表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
巫女乃禄  作者: 若猫老狐
関東合同訓練
54/182

【15】技能測定試験

「…揃ったわね」

昼前の清天神社。

快晴に恵まれ境内の真ん中に妖滅巫女達は結集した。

「なぁ小百合?これから何を始めるん?」

集合時刻も知らされず退屈そうに待っている和泉が訊ねる。

小百合の格好は昨日のスーツから一転して千早も羽織った完璧な巫女装束だ。


「これから皆には力量を測る為の試験を受けてもらいます」

社務所側の杜に置かれたスタート地点を指差す。

「あそこから本殿の裏…蔵の側まで走ってもらいます

但しランダムに配置された的を討って杜を完走して下さい」


「ちょっと娘伯さん!寝ぼけてないでちゃんとして下さい!」

うとうとしてる娘伯を風花が揺さぶる。

「大丈夫…?」

「朝が苦手なだけですから」

心配してるアイサに対し青井はいつもの事のように話す。

「それじゃあ最初は娘伯様にやってもらおうかしら?」

いの一番に指名されるとは思わず頭を振って緊張した娘伯。

「ん…頑張る」


スタート地点に着き合図を持って走り出す娘伯。

その間見学する巫女達に混ざり小百合は筆記している。

娘伯……

関東唯一だった妖滅巫女。

夜の間のみ脚力は人知を超え、

妖怪を素早く追い詰める立ち回りを見せる。

白く長い髪は生まれつきとの事だが原因は不明。

小刀に霊力を込める攻撃が得意だが、

本来物体以上の霊力を発する事は出来ない。

今回の特別訓練において最も注視するべき存在である。


筆記を終えると同時に娘伯はゴールした。

「ふむ…普通ね」

「ご…ごめんなさい」

昼間である為に持ち前の韋駄天は活かせず、

的を相手するのにわざわざ接近する必要がある。

初めての事でその完走タイムは平均より遅い程だった。

「まぁまぁ!初めてにしては上出来や!」

小百合が叱りモードになりそうなのを察して間に入った和泉。

「なら関西一番の実力者である貴方に次鋒を務めてもらいましょうか」


勢いよく拳を打ち既にやる気満々の和泉。

「ほな行くで!」

合図で走り出す和泉は軽快に杜を駆け抜けていく。

そして現れる的もまるで予見しているかのように先回りし拳を叩きつける。


「流石にパターンを読まれてるわね」

関西でも何度か行ったこの試験に和泉は既に10回以上挑んでいた。

経験者故に心得は十分でタイムも娘伯のそれより遥かに上回る。

「どや!」

ゴールした和泉は土煙を上げて急ブレーキを掛ける。

「お見事です!」

「照れるで」

風花に褒められ和泉は頭を掻く。


「脳筋の割にパターンを身体で覚えてるのが厄介なのよね…」

筆記をする暇もなく小百合は無遠慮に愚痴る。

「おう何や?文句あるならうちのベスト超えてみぃや」

残念ながら体力勝負で小百合は和泉に一度も勝ったことが無い。

挑発に乗れば無様な負け姿を晒してしまうので指名を考える。

「いえ…他の方の実力を知りたいわ…青井さん…お願いできる?」

「ぇ…は…はい!やります!」

青井は霊的空気銃を腰帯に収め霊的三弾銃を構えた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ