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栗山さんは告りたい。その3

「ちょっ、待って!どうするつもりなの!?」

 気が付くと俺はベッドに押し倒され、上には栗山さんが乗っかっていた。

「樹山君が悪いのよ。好きでもない女に優しくし過ぎ。女だって全員が全員おとなしい訳じゃないんだからね。」


 そうは言ってはいるものの、栗山さんの顔は真っ赤になっていた。純白のワンピースの襟元からはちらっと栗山さんの鎖骨が見える。


「……………えっち。」

 俺の視線に気がついたのか、栗山さんは茶化すように俺の顔を見つめてくる。

 栗山さんから発せられる甘い匂いに、俺の理性も限界を迎えそうになっていた。


「なぁんてね、嫌がる樹山君にそんな事しないよ?」

 そう言うと栗山さんは、ぱっと俺から距離をとる。俺はベッドから立ち上がると、どうしていいのか分からず無言で立ち尽くしてしまった。


「な、なんかごめんね……。気まずいかんじにしちゃって……。」

 

「い、いや、の方こそ経験が少なくて、なんかごめん……。こういう時、どういう対応したらいいのか分からなくて……。」

 お互いになんか気まずくなってしまい、それ以上の言葉が出てこなかった。何か打開策はないか……。

 

「栗山さんは、俺の事が好きって本当?」

 ……………今俺なんて言った? 何かとんでもない事を口走らなかったか!?


「本当だよ。ずいぶん前から樹山君の事が好きだった。私の家って、お母さんが結構昔に父親と離婚して、母子家庭で苦労してきたんだよね……。母親と私と妹との3人で、ずっと長い間暮らしてきた。」


「………………。」


「そんな私は周りの奴らは『貧乏人、貧乏人』て馬鹿にしてきてさ。貧乏人って馬鹿にされたくなくて、外見だけでも変わってやろうって思ってギャルメイクしたり……。でもその時同じクラスだった樹山君は、私の事を貧乏人って馬鹿にする訳でもなく、逆に庇ってくれたんだ。」

 随分と昔のことだから俺は覚えていないが、栗山さん自体には印象深く残る体験だったんだな。 そりゃそうだよな。『貧乏人、貧乏人』て言われて、いい気持ちする奴なんていねぇからな。


「その時からかな、樹山君を意識するようになったのは。気がつけば樹山君のことを目で追っちゃってて、『好きなものは何だろう』とか『好きなタイプはどんな子だろう』とかそんな事ばっかり考えるようになっちゃってたんだ。」

 気がつけば俺と栗山さんは、栗山さんのベッドに座り込み、じっと彼女の話に耳を傾けていた。


「それで高校の進路相談の時に、樹山君が第一志望に挙げていた、この高校に私も一緒に着いて行く事にしたんだ。 そしたら、友達の四人もこの高校に樹山君を追い掛けて入学して来ちゃったんだけどね!」

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