兄さん(お兄ちゃん)に恋するなんて許さない!
義理とはいえ妹の澪と梓に好かれ、勘違いであってほしいとは思うが、クラスメイトの5人組女子達からも好かれるという、まさにハーレム状態に立たされている俺だった。
あれから5人組とは別れ、仕方なく自宅で勉強をしようと思った俺は、帰るなりなぜか澪と梓の前で勉強をするハメになってしまった。
「あ、あの……これはどういうことなんでしょうか……。」
俺は自分の部屋で勉強する事を許されず、なぜかリビングルームのテーブルで勉強をさせられる事になってしまった。
「今の時点で5匹も悪い虫がついているというのに……。 これ以上、兄さんに悪い虫がつかないようにするためです」
澪と梓の監視ぶりは徹底していた。今までも俺に対する監視の目はあったものの、するほどではなかった。
だが今回の図書館での騒動の一件があってから、妹たちの俺に対する考え方が変わったのか、俺を強く束縛するようになっていた。
「いや、あのさ……。俺も自分自身の時間が欲しいわけなのよ。その時間までも梓と澪に奪われたら、俺は息苦しくて生きた心地がしないよ。」
まあそんな事を言ったところで、はいそうですかと納得する妹達ではなかった。
「お兄ちゃん、どうしてわかってくれないのかなぁ。こんな優良物件がお兄ちゃんの身近にいるって言うのに、他の女共に現を抜かすような事をして……。」
いやいや、自分で優良物件とか言うなよ……。まあ確かに、澪も梓もめちゃくちゃ可愛くて人気が高いから、優良物件では優良物件なのだろうが……俺にだって選ぶ権利はある!
ーーーー澪と梓に監視されながら勉強を続けていた、まさにその時だった。
俺のズボンのポケットに入れていたスマホがピリリッ!とけたたましく鳴り響いた。
「はい、もしもし……。」
俺のスマホにかかってきた電話番号は見知らぬ電話番号で、登録されていないものだった。
『あ、さっきはゴメンね!栗山だけど!』
スマホの着信相手はさっきまで一緒に勉強していた栗山さんからのものだった。
「く、栗山さん!? どうして俺のスマホの番号を?」
俺は栗山さんは愚か、他の四人に対しても電話番号を教えた覚えはなかった。
『あ、それな。安永っちから聞いたよ〜。』
どうやら栗山さんは俺の話し相手である安永から、スマホの電話番号を聞き出したらしい。
『でさ、さっき話せなかったんだけど、ちょっと今から時間ある?』




