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驚いた。

「な、何言ってんのさ?そんな事ある訳ないだろ?」

 俺は五人組の顔を見るが、全員の……誰一人とも目線が合わない。


「ほら図星。さっきから怪しいと思って、ちょっと観察させてもらってたの。」


「兄さんの顔チラ見ランキング。 第5位、田崎さん42回。 第4位、原田さん46回。 第3位、宮島さん49回。 第2位、中山さん52回。 そして第1位は栗山さんの72回です。」

 澪により、淡々と明かされる訳の分からないランキング結果。ってか、栗山さんはずっと寝てたっての!


「澪、変な言い掛かりはよせ。皆勉強をしてたから俺の顔を見てる暇なんて無かったはずだ。第一、栗山さんはずっと寝てたから、そのランキングは間違いだ。」

 などと俺が澪に抗議をしていると、図書館の係員に全員つまみ出されてしまった。


ーーーーくっ、梓と澪のせいだ!


「あら、つまみ出されてしまいましたね。」

 その言い方、絶対にわざとだ!こうなるって分かっててワザとやったな!


「澪、みんなに謝れ。図書館で先に勉強をしていたのは彼女達で間違いない。後から俺がお邪魔した結果、このザマだ。みんな、本当にごめんなさい。」

 元々俺が行き先をハッキリ澪達に伝えていればこうはならなかったのかも知れない。責任の一端は俺にも当然ながらにしてある。


「兄さん…………! も、申し訳ありませんでした、皆様!」

「わ、私も調子に乗ってしまって、ごめんなさい!」

 流石に俺が頭を下げたからか、澪も梓も五人に向かって、深々と頭を下げていた。


「ぷっ、あっはははは!」

 その光景を見てか、中山さんが思い切り吹き出して大笑いしていた。

「はははっ、はぁー、はぁーっ。いやー、ごめんね、イキナリ笑ったりして……。でも、本当に噂通りの人達なんだね!」

 中山さんはひとしきり笑うと、呼吸を整え、澪と梓の事を既に噂で知っていたと言うのだ。


「う、噂通りのって、お姉ちゃんだけでなく、私も!?」


「そうそう、梓ちゃんの事も知ってるよ。勿論、五人全員ね!」


「え、え?な、何で!?」

 姉の澪の事はともかく、年下の自分の事も知っているとなれば、流石に慌てふためくだろう。

「だって、中学時代も一緒の学校だったんだもん。」

 中山さんはケロッとした顔をして、衝撃発言をぶちかましてくる。


「ぜ、全然知らなかった……。」

 俺の言葉に、同級生でもある澪も一緒になって頷いていた。

「だって、他のクラスだったし。樹山君が勉強も運動も出来るのは知っていたけど、本人は隠したがっていたみたいだから、黙って知らないフリしてただけだよ。」

 その言葉を聞いて、ようやく理解できた様な気がした。 まぁ、それなら確かに澪と梓の噂を小耳に挟んでいても不思議じゃ無いしな。


ーーーー世間って、本当に狭いと気付かされた瞬間だった。

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