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栗山さんは告りたい。

「あの、さ。いつもの私見てて、樹山君はどう思う? 正直な意見を聞きたいんだ。」

 いつもの栗山さん?それは学校でのって事なんだろうか。


「う〜ん、いつもの栗山さんはとにかくいつも眠そうで、ヤンキーっぽいギャルだから、ちょっと怖かったかな……。」

 俺と栗山さんは公園のベンチに腰掛け、噴水を眺めながらお互いの事を話す事にした。


「そっか……やっぱり怖いよね。でも、いつもの学校でのダラッとした格好、好きでやってるだけで、別にヤンキー気取りたいとか、ギャル気取りたいとかじゃないから……。 ただ、昔から何かピチッとした感じの服が苦手ってだけで…………。」

 

「ぷっ、あははははははっ!!」


「な、わ、笑うなぁ!」

 俺は、あまりにもいつもの俺が感じていた栗山さんと違う部分が垣間見えて、ついつい笑ってしまっていた。

「ご、ごめん! でも、栗山さんの『何かピチッとした感じの服が苦手』ってのが、余りにも親近感あり過ぎて。」

 

「き、樹山君も、やっぱり苦手!?」


「苦手だよ。あの何か締め付けられる感じが嫌なんだよね……。もっとゆったり着たいっていうか…………ってもしかして、今着てるそのワンピースも結構上半身ピチッとしてるけど、無理して着てない!?」

 今更ながらに気が付いた。彼女が話していた苦手な格好に、余りにも合致し過ぎているから。

 きっと栗山さんに無理をさせてしまっている……。


「だ、大丈夫だから!それに、樹山君もこういう清楚系?な格好の方が好きなんじゃない?」

 確かに俺は清楚系な服装は好きだ。だけど、その相手に無理をさせてまで自分の好みにさせたくはない。


「栗山さんの家って、どこ!?」


「ふぇっ!? わ、私の家なんて聞いてどうする気だよ!?」

 

「いいから、どこ!?」

 俺は気が付けば栗山さんの手を引いて歩き出していた。彼女の指示通り歩いて行くと、何か見覚えがある通りに出る。


「こ、ここが私の家……。」

 よくよく見てみれば、俺の家から一区画先位にしか離れていない。今までよく気付かなかったものだ。

 まぁ、お互いに話す事も無かったから無理も無いか。


「ど、どどどうぞ!?」

 いやに声が上擦っている栗山さん。まぁ、普段目立たない俺なんかがいきなり来ても、困惑するよな……。


ーーーーいや、待てよ。確か、栗山さんは昨日、俺の事をす、好きとか言ってなかったか!?


 そう考えただけで、いきなり全身にヤバい位、汗がブワッと吹き出してくる。

 落ち着け、あれはきっと聞き間違いか、或いは言い間違い。というよりも、『樹山君、大好き!』とかでは無く、『友達として好き』って感じだ、きっと!


「わ、私の部屋……二階だから……。」

 栗山さんはそう言うと、トントンッと階段を上がって行く。彼女の後ろを付いていく俺の鼻を、栗山さんの甘い香りが誘惑する。


ーーーーえぇい!当初の目的を思い出せ!


「この部屋が私の部屋。」

 彼女はドアをガチャッと開けると、そこには色とりどりの可愛らしいぬいぐるみが飾られており、スカッとする柑橘系の香りが部屋を包み込んでいた。


「可愛い…………。」

 

「ひ、引かないの…………?」


「え、何で? 可愛くて素敵なお部屋じゃん。」


「そ、そうなんだ…………へへっ!」

 

「さてと、じゃあ着替えるよ!?」

「へっ?」

 俺の言葉にそれまで、にへらっと笑っていた栗山さんの緩んだ顔が、みるみるうちに困惑の表情に変わっていくのだった。

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