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第1章 8社目

~~異世界召喚7日目~~



朝の朝食を取りハンターギルドへ向かう

俺たちは、いつもより早くにギルドへ向かった

受付嬢のノイエさんから街の中のおすすめ案件を幾つか紹介されたが断り

今日は街の外での依頼を受けたいことを告げる

出来れば魔獣が少なく、あんまり強くないところから進めたいからだ


「そうですね、これは採取依頼なんですが、場所がヘゼルの森周辺でとれるものですので

魔獣も森の中に入らなければ、比較的に弱い個体しかいないですし」


ヘゼルの森周辺は草原が広がっており、膝より高い草が茂っている

強い魔獣は縄張りを持っているので、森からはあまりでないそうで初心者の採取依頼なんだそうだ

俺たちはこの依頼に決めヘゼルの森を目指す



「さて、ここら辺でいいか。目の前にあるのがヘゼルの森だな。」


ヘゼルの森が100メートル先に見える場所で和木さんが声を掛ける


「この辺から、このナリア草とフタリ草を見つけて依頼完了ですね。魔獣に関しては

ラビットラット、ゴブリン、スライムが生息しているっと・・」


周りを見渡してもぱっと見ではわからないが、警戒するに越したことはないだろう

俺はテスト用のローラースケートに履き替えており、皆は棒術の棒を構えなおしていた


「ここからは島さんを中心に戦闘は沖、左右にケイ・ナナ 俺は後衛だ。

瀧は俺の前で薬草を見つけつつ戦闘になれば中衛だな」


ここで和木さんから的確な指示が来る。

確かに現在の俺には攻撃的なスキルが無いので仕方がない

ノイエさんから教わった特徴の2種類の草を探していく


特徴のある草を幾つか採取し、ヘゼルの森まであと10メートルくらいだろうか

茂みからラットラビットが飛び出してくる、そこに沖さんが素早く棒で突きを入れ

ナナがナイフでとどめを刺していた。


「ああ~~びっくりした~~突然出てきたからあせったよ~」


「ん~お兄ぃ~、手に感触が~~~ 気持ち悪いよ~~」」


ナナはスキルに【剣神】を持っているためナイフをつかんだ瞬間にスキルが発動したのだろう

この程度の魔獣ならば問題ないことも分かったが

ナナは動物を殺すことをしたことが無いためやはり負担はあるようだ


「ナナ、大丈夫か?急になれることはないと思うが無理はしない程度に使用

ナナは、ナイフを持つとスキルが発動してしまうから、棒に変えたらどうだ」


「うん、そうする~、でもスキルにも慣れとかなきゃだし~行けそうだったらナイフに替える~」


「あんまり、無理するなよ。少しづつ前に進めればいいからな」


このメンバーの中で生き物を捌いた事があるのは和木さんだった

父方の実家が山奥にあり、おじいさんが猟師なのだそうで、捌き方も教えて貰っていたそうだ

インテリのサバイバーってアンタすごいな、一人で生きていけるぜ

ラビットラットは食肉として需要があるようで、ノイエさんから見つけたら血抜きと内臓をとって持ち帰ってほしいと

言われている、俺たちは小さな穴を掘りラビットラットの血抜きし内臓をその穴に入れる

街で買っておいた麻袋をかぶせ担ぐ


お昼前くらいだろうか、ヘゼルの森の周辺をくまなく探し

2種類の草をかなりの量集めていた。

討伐した魔獣の数もラビットラット×9、ゴブリン×10、スライム×5

初めてにしては大成果ではなかろうか?


「うぇ~つかれた~っす」


「マジで疲れた~~血生臭い~~~」


男性は返り血によってかなり血生臭い俺の担いでる麻袋からもかなりの血の匂いがする


「結構、採取もできたし。ラビットラットの食肉も手に入れたしこの辺でいいだろう

そろそろ腹も減ってきたし帰るか」


「う~~気持ち悪くてお腹すかないよ~~~」


「私・・・何もしていない・・・けど・・・お昼は・・・いいかも」


女性陣は結構なスプラッタの連続で気分が悪いようだ

和木さんは慣れているのか、普通にお腹すいているようだが

残りの男性陣も少し気分が悪いようで、顔色が悪い


それから2時間ほど歩いただろうか、街に戻りハンターギルドで納品をして依頼達成、

今回の依頼で少しまとまったお金を手に入れることが出来た

採取依頼は2種類の草を㎏あたり70リズ、全部で20㎏程採取したので1,400リズ

ラビットラットは意外と大きなウサギ、程度の大きさなので、1頭当たり50リズ

9頭で450リズ、本日の成果は1,850リズとなる



「今日はおつかれさん~~~」


「「「「おつかれさま~」」」」


「初の戦闘だったけど~何となくうまくいったよね~」


「そうだな、各自スキルを使いどんなものか把握できたな」


「最初は結構グロかったよ~」


「俺は慣れてるから、あまり疲れていないが、皆も精神的に疲れただろう

明日は休みにして、明後日からまた依頼を受けていこう」


「そうだね~俺も疲れたよ~俺のSAN値は直葬するとこだったよ~」


「確かに、あれに慣れるのはもう少しかかりそうっす」


確かに俺もSAN値がヤバかった、一時はお肉料理要らないかも・・・

食事が終わり皆疲れたのか何も言わず部屋へ戻り

泥のように眠った



~~異世界召喚8~16日目~~


それから7日間、俺たちは魔術訓練や要らない物を直しては売り、採取依頼の受注と戦闘訓練を繰り返し

資金集めと人脈を広げていく

皆も俺も少しずつスプラッタに耐性が出来ているみたいで本当に良かった、

お肉を食べるたびに喉から返しが来るから、マジで。


最近は確実に戦闘訓練と魔術訓練によって実力を上げてきているし

島さんだって、スキルが成長しているのか、錬金スキルの回数多くなりインターバルが短くなってきている

しかし、最近の俺は全然伸び悩んでいる、魔術だ、皆はすでにいろんな魔術を使い戦闘にも取り入れているのだが

俺は未だに魔術が発動しない、どうやっていいのかさっぱりだ


戦闘訓練ではあのテスト用ローラースケートが大活躍で高速で動き、敵を棒で突けば必ず転ぶというか回転する

ひっくり返った敵をボコボコにして終わりなのだが、やはり魔術使いたいじゃない?


というわけで皆とは別行動でリフェルさんとの個人レッスンだ


「タキ殿。どうだ?ここでの生活は慣れてきたか?」


「ええ、少しずつですが慣れてきました。生活も皆で協力しながらボチボチ軌道に乗ってきてます」


「よかった、こちらに無理に呼ばれて知らぬ場所での生活は大変だろう、心配してたんだ」


「いえいえリフェルさんと騎士の皆さんには良くして頂いてますし、

街の皆さんも好意的なので、あまり苦ではないですよ」


「本当によかった、それでなんだが神意召喚を知っていそうな知人に合ってもらえそうなんだ、

君たちのことを教えたら、ぜひ会いたいとも言っていた」


「有難うございます!、こちらで少しでも調べているのですが

全くと言っていいほどに情報が無くて困っていたんです。」


「そうか、その知人は王都に住んでてな、すぐ行くと手紙には書いていたが、

王都からこちらに来るまでに10日以上はかかる、知人が来たら連絡するので紹介しよう」


「10日ですか・・・」


「ん?何か予定があるのか?」


「い、いえ!、そうではそうではなく、明日から6日間ほど配達の依頼がありましてぎりぎり間に合いそうだなと」


「ああ、そういうことか。タキ殿たちはすでに街の外で依頼を進めるほどになったのだな。」


「ええ、まぁスキルのおかげなんですがね、配達の時間が早いとの事で商人の方から依頼を頂きまして

結構な額で請け負うことが出来ました」


「順調で何よりだ」


さて、リフェルさんの非番を俺に為に使ってもらっているので無駄にはできない

リフェルさんから教えて貰ったように、魔力を感じ魔術の術式を頭に描きながら魔術を行使しようとするが

回路形成まではいかない、どうしてダメなのかわからん


「タキ殿、もしかして術式ばかり意識していないか?」


「術式ばかり?といっても、回路形成には術式を考えなくてはいけないのでは?」


「いやそうとも限らない、その辺は曖昧なんだが魔術を行使するにあったって、術式も大事だが

魔術は魔術を使うイメージが大事なんだ、自分が出来ないと思ったことは出来ないのと同じだな」


「そう・・・か、自分が使ったことが無いからとかじゃなく、自分は出来ると思えなければ

魔術は行使できない」


ああそうだと、リフェルさんは俺の後ろに回り抱きしめるかのように自分の胸を俺の背中に押し当てる


「な!??、何を!?」


リフェルさんの心音が聞こえる、心音と同じくこれは魔力の波長なのだろうか

俺の魔力がその魔力の波で揺れ動くのがわかる

そしてリフェルさんの手を通して魔力の波は俺の目の前に集まり始め、それは水の玉となって具現化する

水の玉はそのまま回転を続け、回転が最高潮になったところで射出され飛んでいく

ああ~これが魔術か、この感覚なのだ

リフェルさんの暖かな魔力の波と背中の幸せな感触に、俺は・・・


「一生このままで居たい気持ちだ」


「タ!ッタキ殿!?」


いかん!思っていたことが思わず口に出てしまった!


「なるほど!これが魔術を行使するということですね!」


勢いでごまかすことはできないだろうか・・・


「ゴホン、そっそうだ!今のを感じることが出来るのであればもう魔術を行使することも可能ではないか?」


「やってみます」


今の感覚、俺の魔力の波、その波を術式を意識しつつ目の前に押し出す

すると今までできなかったことが、するりと出来るようになる

目の前には水の玉それが緩やかに回転をする、メロン大の大きさになったところで射出する


「できた・・・・できた・・・できた~~~~~~~!!!」


狙ったわけではないが、あまりに嬉しすぎてリフェルさんを抱きしめる

狙ったわけではない、決してない


リフェルさんは顔を真っ赤にしている、おや?リフェルさんの様子が・・・


俺の視覚では感知できない速度で、腹パン→胸への掌底→顔へのハイキックが決まる


「タキ殿・・婦女子に急に抱き着くのはだめだ、心の準備できていない

事前に言ってくれれば・・・・・・・タキ殿?」


俺の意識は暗闇に閉ざされたのだった。



夢を見ているそんな気がする・・・・花畑、暖かな光に包まれ花たちは生き生きとしている

その中心には以前もみた、少し寂し気な女性・・俯きなにかをつぶやいているような・・

俺はその女性を励ましたくて、一緒に寄り添ってあげたくて走り出す

しかしどうやってもそこにはたどり着けない。俺が傍にいてあげるから寂しくないよと

叫んでも、俺の声は聞こえないのか、その女性は俯いてしまう

俺は何とかして支えてあげたい気持ちになり、今の気持ちを俺の持つ魔力の波に乗せ女性に贈る

伝わったのか、女性はゆっくりこちらを向き・・・・・

歌が聞こえた、ゆっくりとしたテンポの知らない曲


そこで俺の意識は浮上した


「あれ?ここは・・・」


「ああ、ここはまだ騎士の訓練所だ」


「俺は死んだのですか?女神様・・・」


「タキ殿、その・・誉めてくれるのはうれしいのだが、正気に戻ってくれ」


「リフェルさんですか、何故に膝枕を?、ありがとうございます眼福が至福で絶頂です」


「頭を強く打ちすぎたか?本当に大丈夫か?」


「いえ、この幸せすぎる膝枕を50年ほどしてほしいくらいです」


「ふふふ、ダメ人間になるぞ?」


「この幸せを得れるのであれば、ダメ人間でもいいかなって思えるくらい幸せな膝枕ですよ」


(・・・おい・・・押すなって・・・)


ん?何か聞こえる?


どしゃぁ~~~


と植木の中から騎士の方々がいっぱいいらっしゃった


リフェルさんは優しく俺の頭をつかみゆっくりとおろしてくれる。

スッと立ち上がるとリフェルさんの体から金色のモヤの様なものが立ち上がる


「やべっ!!?? にっ逃げろ!!!!」


一人の騎士がそう言ったかと思ったら散開しバラバラに逃げていく

流石騎士の人たち団結力もいいのね、あんたらGみたいですやん


「貴様ら!!!明日の訓練を楽しみにしておけ!!!!!!」


リフェルさんの咆哮は夕刻の空に響き渡った


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