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実は……。

 それから授業はつつがなく進んでゆき、昼食の時間になる。

 この高校には購買があり、食堂も併設されている。俺は普段から梓の作ってくれた弁当を食べている為、食堂を利用する事はほぼ無く、中庭か屋上を利用する事が多い。


 俺はいつも通り、弁当を片手に中庭へと向かう。中庭のベンチに座り、弁当を開ける。

「いただきます。」

 俺は段々と暖かくなってきたそよ風を心地良く感じながら、弁当を口に運んでゆく。 

「うま。」


「やっほ、樹山君!隣、いい?」

 不意に後ろから声を掛けられて、俺が振り向くと、ベンチの背もたれに手を掛け、栗山さんが声を掛けてくる。

「あ、あぁいいよ!座って!」

 俺はベンチの隣にハンカチを敷くと、栗山さんをそこに座らせた。 


「あ、ありがと!……昔っから優しいね、樹山君は……。」

「ん?なんだって?」

 弁当を食べるのに夢中になっていて聞こえなかった……。

「なんでもない!それよりも、何か元気無いけど……何かあった?」

 栗山さんの問いかけに、俺はつい我慢が限界を迎えたのか、自分の今置かれている状況を吐露してしまっていた。


ーーーー。


「そっか、いつの間にか、そんなに負担を与えてしまってたのね……。ごめんなさい、実はそのグループメッセージに招待したのは……私なの。」

 栗山さんはベンチから立ち上がると、俺と向かい合い、深々と頭を上げて謝罪をしてくる。


ーーーー栗山さんだったのか。しかし、なんでまたグループメッセージなんかに……。


「栗山さんは何でまた、俺なんかをグループメッセージなんかに招待したの?」

 俺の言葉に、栗山さんは思いがけない言葉を返してきた。

「グループメッセージを通じて、とある人の裏の顔に気付いてほしかったから……。樹山君は最近、その人と話してる事も多いし……。」

 

ーーーーそのとある人とは、学級委員である坂崎さんの事を言っているのだということは、容易に想像できた。


「その人については、妹の梓からも話は聞いている。それに俺もグループメッセージの内容は確認しているし。……しかし、本当に坂崎さんはあんな性格なのか?いまだに信じられないんだが。」


「うん……あんな性格。だから、その事だけでも知ってもらいたくて……多分、直接言っても信じてもらえないだろうから、グループメッセージから見てもらおうと思ったの……。その方が説得力あるじゃん?」

 そう言いながら、ゆっくりとベンチに座る栗山さんは、手を合わせながら何やらモジモジしている。


「それにね……。あのグループメッセージで崇拝されてる『ミィ様』なんだけど、実は…………樹山君の事なんだよね。」

 

「…………え?」

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