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巫女乃禄  作者: 若猫老狐
白と黒
134/182

関西御前試合〜準々決勝〜

10分の休憩の後、小百合のアナウンスが入る。

『準々決勝第一試合と第二試合を始めるわ』

第一試合は娘伯と青井、

互いに望んだ対戦は全力を尽くすつもりだ。

(青井なら霊的空気銃と弓で戦ってくる…間合いを詰めれば…)

娘伯の思考と同時に弓を現し構える青井。

「行きます!」

鋭い一直線で矢が放たれる。

娘伯は小刀を用いて迫る矢を弾いた。


弦を絞る間に娘伯が走り距離を詰める。

二射に間に合うほど速くはない。

「来る…っ!」

深くしゃがみ回避、

その弾みで一気に飛び出し小刀の間合いに入る。

「まだ!」

武具を変え青井は霊的空気銃を連射する。

「うっ…」

予測していたがいざ撃たれると射速についていけず貫通型の数発が肩へ命中する。

小刀を振る前に娘伯は僅かに距離を取る。


それを想定してか青井は霊的三弾銃を現す。

下がった娘伯へ霊力の球が三発同時に迫る。

「うぐぁ!?」

防いだのは一発だけ、

残りは胴へ直撃し再現されて爆風で娘伯は吹き飛ばされてしまう。

「ぁ…大丈夫ですか!?」

思わず青井は心配して声を掛ける。

「だい…じょぶ…」


今までで一番の痛みに耐えながら娘伯は立ち上がった。

「流石ね…娘伯様の戦い方を熟知しているわ」

小百合が青井へ褒めの言葉を呟く。

中遠距離に対応出来ない娘伯には苦戦を強いられる対戦だ。

「次は捌き切る…」

小刀を構え前へ出る娘伯。

躊躇いを捨てて青井は弓を射る。


掠めた霊力の矢は娘伯の頬に痛みを与える。

その程度で止まるつもりは無い。

「もっと…速く!」

今出来る精一杯の駆け足に対し青井は退きながら霊的三弾銃を撃ち続ける。

その軌道を見切ったのか娘伯は全てを斬り落としてみせた。

「まだです!」

霊的三弾銃に銃剣を装着すると大振りの横一閃を繰り出す。


跳躍し銃剣を避けると踵を返して娘伯は小刀を振り下ろした。

しかし青井はそれを見越してか武具を持ち替え娘伯へ振るう。

「っ!?」

僅かに早かったのは青井が持つ武具…神楽鈴だ。

痛みと共に娘伯の右手に貼られた御札が破ける。

「これで…!」


踏み込んだ青井の突き。

勝利を確信した一撃は寸前で大太刀によって止められた。

そして受け流され青井はバランスを崩してしまう。

「う……ぁ」

床へ倒れ振り返ると首筋に切っ先が迫っていた。

「うぅ…参りました」

「神楽鈴を使うのは…予想外だった」

太刀を消して娘伯は手を差し伸べる。

涙を浮かべそうになるが青井は袖で拭い娘伯と手を取った。

「やっぱり娘伯さんは強いです」


「最後に物申したんは近接戦闘の心得やな」

「娘伯様相手によくぞ奮戦しました」

隣の試合は終わっており既にアイサと勝ち残った巫女の対戦が行われている。

戦場を出る娘伯と青井に準備万端の風花が駆け寄る。

「お疲れ!」

「どうも…風花は負けないでね」

青井と風花で互いに手を打つ。

戦場の反対側で黒刃はそれを見つめる。


(黒巫女ならばこの一戦は問題ない)

観客席で八尾狐は笑みを浮かべる。

始めから娘伯と黒刃を戦わせるつもりだ。

小百合のアナウンスが響き風花と黒刃は対面する。

準々決勝最後の試合が始まった。

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