の声が聞こえてくる。


「どうした、珍しいな。二人揃ってくるなんて。」

 俺は二人を部屋の中に入れると、二人から話を聞いた。


「お兄ちゃんがさっきメッセージを送ってから、私に電話がかかってきたの。『あのグループメッセージは本当にお兄ちゃんのものか』って。だから私は正直に坂崎さんに話をしたの。」


「私も兄さんがグループメッセージを送った後、暫くしてから坂崎さんから連絡がありました。」

 坂崎さんは、俺がグループメッセージを送った後、梓と澪のそれぞれに確認の電話をしたみたいだな。


「それで……どうするって?」

 俺が二人に尋ねると、二人は口ごもりながらぽつりぽつりと話し始めた。


「あのグループメッセージの中の人がお兄ちゃんだって知った後、激しく動揺していたみたいで泣いていた。 どうしたらいいかわからない、顔向けができないって……。」


「私も同じような感じでした。坂崎さんはひどく落ち込んでいるようで、私は兄さんが怒っている原因について詳しく言及すると、坂崎さんがこういう性格になってしまった事を打ち明けてくれました……。」

 澪は少しばかり話しにくそうに俺にそう伝えると、続いて澪はこう聞いてきた。


「坂崎さんがああいう性格になってしまった理由……………聞きますか?」

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