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協議。

『協議?協議って、何するの?』

 栗山さんと同じく、俺も知りたい。協議という言葉を、妹達の口から直接聞いた事はない。


「簡単です。貴女は兄さんに間接的にとは言え、告白をしてしまった。だから、貴女はもう後戻りは出来ません。しかし、その『告白した』という事実を、私や兄さん、梓が誰にも口外しない代わりに、現状として兄さんが誰かに好かれているのか、調べてほしいの。 特に今日いたあの四人の中に、兄さんの事が好きな人がいるのかどうか。」

 澪は何やら栗山さんに取引を持ち掛けているようだが、この取引、もとい協議は栗山さん自体には殆どメリットが無いのではないだろうか……。


『断るわ。樹山君の事が好きなのは事実だし、別に皆に知られても構わない。それに、その協議にはメリットが無いし。 あくまでさっきの『聞かなかった事に』ってのは、今日直接告ろうとしてたのが、スマホ越しになっちゃったからだから。』

 栗山さんはいつも教室では寝てばかりだけど、自分の意見を曲げない凄い信念を持った人なんだな、と俺は感心していた。


「協議失敗、交渉は決裂ね。」

『そうね。じゃあまた今度、樹山君。』

 栗山さんのその言葉を最後に、そのままブツリと通話は終了する。


 気が付いたのは、栗山さんは見た目程にギャルではないという事。 そして、頭の回転が速いという事だろうか。


 俺は勉強を中断し、自室に戻ってベッドで横になる。気が付けば、俺のスマホに何やら着信があったようだ。

 開いてみると、それはメッセージアプリのLIMEで、グループが作成されていた。

「何だこりゃ……。えっと、『推しの会』だって?」

 俺は今までそんなグループが作成されていた事は知らず、ついさっき偶然の着信から気が付いただけだ。

 グループのメンバーは、俺を含めて15人程。みんなハンドルネームを持っており、誰が誰なのかまでは特定できない為、その点では俺も例に漏れない。


 既に沢山のトークがなされていた為、俺が何者かによって招待されたという事になるのだろう。

 トークは遡って見てみると、古いモノで一年以上前からされていた様だ。

 ハンドルネームも『いーちゃん』や『みーちゃん』等と個人を特定するのは不可能に近い。ただ、会話の内容から察すると、アイドルに関してだろうか、推しと思われる人物がニックネームで呼ばれている。 


「誰だ?えーと『ミィ様』か。誰の事だろうか。」

 グループで飛んできているという事は、俺のクラスの人間の可能性が高い。

 もしかしてと思い、木村と安永に聞いてみたが『知らない』との事だった。そもそも、そんなグループが存在していた事に、二人共驚いていた。


 取り敢えず、俺は昔からのメッセージを読んでいったが、手がかりは掴めなかった為、そのままスマホを片手に寝落ちしてしまうのだった。

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