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巫女乃禄  作者: 若猫老狐
御山騒動
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御山騒動 〜麓〜

清天神社を出て高速道路に入り妖滅連合の車は都会の郊外へ走る。

運転は遣いが助手席に娘伯、後ろでは椿鬼を挟んで青井風花が座っている。

「椿鬼さん酒臭っ!」

「儂はこれが平常なんじゃ!我慢しろい!」

青井は腰ほどの長さの木箱を抱え外の景色を眺めている。

風花も似た短い木箱を手に椿鬼と談笑を交わす。

出発の間際に元斎から渡された新しい妖怪退治の道具だ。

中身は確認してないが大きな手助けになるのは間違いない。


『娘伯様』

遣いに呼ばれ眠気まなこを擦る娘伯。

「…何」

『彼女達の事は心配しないでください

少なくとも貴女が思っているよりも強い』

青井と風花をちらりと見て娘伯は視線を前に戻す。

「…分かってる」

ただの眠気だがその声は不機嫌に聞こえた。


高速道路から降りて町の景色から田んぼだらけの田舎道に移り変わる。

真っ直ぐの道を走り続けやっと御山の標識が現れた。

見かけは他の山と変わりなく整地された道も無い辺鄙な山である。

しかし娘伯と椿鬼だけは入口に漂う何かを感じ取っていた。

『既に妖怪と神様を通さないよう結界を張られています』

椿鬼が手をかざしながら進むと電流が走り行く手を遮る。

「やれやれ儂の出番はお預けか」

ため息し椿鬼は切り株に腰を落ち着けた。


「そうだ!元斎さんから貰った道具!」

風花が持ってた木箱を開けると中には刀身の付いた神楽鈴が納まっている。

「霊力が込められた神楽鈴…なるほど大幣とで二刀流が出来るんだ!」

しゃんと鳴らせ右手に神楽鈴、左手に大幣を構える風花。

青井も同様に中身を確認すると、

「なに…これ?」

霊的空気銃より長い銃身と銃床、さらに先端へ取り付ける銃剣が入っている。

「霊的空気"三"弾銃…?」


「ショットガンってやつじゃない?ゲームで見たことあるよ」

取説を一読するに霊的空気銃の改良型らしい。

霊力を込めた球を三発同時に発射でき、

銃剣にも霊力が備わり近接戦闘にも対応できると書いてある。

「なんだか随分攻撃的な見た目…」

銃の事など微塵も解らない娘伯はそんな感想を述べる。

一通りの作動を試し引き金を引きカチンと空撃ちしてみる。

「だ…だいたい分かりました…後は実戦あるのみですね」


娘伯が2人に御札を渡して準備を進める。

「袖はたすき掛けして馬上袴の足首に金具で固定…これで良しと」

巫女装束を山岳仕様に施し娘伯達は御山の方へ向く。

「じゃあ行きましょゔ!」

大きく一歩を踏み出した娘伯を結界が阻んだ。

顔面に激突し堪らず尻餅をついてしまう。

「大丈夫ですか娘伯さん!?」


まさか娘伯が通れないと思い知り椿鬼は大笑いする。

「ぬはは!まさか娘伯も妖怪の類か?くふふ!」

「ちが!私は…」

「恥ずかしがるなて!儂と一緒に散歩でもしようじゃないか!ぷくく!」

『恐らくこの結界は石碑のような媒体で作り出しているでしょう

規模からして3つか4つ…破壊すれば2人も通れるかと』

それまでは青井と風花だけで御山を探索しなければならない。

娘伯の一時離脱は2人に緊張感を嵩ばらせた。


「頑張ろう!青井!」

「うん…行こう」

風花が先導し青井が続いて木々の先を目指す。

「それでは儂らも探してみるかのう?自称人間様よぅ」

「ぅ…うるさい…!」

前途多難な山神救出作戦は始まったばかりだ……。

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