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巫女乃禄  作者: 若猫老狐
関東合同訓練
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関東合同訓練 (3)

「東北の巫女さんはいつ来るんですか?」

「むぅ…同じ時間に来ると言われていたんだがな」

一向に来る気配が無い東北巫女。

しかし娘伯は既に気づいていたようだ。

「後ろ」

「ぇ…うぇ!?」

風花の真後ろに二人の小柄な巫女が座っていた。

どちらも髪は青黒く一人は額当て、もう一人は前髪が長く瞳が見えない。


「東北より妖滅巫女…アイサ参上した

こっちはアイカ…以後よろしく」

額当てを付けた軽装の巫女がアイサと名乗る。

目隠れで祈祷師のような出で立ちのアイカは会釈だけする。

どちらも独特な紋様を頬や装束に施している。

「ぃ…いつの間に…」

「始めから居た…気配消すのは得意」

アイサは確かに気配を消していた、

しかしアイカの方はそもそも気配が無かったと娘伯は話す。


「随分背もちっこくて子供っぽいなー」

勝一が小動物を撫でる手つきを近づけたらアイサは叩いて拒否する。

「歳は十一…でも子供扱いするな」

「可愛げないな…」

勝一の愚痴にアイサが睨みつける。

「どうして出てこなかったの?」

青井に訊ねられアイサは社務所の入り口を指差した。

「あの巫女…うるさいやかましい鬱陶しい」

しかし互いに初対面なら挨拶くらいはと風花は思う。


「アイサもアイカも指導は苦手…でも自然の知恵と技術は教えられる…

都会の事はよく知らないけど…よろしく」

アイサに合わせてアイカも一礼する。

「……仲良くなれそう」

「娘伯や」

都会知らずに共感して娘伯はそんな事を漏らした。

「因みに二人は宿を取ってあるの?」

風花の質問は意外にも東北巫女を固まらせた。


「野宿で十分」

「ダメだって!都会は危険がいっぱいなんだから!」

「風花の家に泊めてもらえばいいんじゃないか?

ホームステイって家族に説明すれば大丈夫だろ?」

勝一の提案でそれだと風花は悩みを解決する。

「んじゃ青井!アイサって子のお世話よろしく!」

「ぇ…私も!?」

思わぬ白羽の矢に青井は驚く。


「ま…待て…アイカと離ればなれは…面倒」

「これも社会勉強だと思って挑戦してみようよ?」

アイカは人見知りな性格だが珍しく風花の袖を摘み懐いてる様子。

「よろしくねアイカ!」

『…よろしくお願いします』

何処からか声が響き風花は首を傾げる。

「仕方ない…子供扱い…絶対するな」

「はぁ…分かってます…よろしくアイサ」


「それじゃあこれから自宅に戻って諸々説明するので!」

風花はアイカの手を繋ぎ社務所を出てしまう。

「アイカ…!う…青井…家に案内しろ」

戸惑いながら命令するアイサに青井は再びため息を吐く。

「それではまた明日…行きましょう」

一礼し青井とアイサも席を立つ。

「また明日」

娘伯は手を振り二人を見送った。


「やれやれ…今日はお開きだな」

「あの…俺は何かやる事あります?」

落胆する元斎に勝一が訊ねてくる。

「そうだな…雑用や準備の手伝い程度だろう」

「勝一はお休みしてていい」

元斎の力の無い返事から娘伯が追い打ちを掛ける。

「俺だって清天神社の一員だって事を忘れないでくださいよ」

「ん…お疲れまた明日」

娘伯に軽くあしらわれ結局勝一は社務所を出てしまった。

しばしの静寂に娘伯と元斎は同時に茶をすすった……。

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