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修羅場る。

「お兄ちゃん、私前々から言ってるよ?お兄ちゃんはブサイクなんかじゃない、イケメンだって。それこそ、私が小学生くらいの時から!」


「そ、そうだったか?記憶に無い……。」


「お兄ちゃんが誰にでも分け隔てなく優しいのは知ってる。だけど女子はね、そんな優しくしてくれる男子には弱いの!」

 梓は、パンツ一丁でイケメンとは程遠い状態の俺に、水着姿で説教をしている。


「…………二人して何してんの?」

 ざわりと身体中の毛が逆立つ様な悪寒と共に振り向くと、そこには仁王立ちの澪の姿があった。

「兄さん、これはどういう状況なんですか?詳しく教えて下さい。」


「ちょっと待って、別にお兄ちゃんは悪くないんだけど!?勝手にお兄ちゃんだけ責めないでくれる!?」


「は?梓、貴女抜け駆けしようとしてたよね?何勝手に私の兄さんに近付いてんの?」


「はい!? 寝言は寝てから言って下さーい!お兄ちゃんがお姉ちゃんのモノだなんて、一体どこの誰が決めたの!?」

 二人共、いつもの喧嘩を始めてしまった。こうなると俺が仲裁に入ったところで『兄さん(お兄ちゃん)は黙ってて!』ってなるだけだから、俺はそっと洗面所を後にし、自室に入ると、すっかり冷めきった体を温めるべく、服を着込んだ。


「あぁなると長いんだよなぁ、二人共。」

 時間は夜の八時をちょっとだけ過ぎた頃。四月の夜はまだ肌寒く、長袖が欠かせない。俺はササッと手早く長袖を着ると、財布と家の鍵だけ持って、コンビニへと向かった。


 やはり四月の夜はまだまだ肌寒く、湯冷めを起こしかけていた俺に、更に追い打ちをかけるが如く、冷たい風が吹き込んでくる。

 小走りでコンビニへ向かい、店内に入ると暖かい暖房の温風と共に、おでんのいい香りが漂ってくる。


「おでん、まだやってたんだなぁ……。」

 ブツブツと独り言を言いながら弁当コーナーを物色していると、後ろから不意に声を掛けられた。


「あれ?こんばんは、湊君!コンビニで会うなんて奇遇だね!」

 振り返ると、何と声の主は坂崎さんだった。明らかに嫌な予感しかしない。『早々に立ち去れ』と、俺の第六感が警告している。


「や、やぁ、本当に奇遇だねー。」

 い、いかん、あからさまな棒読みだ!俺の体の動きもロボットみたいだし、これは自然に帰れる態勢ではない!

「どうしたの?寒いの?大丈夫?」

 やっぱり不審がってるー!? やはり早々に立ち去らねば……しかし、何も買わずに帰るわけには……。

 否!何も買わずに出ても、別に悪いことでは無いし、自然に退店すればいいだけの事!


ーーーーピロリローン!


 誰かが店内に入ってくる音が流れてくる。よし、今しかない!今なら自然に外に出られる!

「特に買いたいのも無かったから、俺は帰るよ。じゃあね!」

「え?あ、うん……。」

 よし!坂崎さんもこれで引き止めるような理由もないし、自然な状態!これで何事も無く外に…………で、て………。


ーーーーそんな事を考えていた俺の目の前に、今超絶に会いたくない人物が立っていた。


「あー!お兄ちゃん、やっと見つけた!」

「兄さん、こんな所にいたんですか!?って………。」

 俺と、そして俺と一緒にいた坂崎さんを見て二人の動きがピタリと止まってしまったのだった。

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