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巫女乃禄  作者: 若猫老狐
妖怪の末路
145/182

神楽舞 (4)

「………」

娘伯とクリュウは神楽舞を終えて黙りするしか出来なかった。

夕暮れのカラスが二人に罵倒を浴びせている。

「まぁまぁ…二人ともお上手でしたよ?」

宮司は苦笑いしながら神楽舞の感想を述べる。

青井達もそのアクシデントにどう言えば良いか迷っていた。


「アドリブで鮮やかに立ち回る姉上はカッコよったですよ!」

「おぅ…まぁ…ありがとう」

ヒセにベタ褒めされてもクリュウは納得いってない。

「頑張った末の成果ですから…今回はお疲れ様でした」

「……ん」

青井に宥められ娘伯は渋々頷く。


「また何かありましたらよろしくお願いします」

「えぇ皆様ならいつでも歓迎しますよ」

宮司に別れを告げて神社を後にする一行。

鳥居をくぐった後でも娘伯とクリュウはしょぼくれたままだ。

「そうだ!せっかくだから打ち上げ会やりません?」

風花が気を晴らす提案を出した。


「花火でもやるのか?」

「お疲れ様の食事をしようって事だよ」

ヒセの問いに風花が訂正する。

「今から空いてるお店…ほろあま庵はどうです?」

「ほろあま庵…!」

娘伯の目の色が変わった。

「あんた達に任せるよ…ハルとヒセそれでいいだろ?」

友達の誘いならばと二人は快諾する。


「ぁ…伯父に夕飯済ませるって伝えなきゃ」

「連絡なら私にお任せください」

青井は御札を取り出し金魚の式神を召喚する。

「伝書鳩みたいに扱えるようになったので…よし行ってきて」

金魚の鼻先に触れ伝言を念話で送る青井。

指先が離れると金魚は清天神社の方へと飛び立つ。


「ほえ〜便利なもん使ってるね〜」

見送るクリュウは感心しながら呟く。

「…妖滅巫女の普通って凄いね」

「普通…なのかなぁ」

ハルにそう言われても青井はいまいち普通の実感が湧かない。

「早く…行こ」

「娘伯さんここから徒歩じゃ遠いですから!」

ほろあま庵を待ち望む娘伯は駆け足で向かいかけた……。



「はー食った食った!此処は良い店だねぇ!」

打ち上げ会が終わり外は夜を迎えていた。

クリュウは先程の気鬱がどこへやらと満腹に上機嫌だ。

「おすすめ…気に入ってもらえて良かった」

娘伯にとっても馴染みの店が褒められて嬉しい様子。

「じゃあ今日はお開きですね」

「もう少しお話ししたかったけど仕方ないね」

青井とハルが解散を惜しむ声を上げるが疲れと夜は待ってくれない。


「また今度稽古よろしくね!」

「そうだな…学校も卒業したしいつでもいいぞ?」

「ほんと!?それじゃ明日とか…」

ヒセと風花は早くも次の予定を組み込む。

「ほらほらあんまり駄弁らないで帰るよ」

「「はーい」」

まるで母のようにクリュウが話を切り上げた。

青井と風花は別れを告げて一行の輪から離れる。


しかし娘伯は一つ思う事があってかクリュウを呼び止める。

「あの…クリュウ…」

「なんだい?二次会は遠慮するよ」

「違くて…どうしてクリュウは都会に留まるの?」

どうしてと問われクリュウは空を仰ぐ。

いきなりの質問に戸惑ったが言葉を決めて口を開いた。


「この地には私の力と友の仇が居るんだ…それにケリつけるまで私は此処を離れるつもりは無いよ」

「…それは八尾狐の事?」

一瞬自分の事かと驚くがクリュウは九之助から受けた報告を思い出しぷっと笑う。

「そんな"三下"を相手してるんじゃないよ!アレは…災いの全てと言った所かね」


ウェンフーよりも強い者ならば娘伯も加勢するべきなのだろう。

しかしクリュウは望まぬ事にあえて拒絶する。

「言ったろ?ケリつけるには自分の力で…妖滅巫女も手出し無用だよ」

「でも…」

「一つ忠告しとく…あんたの神社には大物が眠ってる…八尾狐も私も狙ってるのはそれだ」


清天神社に何があるのか娘伯は想像も出来ない。

「それは…なに?」

「名を出せば呪われるよ…兎に角気をつけな」

娘伯へ背を向けるとクリュウはハルとヒセを連れ手を振る。

八尾狐の求めるモノを娘伯は阻止出来るのか、

重い足取りで帰路へ向かうだけだった。

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