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巫女乃禄  作者: 若猫老狐
関東合同訓練
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見回り (2)

妖怪が脇道へ入ると奥で霊的三弾銃を風呂敷から出す青井を見つける。

フードを被り人間のように洋服を着ている2人はすぐ疑問を持つ。

「もう1人は?」

「偵察だけと言われたが…面倒だ」

ゆっくり迫り殺意を剥き出しにしていく。

さらにビルの屋上から新たに妖怪が降りてくる。

「囲まれた…!」

元来た道も退路も阻まれながらも青井は霊的三弾銃を構える。


「しね…ぐぁ!?」

物陰から現れた和泉の拳が妖怪の一匹を吹き飛ばす。

壁にめり込み血反吐を吐くも致命傷には至っていない。

「小細工は要らん…全力で掛かってきいや!」

フードが外れツノが露わになる。

相手はどれも下っ端の鬼だ。

「おのれ!」

「しゃあ!」

包帯に巻かれた和泉の拳は霊力を纏い鬼の腕を砕いた。


「和泉さん!出来れば生かして尋問を…わ!」

後ろから迫る鬼の拳を際どく避ける青井。

左手に備えた霊的空気銃を連射し反撃に転じる。

「そんなも……ぬ!?」

爆発する筈の球は鋭利さを増し鬼の身体を貫いた。

「改良された球…使える!」

怯んだ鬼へ霊的三弾銃を放つ。

爆発し鬼の胴はバラバラに引き裂かれた。


「こん程度かぁ!」

和泉の回し蹴りが鬼の顎を吹き飛ばす。

ぐらりと揺れ地へ伏せると塵へ変わり空へ消える。

「後は…こいつだけかい」

壁にめり込んだままの鬼へ迫る和泉。

「都会の妖怪には"頭領"と言う存在が居るみたいで」

「おらぁ!お前らんとこのボスは誰やぁ!」

青井の話を最後まで聞かず和泉は言葉と拳を畳み掛ける。


「ぐふっ…おまえなどに…」

鬼も当然喋る気は無い。

「ほほぅ…これでも拷問は得意なんや…覚悟しろや!」

腕を振り上げた瞬間、鬼の周囲に電気が帯びてくる。

「何ですか…これ」

青井が触れようとした瞬間、

「…!あぶねぇ!」

眩い光と共に鬼が電撃で消し飛んだ。


「つぅ…怪我無いか青井?」

青井を抱き伏せた和泉は余波を背中で受けてしまう。

「わ…私はなんとも…和泉さんこそ大丈夫なんですか!?」

「くあ〜こんなんマッサージにちょうどええなぁ」

背中に霊力を纏わせほぼ無傷で済んだ。

立ち上がる和泉の姿に青井は少し惚れる。

「聞き出す前にやられてもうた…何やったん今の?」


めり込んだ壁に鬼は跡形もなく消えていた。

口封じの為か誰がこんな事をしたのかは解らない。

「携帯持っとる?」

「ぇ…はいどうぞ」

折りたたみ式携帯電話を受け取り手慣れた操作で番号を押す。

「おう小百合?ちと悪い事が起きたわ…妖怪とばったりや」

話し相手は小百合のようで此処での出来事を説明する。

状況把握した小百合は見回りを増員すると伝える。


「ほなまたな」

通話を切り携帯電話を返すと和泉は腕を回しやる気満々の様子。

「これからどうするんですか?」

「決まっとるやろ?妖怪退治や!」

装弾を終え青井は和泉に続く。

人気の無くなったビルの屋上で妖しい気配が蠢いていた……。

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