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話し。

 栗山さんから聞いた話は衝撃的だった。それにまさか、中学時代にそこまで俺の事を知っていたのには、とてつもなくビックリした。

「まさかそんな事まで覚えていてくれたなんて……ビックリだ。」


「あははっ!そりゃ、好きな人の事なら隅々まで覚えて………る、よ。って、ごめん!またミスったぁ……!」

 栗山さんはどうやらサラッと告白してしまうタイプらしく、本人は言ってから気が付いているようだった。


「えと……。前にも言ったけど、聞かなかった事にするのは、難しいかな……。」

 

「あぁ〜!やっぱりそうだよね……。でも、こんな告白の仕方、嫌なんだもん……。」

 うーん、こうやって言ってる時点で、間接的に告白している事になるんだけどなぁ……。


ーーーーピリリリッ!


 ポケットに入れていた俺のスマホが鳴り響く。もはや嫌な予感しかしない。

 スマホの着信画面をおそるおそる覗き込むと、やはり梓の名前が……。


「も、もしもし……。」


『お兄ちゃん、もしかして今誰か女と一緒にいる!? 例の栗山さん!? ちょっとスピーカーモードにして。』


「そ、そうだけど…………。わ、わかった。」

 俺は言われるがままに、スマホの通話ボタンからスピーカーモードに変更する。


『今、栗山さんに告白されてたでしょ!?』


「何でそんな事がわかる!? もしかして、盗聴器!?」

 俺と栗山さんはギョッとしてそれぞれの身の回りを探し出した。しかし、バッグの中にも、服やズボンの中にも盗聴器らしき物は無い……。

『いやいや、探しても見つからないよ。だって、盗聴器とか仕掛けてないもん。』

 なら何でこの場にいないのに、会話内容を把握してるんだよ!? 疑問が疑問を呼ぶ中、梓がサラリと怖い一言を言い放つ。


『分かるよ、お兄ちゃんの事なら……何でも。』


「怖っ、妹ちゃん怖っ!」

 堪らず栗山さんはビビって、悲鳴にも似た声を上げてしまう。だがその直後、何かを閃いたかの様に表情が変わり、梓に一言呟いた。


「じゃあ、これから私が樹山君に何をするか、当ててみてよ!」

 そう言い放ち、栗山さんは俺からスマホを奪い取ると、通話終了ボタンをタップする。


「く、栗山さん…………?」


「わ、私は本気だから……。樹山君になら、何されてもいいし、何でもするから。」

 栗山さん、それはズルい、その言い方はズルいよ!みるみるうちに、自分自身でも耳まで赤くなっていくのが、はっきりと分かった。


ーーーーその時だった。

「ただいまー。あれ、誰か来てる?」

「本当ね、誰かしら。」

 一階の玄関から、二人の女性の声が聞こえてくる。

 まだまだ俺の戦いは始まってすらいなかった事を、この時思い知らされるのであった。

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