最凶の妹達。
『ど、どうしたの?みんな、イキナリ黙り込んで!』
俺はおそるおそる、ヒソヒソとみんなに向かって話し始める。
『い、いやぁ、別に?な、何でもないよね、みんな!?』
中山さんの言葉と同時に、皆は無言で激しく首を縦に振るが、さっきまでと明らかに様子が違う。
お互いの顔を見合わせ、何やら様子を伺っている様にも思える。
『ま、まぁ、それよりも勉強しよ、勉強!』
体育系なハツラツ女子、宮島さんがみんなに声を掛けてくる。
『そ、そうですよ!せっかくの休みに皆で勉強に来ている意味が無くなってしまいます!』
勉強熱心な田崎さんも、宮島さんに続いて勉強をしようと話し始める。
聞けばどうやら五人とも同じ中学校出身だったらしく、同じ高校に入学したのは偶然だったらしい。
五人とも同じ中学校で、高校は特に意識せずに入学したら皆同じ高校だったとは、なんとも不思議な巡り合わせである。
俺達は気を取り直し、再度各々の勉強を始める。俺を含め、六人が高校一年生になりたてで、休みの日にも図書館で勉強するのには理由がある。
話している内に聞いたのだが、六人それぞれに、なりたい職業があるからだ。その為に、皆必死で勉強をしている。
ーーーーと、その時だった。
『お兄ちゃん、みぃ〜つけた!』
ふと、耳元で誰かに囁かれる。聞き覚えのある声……。ゾクリと全身に悪寒が走る。
俺は震えるその顔を必死に声のする方へと向けると、そこには……いつの間にか、梓と澪が立っていた。
「ひぃっ……………!」
どこからともなく突然現れた姉妹に、他の五人の女子生徒達は揃って悲鳴を上げていた。 しかもこの表情からすると、この子達は俺の妹達をどうやら知っていると見える。
澪だけなら同じクラスだからまだ分かるだろうけど、梓の事まで知っている様な表情を浮かべている。
「はじめまして、兄がいつもお世話になっております!妹の梓です!」
ハキハキとした声と満面の笑みだが、目が全く笑っていない……。
「私の事は、自己紹介の時にお話をさせて頂いておりますので、控えさせて頂きます。……ところで兄さん。何故クラスメイトの女子生徒の方々と勉強を? 自宅ですれば良いではないですか……。」
そうだった……。澪も同じ学年なんだから、一緒に図書館に誘って勉強するべきだったんだ。 澪だってこんな光景見たら、自分だけ仲間はずれにされた気分だっただろうしな……。
「すまない澪、梓。家にいると、なんか気が散るものばっかりで落ち着かなくてさ。図書館に来たら席埋まってて、で、一席だけ空いてて、俺も一緒にってなったんだ。」
「知ってるよ。途中からだけど見てたから。だけど、お兄ちゃん。知らないことが一点あるんだよ?」
どこから見てたのか知らないが、隠れてみていた梓は、俺達の何かに気付いたらしく、わざわざそれを言いに来てくれたらしいのだ。
「知らない事って、何だよ?」
「ここにいる女子生徒、五人とも。お兄ちゃんの事、好きだよ。」




