【5】潜む妖怪
「…美味しい」
学校の昼休み。
屋上でただ一人そんな言葉を吐いたのはスーツ姿の娘伯だ。
この一週間で解ったのは妖しい者はいれど未だに目立った悪行をしてない事、
昼の購買部はとても混む事だ。
「かれーぱんは強めの辛さだし…やきそばぱんも味が濃い」
生徒に混ざり勝ち取った昼食を頬張る娘伯。
さながらその正体が妖滅巫女の者だとは誰も思わないだろう。
「娘伯さん!」
「こんな所に居た!」
屋上の入り口から声がし思わず顔をパンで隠す娘伯。
「ぁ…青井と風花」
声の主が青井と風花だと気付き再びパンを食べる。
「ずっと探してたのに見つからなかったんですよ!」
「はぁ…まさか屋上に居たとは…」
この一週間校内では全く会えなかった理由に二人は納得した。
「探してた?何か用事?」
「妖怪調査の進捗はどうですか?」
青井の質問に娘伯は青ざめる。
まだ確証の無い現況に何を話していいかわからないのだ。
「まだ…確信が無い」
調査は討滅依頼と違う。
相手が中立であるならば無闇に手を出して関係を壊すのは最悪の事態だ。
「そういえば青井はうちのクラスが怪しいって言ってたよね?」
先日の体育でも違和感を感じていたのは青井だ。
改めてその理由を問いかける風花に青井もある二人の生徒を挙げる。
「えっと…妖怪かは解らないんですけど…陽石さんと春子さんの事が気になってて…」
「あの二人って名前も性別も違うのになんか雰囲気似てるよね」
風花はふんわりとした違和感を付け加える。
妖怪を実際に見ている二人ならばその事に気付いたのも納得できる。
「……詳しく調べる必要があるかも」
娘伯は鞄から御札を取り出すと一枚ずつ二人に渡す。
ついに妖怪退治の道具を得て風花は意気揚々だ。
「おぉ!これは?」
「妖怪が触れると対の御札が光る
もう一枚は私が持ってるから怪しい相手の何処かに忍ばせて欲しいの」
青井と風花にそれを託す理由は娘伯がより二人を信頼したからだ。
「妖怪か区別する為の御札で殺傷能力は無いから安心して」
「机とか持ち物に貼ればいいんですね?」
青井の確認に娘伯が頷く。
「念を押すようだけど危険だと思ったらすぐに逃げてね?」
「大丈夫ですよ!クラスメイトですもん!」
心配する娘伯に対し風花はどこか自信満々だ。
青井も妖怪なら危害を加えてくる可能性を否定できないでいる。
「あの…もし妖怪だと解ったら退治するんですか?」
「それは……わからない」
娘伯にはそれしか言えなかった。
時間は経ち六限目の最中。
1年C組の教室では比較的静かな授業が続いている。
しかし風花は並々ならぬ緊張感を持っていた。
前の席が春子と陽石だからだ。
目の前の生徒が妖怪…かもしれない、
既に椿鬼やチョウと対峙している風花でも可能性だけで焦っている。
迂闊な行動は出来ないと自分を必死で落ち着かせる。
「……ぁ」
そんな事など知らず拍子抜けな声は前から聞こえてきた。
陽石の消しゴムがコロコロと風花の方へ。
「取ってくれる?」
「あわ!?」
初めて声をかけられつい素っ頓狂な返事をしてしまう。
春子も気になったのか横目で二人を見ている。
「ごめんすぐ取る!」
机の下へ手を伸ばし難なく消しゴムを拾う。
「は…はい!」
渡すその手は震えている。
「ありがと…大丈夫?汗が凄いよ…」
そして風花の掌には御札がクシャクシャで忍ばされていた。
「ね…ねぇ」
授業中であるにも関わらず風花は会話を途切れさすまいと弱く声をかける。
「何?」
「陽石って…妖怪?」
その一言は陽石と春子を硬直させた。
「はぁ?何言ってんのさ…」
陽石は動揺を隠しながら消しゴムを取る。
春子も顔は見えないが冷や汗を垂らしている。
「あ…あはは…そ…そうだよね…私おかしな事言っちゃって…ごめんね」
その場の会話はそれだけだった。
HRが終わり放課後の帰り仕度をする風花の手は震えていた。
思わず滑らせた言葉に自分でも後悔している。
教室から逃げるように飛び出した風花を青井が追いかける。
「ちょっ!風花どうしたの!?」
「ぅ…ごめんついうっかり」
自分の愚行を晒す前にその襟を掴んだのは他でもない陽石だった。
「……どこまで知ってる」
授業での会話から全く途絶えた陽石の声。
今まで聞いたことが無い殺意にも似た強い口調。
それよりも足が浮いた風花は窒息しかけ身の危険を感じている。
「陽石!落ち着いて!」
その腕を押さえたのは春子だ。
「げほ…はぁ…やっぱり妖怪なんだね?」
確信を得た風花に対し青井は何が何だか理解できていない。
「何で解った!僕達の変幻は完璧だったのに!」
春子が押さえていなければ陽石は再び襲い掛かりそうなほど激昂している。
野蛮な暴力的な妖怪だったのかと青井もやっと理解した。
「変化は完璧でも体育の授業で人間離れな動きはしてたよね?」
最もな違いを指摘され春子も陽石もうっかりした顔だ。
「だから手加減しようって言ったのに…」
「うぅ…だってたまにはハメ外さないと身体が鈍るでしょ!」
どうしたものかと悩んでいる風花と青井に陽石が睨みつける。
「…確かに僕達は妖怪だ…けど他の奴らと違って悪事を働く気は無い」
「他の奴らって事は学校にはまだ妖怪が居るの?」
青井の問いに春子が頷く。
「学校だけじゃなくて都会には多くの妖怪が潜んで時に暴れてる…私達はその妖怪を密かに退治してるの」
詰まるところ娘伯の”同業者”である。
しかし妖怪が妖怪と戦うなど風花も青井も聞いた事が無い。
「今は一生徒として天青学校に隠れた妖怪を探してる」
「一生徒として学校生活をエンジョイしてるようにしか見えないけど」
なんだと、と陽石は風花に突っかかる。
「それでお前達は何で妖怪を探してるんだ?まさか退治しようとか思ってないだろうね」
「いや私達はそんな事出来ないから…」
「そうですか…都会には妖怪を退治する人間が居るらしいけど…」
「そんなの都市伝説に決まってる!」
春子の心配を陽石は一蹴してしまう。
まさか青井と風花がその人間と深く関わってるとは知らないだろう。
「とにかく!妖怪の事はあまり関わらない方がいい」
「身の安全は保証できませんので…それでは」
春子が会釈し二人は廊下を去っていく。
「ねぇあの二人って良い妖怪?」
青井は思っていた事をやっと伝える。
「たぶん…良い妖怪」
殺気こそ感じなかったが春子と陽石が相当の手練れである事を風花は感じ取る。
今日は部活が無い風花は青井と共にそのまま清天神社へ向かうのだった。
「…と言うことがありまして」
清天神社の社務所。
夕暮れ時の中で青井は既に居た元斎に今日の成果を報告する。
「双子の妖怪…のう」
椿鬼は寛ぎながら酒を煽っている。
「まだ調査の必要はありそうだが危険度は低い方だろう」
「そんなものなんですか?」
「正体を見られた妖怪はなりふり構わず殺しに掛かるからな
会話し説く事の出来る妖怪は百年以上生きてる証だ」
現役時代で多くの妖怪と相手してきた元斎が言うのだから違いない。
「年齢で妖怪の素性が解るだなんてまたまたご冗談を」
「儂は齢千年超えておるぞ?」
苦笑いの風花に対し椿鬼は真面目な顔で年齢をざっくりと明かした。
「椿鬼さんはそれなりの貫禄を感じますね
春子と陽石は私達と同じくらい無邪気なような…」
「髪の色はどうじゃ?」
「え?春子は水色ぽくて陽石は茶髪ですけど…」
椿鬼はそこまで聞いて何か閃いた様子だ。
「もしかして知り合いですか?」
「いーや…儂の思い過ごしじゃろう」
何か隠したような言い方に元斎が追及する。
「知ってる事があるなら正直に話した方がいいぞ
誤解が生まれてからでは遅い」
互いの為にも情報の共有は必須だと元斎は説く。
「…儂らがこの時代へ来る前に行方知らずとなった妖怪どもが居てな」
その内の二人は双子で容姿と性別がややこしいのじゃと椿鬼は語る。
双子の一人は椿鬼の弟子として手合わせや修行をしてたようだ。
「その内の…と言うことはまだ仲間がいるんですよね?」
「これ以上は本人達から訊くといい…優しい連中じゃからきっと話してくれるじゃろ」
話を無理矢理切り上げると椿鬼は立ち上がり背伸びする。
「何処へ行くつもりだ?」
「野暮用じゃ」
元斎の強い言葉に怯むこと無く椿鬼はそれだけ言うと社務所を出てしまった。
「もしかして春子と陽石へ会いに行く気じゃないの?」
「む…その2人の所在は何処だ?」
出来るなら娘伯に向かわせようと企む元斎だが、
青井も風花も首を横に振ってしまった。
「あの2人って自分の事を話さないから」
「椿鬼を尾行するのは危険だな…あまり良くない事を考えてなければ良いが」
結局この日は椿鬼が帰って来ずその目論みも闇のまま夜が明けていった……。
「春子と陽石…双子の妖怪ね」
授業も終えた天青高校の放課後。
いつも通り屋上で待ち合わせし娘伯は学校に潜む妖怪の名を呟く。
青井と風花はこれからもう一度接触を試みようと考えていた。
「青井と風花はもう帰った方がいいかも」
「どうしてですか!私達もあの二人の事はもっと知りたいです!」
風花は娘伯の提案に賛同できない。
しかし青井は納得とも諦めとも言えるため息で答えた。
「春子と陽石にも言われたよね…私達が関わったら怪我じゃすまないよ?」
「青井まで…!今更弱気になってどうすんの!」
「ここから先は…命の取り合いになるかもしれない
その時に二人が居たら私は守り切れる自信が無い」
妖滅巫女と妖怪の戦いは周りを巻き込む熾烈な物だ。
それは椿鬼との手合わせを観戦した二人にも理解している。
「私だってこの学校を守りたいのに…」
無力であると解ってても風花は納得できなかった。
「想いだけじゃ妖怪とは戦えない」
娘伯が今にも泣きそうな風花の頭を撫でる。
「青井…悪いけど風花の面倒をお願いね…私は双子と話をしてくる」
「気をつけてください娘伯さん…」
スーツ姿の娘伯を見送り屋上に残される青井と風花。
「風花…落ち着いたら帰ろう?」
「私達じゃ役立たずなのかな…」
完全に落ち込んだ風花を今度は青井が撫でる。
「今の私達じゃ何も出来ないよ…今は我慢しよ?」
しかし青井は一つ思い出す。
娘伯が椿鬼と闘った際に使った幣と銃。
妖怪と戦える武器があれば自分達も妖怪と戦えるのではと。
それがどれほど危険な事でも、
風花の無茶は止められないだろうと青井は思った……。
まだ学校に居ると睨んだ娘伯は早歩きで双子を捜す。
すると学校中に張り巡らせた御札の対が淡く輝いた。
示す場所はカウンセリング室。
逃すまいと慣れてきた革靴で走り出す娘伯。
「待って!」
突然の叫び声に娘伯は足を止めた。
遠くから聴こえたそれが自分を呼んだ様子ではないが、
何か嫌な気配に娘伯は声のした方へ急ぐ。
曲がり角で誰かとぶつかり驚く。
「ぁ…先生…!」
水色の髪と男性生徒服に似合わぬ華奢な身体、
彼が話にあった春子だと予想がついた。
「どうしたの?」
「っ!…先生よけ…ふぇ!?」
何か殺気が迫り娘伯は春子の襟を掴み共に回避する。
曲がり角の柱が激しく吹き飛びゆっくりと陽石が姿を見せる。
その左腕には拳を象ったカラクリの武具を装備し煙を吹かしていた。
「喧嘩にしては度が過ぎる…」
「先生は一体…」
武具を構えて迫る陽石の瞳は心ここに在らずと言うべきか。
迷いなく振るった拳が届く前に娘伯は御札を放ち陽石を弾き飛ばす。
「滅するしか」
「待ってください先生!陽石は正気を失ってるだけです!」
小刀を取ろうとした腕を春子が止める。
しかし二人と面識の無い娘伯には普段の様子など知りもしない。
「直前にカウンセリング室へ行ってました
それから様子がおかしくなって…襲いかかってきたんです」
カウンセリング室で反応があったのは彼女なのか別の妖怪か、
確認し御札が輝いている事に娘伯は察する。
「あの子…陽石を抑えられる?」
春子は不安な顔を見せながらゆっくり頷く。
「元凶を突き止めてくる…」
「わ…分かりました…」
これ以上詮索さず敵対する陽石と向き合う春子。
娘伯が背を向け走り出すと春子は鞄から折り畳まれた杖を取り出した。
カウンセリング室の扉を思い切り開け中へ入る娘伯。
窓から溢れる夕陽の下で蹲ってる人影を見つけた。
「まだ反応がある…貴方妖怪ね」
びくりと男は娘伯を睨みゆっくり立ち上がる。
「もうだめだ…俺はもうダメダ…」
呪詛のように言葉を繰り返す様はやはり正気を保てていないのか、
明らかな殺意を放った妖気に娘伯は小刀を取り出す。
「俺はただ生徒の手助けをしていればそれで良かった…なのにヤツは無理やり俺にこんな力を…グォオ」
「ヤツ?…一体誰なの?」
外部からの干渉による妖力の強化、
その元凶が誰かと娘伯は問う。
しかし男は顔を隠し徐々に姿を変えていく。
『ウゥ…お前もあの女のように夢へ誘ってやる!』
整った腹が大きく膨らみ顔は象のように変化する男。
獏
夢の中で悪夢を喰らう妖怪、
しかし今は人や妖怪すら悪夢へ誘い手駒にする悪害の化身となってしまった。
「もう…だめみたいね」
狭い部屋で獏へ突っ込み小刀を振る。
しかしその姿から思わぬ動きの良さに娘伯は一閃を外してしまう。
『グオオォ!』
獏の爪が娘伯の肩を掠める。
まだ夜になっていないせいで脚は韋駄天を発揮できず、
そしてスーツ服と革靴がなにより苦戦の要因を作り出していた。
「ここじゃ狭い…っ!?」
突然部屋の扉が爆ぜ廊下から陽石が現れる。
足止めに失敗したのか春子の姿は無い。
獏の自我は失っていてもまるで操り人形のように陽石は娘伯と対峙する。
背からの攻撃に娘伯はなんとか回避する。
獏は隙を見逃さず両肩を掴み娘伯を見つめ出した。
「なに…ねむ…ぃっ!」
途端に眠気が訪れ御札で獏を吹き飛ばす。
しかし無防備になった娘伯の腹へ陽石の鉄拳がのめり込む。
壁へ激突し地へ沈む娘伯。
その衝撃は骨まで響くようで身動きが取れない。
『永遠の悪夢に誘われろ』
顎を引かれマジマジと獏に見つめられる。
今まで味わった事の無い睡魔に抗えず、
獏の歪んだ笑みを最後に娘伯は意識を失った……。
まどろむ視界の中で声が聴こえる。
初めて聴く…しかし何故か安心感を覚える声。
朗らかな雰囲気が本当に悪夢なのかと疑ってしまう。
しかし雷のような轟音で身を裂く痛みを感じる。
その声は恐怖か畏怖か。
しかし雷は鳴り止まずどんどん近づいてくる。
自分の叫び声だろうか。
本能的に出た泣き声が視界を白く照らす。
誰かの声…先程とは違う知らない声。
手を伸ばし光を手にする。
そして娘伯は目を覚ました……。
『何故だ…何故悪夢から目覚めた!?』
獏の声は驚いていた。
確かに娘伯を悪夢へ堕とした。
しかし白い髪を銀に輝かせ立ち上がる姿は凛々しく、
瞳は虚ろう事なく獏を捉えている。
『何故だ!』
獏は恐れながらも襲いかかる。
娘伯の小刀は空を切り霊刀が獏の胴を斬る。
空しく獏の上半身は床へ落ちていった。
『どうして…俺の力から脱せた…』
弱く問う獏だが娘伯にもその理由が解らない。
首を横に振った後で今度は娘伯が獏に訊ねる。
「"あれ"は貴方が見せた夢?」
『俺はいつも自分で作った夢を他人に見せる
…だがお前のは違う…潜在的な物だ』
つまり娘伯が覚えている物…その悪夢は正夢か。
しかし今は自分より獏を狂気に陥れた者の正体が気になった。
「貴方を狂わせた者…力を与えた者は誰?」
名前までは知らないのか獏は弱々しく首を横に振る。
『だが気をつけろ…あれは人間のように巧妙だ』
その言葉を最後に獏は瞳を閉じ砂となり散った。
操られてた陽石はいつのまにか眠りについている。
童のように寝息を立てる姿に娘伯はふと頭を撫でてみる。
清め給え祓い給え、と娘伯は呟き騒動の収束を実感した……。
それから夕方の清天神社。
「そうか…ご苦労だったな娘伯や」
カウンセリングの先生…獏の討滅を報告し娘伯は慣れた手際で巫女装束に着替える。
「学校側は教師の"失踪"を異動として処理するだろう
これで高校の調査も終わりだろうな」
元斎も長く娘伯が留守にして退屈だったようだ。
「双子の妖怪は?」
春子と陽石の一件も不問とした。
「娘伯に危害を加えたのは操られていたからだろう?
彼等にも事情があるだろうしワシらが干渉すべき事では無いと思うが」
「……ん」
少し納得はしてないが娘伯は頷いた。
「これで先生ごっこもおしまい…」
背伸びしてこれまでの疲れが出たのか寝転がる娘伯。
「名残惜しいか?」
考え悩むもただ一言別に、と名残惜しくも取れる言葉を返す。
「でもちょっと楽しかった」
「そうか…ではまた調査が来たら娘伯に頼もうか」
「……やっぱりやだ」
素直でないと元斎はため息をこぼす。
「娘伯さん!娘伯さん!」
社務所の入り口から大声が飛んで来た。
風花と青井が慌ただしい顔で訪れたようだ。
「どうしてすぐ帰っちゃったんですか!」
「双子から根掘り葉掘り訊かれて散々でしたよ…」
しかし娘伯の詳細は教えていないと青井が付け加える。
「二人ともお疲れさま…もう無茶な事はさせないから安心して」
ちゃぶ台のお茶を一飲みして労いの言葉を掛ける娘伯。
まだ夕飯の支度が終わってない事に気付き、
一緒に食べないかと誘うのだった……。