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どうしても気になる。

「お、上手いな!このボルシチ!」

 俺は次から次へとボルシチを掻き込んでいく。いやいや、ヤケになって食ってるのではなく、本当にうまいのだ。

 先述の通り、梓は料理がとても上手で料理のレパートリーもとても豊富だ。

 我が家では家事を分担しているが、澪は掃除洗濯がとても得意なため掃除と洗濯を。

 俺はといえば梓と澪の要望から、『何もしなくていい。』ということなので力仕事以外は何もしていない。

 それはつまり、頼りにされていないという事にも受け取れるのだが、まぁ元より兄の威厳などさほどないから、あまり気にしてはいないが。


「いいですか、兄さんはこれからもそのままの状態で学校に行って下さい。坂崎さんから、変に過去の事を掘り返そうとしたり、必要以上の事を聞き出そうとしないで下さいね。」

 澪に釘を刺されてしまった。仕方ない過去の出来事については一旦保留にするか……。


「お姉ちゃんも、これからはお兄ちゃんの部屋に入って、いかがわしい事をするような真似は控えて下さいねー。」

 今度は澪が梓に釘を刺されてしまったようだ。普段から梓が言う様な事をしていたのだろうか……。


「あ、でも、お兄ちゃんは私の部屋にどんどん入ってきてもいいからね!」

 梓は自分の作ったボルシチを頬張りながらそう言ってくるが、普通に考えて義兄に部屋に入ってきてもらいたい妹なんて、そうそういないと思うんだが……。


「ごちそうさまでした!」

 俺は妹の梓の言うことはそのままスルーし、食べ終わった食器をシンクに置く。梓や澪曰く、『兄が自分の食べ終わった食器を、洗って片付けるなんてもってのほか』との事。

 だから俺からしたら、本当は自分で食器を洗って片付けたくても、敢えてそのままシンクに置きっぱなしにしていることが多い。


「兄さん、後で構いませんので私の部屋に来ていただけませんでしょうか。」

 澪はあくまでも冷静な態度のまま、ボルシチを口にしながら声をかけてくる。

「わかった。」

 澪から『自分の部屋に来てくれ』なんて言うのは珍しいが、大体話の予想はできる。

 おそらくは坂崎さんの昔の事についての話だろう。

 

 さっき澪は自分から『坂崎さんに直接昔の事について触れるのはやめろ』と言っていた。という事は、澪自身が過去について話を直接する事により、坂崎さんと接触するのを避ける為だろう。


ーーーーつまり、澪は俺達の過去を本当は知っている……!?

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