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面倒な授業。

「くぁ〜〜っ!今日は部活動選びと、午後からは体力テストがあるんだろ〜!面倒くさいなぁ〜。」

 独特な伸ばし言葉で語りかけてくる、この男子生徒の名前は『木村ノボル』。いかにも運動が苦手そうな、ずんぐりと太った体つきをしており、実際に朝の登校ですら歩いているだけで息切れしている程に動くのが苦手だ。


「そうは言っても絶対にやらなきゃいけない授業なんだろ? 俺らみたいな運動が苦手な奴等にとっては地獄だよな……。」

 俺のもう一人の数少ない友人の『安永ミツル』は、漫画やゲームアニメが大好きなオタクそのもので、見た目はひょろひょろで、運動も本人が公言している通り、徹底した運動音痴である。


 そもそも部活動の入部でさえ、俺達からしたらどこを選べばいいのか全くわからない状態である。

 体育系は論外だし、だからといって文系に入ったところで特に秀でた才能があるわけでもない。

 オタクだからとか、陰キャだからといって絵が必ず上手いわけでもなく、美術部に入ったところで『コイツ、絵が下手なくせに美術部に入ったの!? 女狙いじゃね、キモッ!』とか思われてそうで、既に辛い。


「樹山〜、どうしたんだ〜?ボーッとして〜。」

 

「いや、今日部活動の登録があるだろ、正直どこの部活にしようか決めあぐねてるんだよ。」


「そうだよなー。俺達みたいなオタクが入ったところで、扱いが邪険にされるのは目に見えて分かっていることだし……。」

 俺の考えと同じ様に、安永も部活動に対してはどの部活にすればいいのか、そして俺達オタクの様な者達が、気軽に入れる部活があるのか。

 考える事は俺達、誰しも同じってわけか……。


ーーーーそんな俺達の憂鬱な気分をサラッと受け流すように、授業は滞りなく進んでいった。


「あ〜〜!この昼飯タイムが終わったら、遂に俺の嫌な嫌な体力テストが始まるんだ〜〜!」

 そう言いつつも、秒で昼飯を食い終わっている木村は、現実逃避するかのように机に突っ伏していた。


「兄さん、……その、ちょっといいですか?」

 俺達が昼ご飯を食べている中、これから昼ご飯を食べるのか、もう食べてしまったのか分からないが、澪が俺達の机にやって来る。


「昼ご飯時に珍しいな、どうした?」

 澪はそっと俺の元にやってきて、そっと耳打ちをする。

『ブ、ブブ……!!』


「は?ブブ?何じゃそら。」


『ち、違いますよ!ブ、ブラジャーのホックが壊れてしまったんです!体力テスト……どうしましょう!』

 澪は恥ずかしがりながらも、小声で今現在自分が置かれている状況を説明してくる。


 た、確かに今ならワンピースタイプの制服だから、ブラジャーが壊れていても目立つ心配はないが……。

 体力テストは勿論、制服ではなく体操着!! ブラジャーをしていない状況で澪が体力テストをやったらどうなるか!?


 澪は同じ高校一年生の中でも群を抜くほどにスタイルが良く、胸もFカップあるらしい……。そんな彼女が反復横跳びやジャンプをしてみろ……!


ーーーーどえらい大変な事になるぞ!


 俺は食う物はさておき、すぐさま保健室の先生の元へ、澪の腕を引き駆け出していた。

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