人気。
翌日、学校が休みだったため、俺は図書館へと足を運んでいた。色々と調べものをしたいという事と、家にいても妹達から昨日の体力テストの事で、コテンパンに攻撃されてしまう事が目に見えていた為だ。
休日ということもあり、図書館は親子で大変賑わっていた。学生達の姿もちらほらあり、同級生達の姿もそこかしこに見えた。
「勉強用のデスクは…………全然空いてないじゃないか……。」
図書館の勉強用スペースのデスクは、ほぼ満席で俺が勉強出来る様な場所は空いていなかった。
いや、実際は空いているのだが、知り合いでもない学生達の隣の席を借りて勉強する勇気までは無かった。
「あ、樹山君じゃん。こっちこっち、ここ使いなよ!」
図書館の中だというのに、大声で俺の名前を呼んでくる女子生徒が一人。
「中山さん、声が大きいよ!……ってか、俺がみんなの中に入って勉強してもいいの?」
俺はクラスメイトの女子生徒の中山さんに手招きされて、空いている席に座り込む。
『樹山君なら大歓迎だよ〜。』
中山さんと一緒に勉強していたのは、同じくクラスメイトの原田さんと宮島さん、田崎さん、栗山さんの五人だった。
『そそっ、体力テスト大活躍だったじゃん!』
いつも一緒の五人組のこの女子生徒達は、それぞれタイプが全然違う子達が集まっている。
中山さんは『リーダー格で活発なボーイッシュ女子』
原田さんは『おっとり口調のマイペース女子』
宮島さんは『スポーツ万能の体育系女子』
田崎さんは『ガリ勉だけど、要領が悪いため成績がなかなか上がらない女子』
栗山さんは『いつも寝ているギャル』
らしい。(中山さん談)
彼女達はクラスメイトの中でも結構目立つ存在だから、俺はなるべく絡まないようにしていたのだが……。
どうやら今回の体力テストで俺の認知度が上がってしまったらしく、早速俺は絡まれる事になってしまったのだ。
『樹山君さぁ、あんなに運動できるのに、何でそんなに挙動不審な動きしてるの?』
席についた中山さんが早速核心に迫る質問をしてくる。
『なるべく目立ちたくないからだよ。』
『なんで?目立った方のが女子にもモテるし、クラスの人気者になれるよ?』
尚も中山さんは突っ込んだ質問をしてくる。他の女子達も、『そうそう!』と頷いている。
『別に女子にモテたくて体力テストやったわけじゃないし……。』
『そんなにイケメンなのにぃ〜、勿体無い〜。彼女とかいないの〜?』
おっとりとした女子生徒、原田さんの問いかけに、いきなり空気がピリッと張り詰めた……そんな気がした。
『いないですよ、彼女なんて!』
さっきからヒソヒソ話しているが、これでも結構恥ずかしい話題だ。
ーーーー俺の回答の後、何故か彼女達の間に沈黙の空気が流れた。




