グループメッセージ。
あれから俺はグループメッセージを何度も読み返し、直接関わり合いのありそうな話題が無いか探してみたが、全てが徒労に終わった。
いい加減スマホとのにらめっこに飽きてきた俺は、ボフンッとベッドに寝転がった。
この数日で様々な事が起きすぎて、正直疲弊し切っていた俺は、半ばグループメッセージは偶然、間違えられて送られてきたのでは、と勝手に解釈していた。
ーーーーピロン。
そんな時、一通のグループメッセージが、俺のスマホに届く。
『明日の学級委員会、マジでしんどいんだけど。』
このグループメッセージの内容から考えると、送り主は『坂崎つぐみ』か?
いや、坂崎さんはこんな言葉遣いはしないはず。
ーーーーピロン。
『つぐみちゃん、断ればよかったのに!』
やはり……坂崎さんだったのか。しかし、坂崎さんだけ名前呼びとは……。つるし上げるつもりだろうか。
『ねぇ、名前で呼ぶなって言ったよね、中山。』
その言葉、やり取りを見てすぐに俺はアプリを閉じた。見てはならないものを見てしまったからだ。
ーーーーコンコン。
その時、俺の部屋のドアがノックされる。俺は今までのアプリの件と、いきなりのドアノックに飛び起きると、壁に頭を激突させてしまった。
『だ、大丈夫!?お兄ちゃん!』
どうやら、ドアの向こう側にいたのは梓のようだ。その事が分かったと同時に、グループメッセージについての話なんだな、と簡単に予想は出来た。
「大丈夫だ、入っていいぞ。」
俺は部屋に梓を招き入れると、すぐさま事情を聞いた。今更、さっきのグループメッセージについて、知らぬ存ぜぬを突き通す気もない。
「あのメッセージは、一体何なんだ?」
単刀直入、且つ簡潔に俺はグループメッセージについて問いただす。
「あのグループメッセージは、『とある人』を推す『推しの会』で、そのとある人の事について褒め称える為のグループチャットなの。ただ、皆はハンドルネームを使用して本名は使用しない決まりだったのに、中山さんが本名を晒してしまった事で、最悪な事態になってるの。」
「で?その皆が崇め奉る『とある人』と、俺が一体何の関係があるってんだ? 何で俺にまでメッセージが飛んできた?」
こっちからしたら、勝手にグループメッセージが送られてきて(まぁ、入った事は自業自得だが)、いい加減迷惑なのは言うまでもないだろう。
「とある人と、お兄ちゃんとの関係は言えないけれど、メッセージを送ったのは多分だけど、誤送信だと思う。誰も気付いていないみたいだし。」
俺はグループメッセージでも存在感が薄いのか……。いや、まぁ今の状況なら有り難いんだが。
「で、俺は何をすればいいってんだ?その為に来たんだろ?」




