表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
巫女乃禄  作者: 若猫老狐
御山騒動
35/182

御山騒動 〜5合目〜

これまでの行動…

青井・風花・ハル・ヒセ…共闘し3つ目の石碑を発見、都会一派と交戦開始…

「儂らも今出来る事をしてみぬか?」

川原で暇を持て余す3人から話を切り出したのは椿鬼だ。

「出来る事ってねぇ…御山に入れないんじゃどうしようもないだろ」

クリュウの反論に娘伯も頷く。

「風花やヒセが探索してる所とは逆の位置に石碑があるかもしれぬじゃろ!」

仕方ないと娘伯は袖から地図を出す。

青井一行と別れた場所、そして現在地を指差す。

「あーて事は北側は手付かずだろうなぁ」

「よし!ならせめて一周するぞ!」

同意すら得ずズンと歩き出してしまう椿鬼。


仕方ないのでクリュウと娘伯も付いて行く。

「ねぇ…貴女は御山や都会の妖怪に詳しいの?」

「んあ?…あぁ顔石の事も御山の連中もよく知ってるよ」

訊ねられるとは思わず変な返事をするクリュウ。

「御山の連中は山犬や天狗が多いな

顔石は江戸で"物の怪長屋街"を仕切ってた奴だ」

変な所と娘伯は呟く。

しかしクリュウにとっては第二の故郷と言ってもいいと思い出に浸る。


「大切な人間を失くして自棄になって力を失って…そんな私でも顔石や椿鬼は支えてくれた」

「仲間と戦う事になるかもしれない…それでも大丈夫なの?」

「何処かの誰かさんの情が乗り移ったんだろうねぇ

でも死なせないように努力はするさ…二度と失いはしない」

何故か椿鬼がくしゃみし山道で立ち止まった。

「あったぞ石碑じゃ」


「…やっぱり結界の内側」

結界で阻まれ石碑には近づけない一行。

「妖術で吹っ飛ばせばいいんじゃないか?」

クリュウは手に炎を纏わせ投げつける準備を整える。

「待って…ぁづ!」

放った火球は見事跳ね返り娘伯の方へ掠めた。

「あーやっぱダメか」

「……なら私が」

今度は娘伯が御札に霊力を込める。

「は?まっ…いで!」

投げた御札は見事跳ね返りクリュウの顔へ直撃した。

「やっぱり駄目みたいね」

「なに御主ら遊んでるんじゃ…」

互いに睨む娘伯とクリュウに呆れる椿鬼。


「じゃあ椿鬼はどう出るんだ?」

クリュウに言われて椿鬼は拳に力を込める。

「下がっておれ…ぬぁ!」

地面を殴ると亀裂が結界を抜き石碑の真下に通る。

ぐらり揺れバランスを失った石碑は一気に崩れた。

「流石」

「ふふん!単純な力こそ全てを解決する術じゃよ」

しかし石碑はまだ残ってるのか結界は消えてない。

「また歩いて石碑を探すかい?」

「近くにあると思えない」

ならば仕方ないとクリュウは腰掛ける。

阿吽の呼吸で娘伯も木にもたれた。

「やれやれ…後はちびっこ頼みか…」

椿鬼は疲れた訳ではなくため息を落とした……。



「っ…たぁ!」

同じ頃、青井風花とハルヒセの一行。

ヒセが残った妖怪の顔に手甲をめり込ませ地へ落とす。

即席の連携ではあったがなんとか都会の妖怪達を撃退できた。

風花は特に疲れた様子で地べたに座ってしまうほど。

「あれだけ鈴を鳴らしてちゃ嫌でも寄ってくるのに」

ヒセが愚痴りながらも風花の身を引き上げる。

「ぜぇ…はぁ…少しはやるでしょ?」

ハルは既に石碑へ杖を構えている。

「はっ!」


鈍い打撃音と共に石碑は崩れた。

微かに見える空の膜が消えていく。

「これで最後だったんだ…」

一先ずの役目を果たして青井達は安堵する。

「これからどうしよう?」

「娘伯さんと合流して改めて頂上を…」

青井の提案に待ったを掛けたのはヒセだった。

「僕らの姉上は結界を壊したら各々で頂上を目指すようにと言われた

この人数で無駄な体力を消耗する訳にはいかない」


ならばこの4人で頂上を目指す、

少し不安ではあるがハルと風花の賛成に青井も折れる。

「よしそうと決まれば早く行こう!」

「待てってば風花!」

先導する風花にヒセが続く。

「風花っていつもあんな感じ?」

ハルに訊ねられ青井はため息で答える。

「猪突猛進と言うか危なっかしいと言うか…」

「ヒセと似た者同士だね」

また他愛のない会話をしながら4人は頂上を目指した……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ