御山決戦 (6)
「私達も…うっ…」
無理して歩こうとし風花は膝をついてしまう。
九之助との一戦から青井達は全快に至ってない。
「無理しないで!二人とも御札は残ってる?」
「何に使うんですか?」
残った御札を全てばら撒き嵐の中へ御札が舞う。
「この前の応用…成功するか分からないけど」
息を整えて娘伯は小刀を構える。
「はっ!」
一閃の煌めきは嵐の渦中へ消える。
しかし御札が霊力に反応し連鎖的な爆発を起こしていく。
「ほぉ…やるじゃないかい!」
烏天狗と対峙していたクリュウは消え去った嵐に笑む。
「お姉さま!」
「姉上!助太刀します!」
間に立ち塞がり烏天狗の鎌鼬を受け止めるヒセ。
「小癪な…!」
氷の道を形成しハルは軽やかに滑り烏天狗へ迫る。
武具に纏う氷牙は確かに烏天狗を貫いた。
「やった!」
しかし討たれた烏天狗が突風となりハルを吹き飛ばす。
「クリュウ!後ろ!」
娘伯の声で振り向き鉄扇を振るうクリュウ。
寸前で烏天狗の拳を弾いた。
「おっかない!」
遅れてヒセが手甲を構え間合いを詰めようと試みる。
「な…うわ!」
下から吹き上がる風に上空へ飛ばされてしまう。
烏天狗が手を下ろすと突風がヒセを叩き落とした。
「あと少し…」
娘伯は焦りを隠せず足踏みしか出来ない。
「娘伯さん!私達が一瞬だけ隙を作ります」
青井が最後の玉を霊的三弾銃に込める。
「勝負は一回きり…決めるよ!青井!」
しゃがんだ風花の肩に三弾銃のコッキングレバーを添え手ブレを抑える。
「娘伯!何やってんだい!早く加勢しろ!」
肌を傷つける程の風を鉄扇で受けながらクリュウが叫ぶ。
徐々に娘伯の霊力が増していく。
「何を企んで…っ!」
青井達を狙った烏天狗の腕はハルの繰り出した氷の柱で固められる。
残った腕で鎌鼬を放つも岩の盾を地に突き刺したヒセに阻まれる。
「今だ!」
引き金を引き放たれた霊的三弾銃の球は三つとも烏天狗の眼前で爆発する。
煙を纏い吹き飛ぶとクリュウの炎が追い打ちを掛ける。
「ま…まだだ…」
四方を炎の渦で囲まれるも風で払う。
残り火が晴れると目の前に娘伯が迫っていた。
「たかが人間如きに…!?」
振り下ろした腕と同時に風の刃が舞う。
しかしたった一歩で横へ避ける娘伯。
二歩目で通り抜けざまに霊刀の一閃が烏天狗の胴を斬り割いた。
「ぐぁ…申し訳ありません…頭領…さま」
なす術なく地へ落ちた烏天狗の骸は程なくして砂となり御山の空に舞った。
クリュウがよくやったと褒め娘伯へ駆け寄る。
「…ごめん手加減出来なかった」
既に骸すら消えた烏天狗を前に娘伯は気を落している。
「手を抜けない相手だったんだ仕方ないさ」
あっさり諦めるクリュウだが、
最期に残した烏天狗の言葉に娘伯は引っかかりを覚える。
「やっぱり烏天狗は誰かの指示で動いてた…手がかりが必要だったのに」
「今回の依頼は山神を助ける事!目標達成出来てめでたしめでたしってな!」
バシバシと無遠慮に娘伯の背を叩くクリュウ。
その顔に笑みが戻ると一行は山神の社へ向かうのだった……。




