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休戦。

「おい梓!いい加減にしろ!いつまでやってる!」

 俺は少し強めの口調で梓をたしなめる。その様子に栗山さんはすぐに引き下がった。


「じゃ、じゃあ……ごめんね、また連絡するから。今日はありがとう!じゃあね!」

 栗山さんは少し遠慮しがちに商店街を後にすると自宅の方へと帰っていった。


「お兄ちゃん、あいつの味方ばっかりするんだ……。」

 梓は兄が自分の味方をしてくれなかったのがよほど気に入らなかったのか、頬を膨らませて拗ねてしまった。


ーーーーどうする、相談するべきか……。


 俺は先ほどのコロッケ屋のおばあちゃんの『みぃちゃん』という言葉にどうしても引っかかっていた。


 誰かこの問題はLIMEでのグループメッセージ内での問題だ。俺を招待して来た相手もわからない。

 ましてやその『ミィ様』なる者が、俺である確証は薄い。さらにやり取りは一年以上前からされており、俺が招待されたのはつい最近だ。

 今までの時間軸も、招待された期間も、全てが合致しない。


「どうしたのお兄ちゃん、難しそうな顔をして。」

 心配そうな顔をし覗き込んでくる梓だが、こういう時こそ人の心を読んでもらいたいものだと思う。


「なぁ梓。少しの間栗山さん達とは休戦して欲しいんだ。まぁ、『達』とは言ったけど、実質戦ってるのは栗山さんとだけだったな」


「何か理由があるの?」

 さすがは梓だな。ちょっとした変化にも気が付く。

「少し気になることがあってな。栗山さん達には関係がない事だと思うけど……。少し調査をする間、ゴタゴタはなるべく避けたいんだ。」


「分かった。何を調べたいのかは聞かないでおくね!私だってそこまで野暮じゃないから。」

 梓のこの反応から察するに、あのグループメッセージは栗山さん達は関係していないということか……。

 梓の場合、たとえ直接聞いていなくても、直感で誰が関わっているのか分かってしまうという、特技みたいなところがあるからな。


 まぁ、梓の事だから敢えて放置しているだけという可能性もあるが……。


「お兄ちゃんはそのグループメッセージをどうにかしたいんですか?」

 不意に梓が口を開く。やっぱり梓はグループメッセージの件を知っていたのか……。

 ということはやはり、今回はあえて放置しておくという選択をしたんだな……。


「いや、どうにかしたいと言うか、いきなり招待されてきて、内容はよくわかんなかったけどどういう意図で送られて来たのかを知りたいんだ。」


「ふぅん、そっか。」

 その一言だけを言うと梓は、そのまま商店街を後にし自宅へと帰っていってしまった。



「おばあちゃん、カニクリームコロッケ三つ。あぁ、ついでにとんかつも三つちょうだい。」


「はいよ!」

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